表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギフト【鑑定】だけの俺が、実は最強だったなんて聞いてない!  作者: KeyBow


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/34

第16話  お姫様抱っこ

 程なくしてダンジョンの二階層は終わりを告げ、下へと続く階段が見えてきた。道中、一度だけ巨大なネズミ、ビッグラットが姿を現したが、アリア様は腰に帯びていた投げ用のショートソードを抜き、それを頭上に掲げた。 彼女の頭上に静止した剣は、まるで狙いを定めるように微かに震え、発射の合図を待っている。


 アリア様は落ち着いた様子で右腕を挙げると、突進してくるビッグラットに向け勢いよく振り下ろした。


「敵を貫きなさい!スロート!」


 アリア様は腕を振ると同時に凛とした声でスキル名を発すると、頭上に浮いていたショートソードが信じられないほどの速度で一直線に飛び出した。


 ビッグラットの動き出しが少し遅れたようで、アリア様の攻撃のほうが先に届きそうだが、冷静に対応していたのには驚いた。

 

 狙い通りにビッグラット目掛けて真っすぐ飛んでいき、その眉間に深々と突き刺さった。巨大な体からは生気が失われたが、突進の勢いまでは失われず、ザザザザザザザと腹を擦りながら俺たちの方へと滑って来る。


 武器を発射して尚落ち着いたアリア様は、その衝突コースからほんの僅か、紙一重で体を逸らすに留まっていた。絶対に当たらないと理解していても、あの巨体が目と鼻の先を通過するのだ、熟練の冒険者でなければ本能的に大きく回避してしまうだろう。

 しかし、アリア様の動きは最小限に留められており、達人と何ら変わらない動きを見せた為に俺は驚いた。やっぱりこの人ただ者じゃなかった。


 しかしそれとは別に、こちらに向かってくるビッグラットの勢いに、俺は咄嗟に隣にいたベルナをお姫様抱っこすると、その巨体が通過する高さまで跳躍して難なくやり過ごした。


 突然体が浮いたことに「キャッ!」と、普段の冷静な彼女からは想像もできないほど可愛らしい悲鳴を上げた。


 本来なら突き飛ばすこともできただろうが、どうやらベルナはアリア様に注意を向けていて、自分のことはおろそかにてしまったようだ。

 アリア様は何事もなかったかのように魔石を拾うと、俺の後ろに回ると階段に向かって歩き出した。何故ならアリア様がビッグラットを倒した時には、ベルナの治療が殆ど終わっていたからだ。

 まだ少し傷はあるが、自然治癒するレベルになっていると判断したのだろう。

 聡い子だ。


 程なくして階段が見えると、俺は周囲を警戒しながら一段一段降り始めた。するとお姫様抱っこされたままのベルナが、いつもの冷ややかな声で小さく呟いた。


「いつまで抱いているのですか?そろそろ降ろしてくださりませんか?」


 はっとなりベルナをそっと地面に降ろすと、アリア様がこちらを非難めいた顔で見つめ、何か言いたげな様子だった。

 まずい・・と冷や汗を覚えた俺は、咄嗟にアリア様の方を向き言葉を紡いだ。


「アリア様、あの回避も見事でした。最小の動きのみで紙一重で躱すとは驚きました。俺なんか怖くて、つい治療中のベルナさんを抱きしめて必要以上に飛んでしまいましたから」


 アリア様の表情は少し照れくさそうに見えるが、少し歯切れが悪い。


「いえ、そんな・・・」


 と言いかけたが、ベルナさんがすかさず得意げな表情で割って入り、誇らしげに胸を張った。


「当然です。アリア様は幼い頃より厳しい鍛錬を積んでいらっしゃいますから!あの程度の魔物、冷静に対処されて当然です!」


「この先はボス部屋しかないはずですが、どうしましょうか?休憩を挟みますか?それともこのまま進みますか?」


 俺の言葉にベルナさんはアリア様に判断を仰ぐと、アリア様は少し考えた。


「ベルナの手が完全に治り次第、どうするか判断しましょう」


 俺たちは階段を最後まで降り、やたらと装飾が凝らされた、立派な木製のドアの前に立った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ