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ギフト【鑑定】だけの俺が、実は最強だったなんて聞いてない!  作者: KeyBow


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第10話 生活魔法はコントロールできるんだ!?

 階段近くだったのもあり、再出発した後は1分ほど歩くと階段にたどり着いた。

 階段は基本的にセーフエリアだ。ただし、スタンピードなどの異常時は違う。本来階層をまたぐことをしないのが魔物なのだが、ダンジョンにより精神操作で階層を移動出来ないとか、見えない障壁に阻まれたり、とたとえ階層を越えようと試みたりしても無理だとされている。しかしその制約が外れると階段にも現れる。


 そんな中、アリア様が「ちょっと待って」と言い、収納から何故か御椀を取り出した。


「??・・・まさか、なにか食べようとしているのか?」


 そう思った次の瞬間、アリア様はベルナさんに指示を出した。


「ベルナ、ここに水を貯めて」


 そう言うと、ベルナに向かって御椀を向けた。


「分かりました、お嬢様」


 ベルナはそう答えると両手を御椀に翳し、生活魔法のウォーターを発動した。


 妙に勢いが弱いな・・・そうか、こぼれないように威力を調整しているのか!

 アリア様は慣れない戦闘にのどが渇いたんだな。初めての魔物との戦いに緊張し、激しく動いたからな。俺は配慮が足らなかった。

 時間が勿体ないが咽の渇きを馬鹿にしてはならない。

 

 1分ほどして水が御椀に溜まると、アリア様は手を出してとベルナに言った。どうやら先ほど血が出たようで洗い流していた。また勘違いだ。

 喉を潤すのではなく血を洗い流すためだったんだ。


「申し訳ありません」


 ベルナさんは申し訳なさそうにしているが、アリア様は黙って頷くのみ。


 俺も新人に対し、怪我をしたらまず清潔に保てと言っているんだよな。例えば剣を振った時に手からスッポ抜けて飛んでいくなんてこともある。だけどベルナさんはどうして自分で洗わないのか?


 とはいえ、時間がもったいない。


「ベルナ、もしよろしければ俺がウォーターを出そうか?少しでも早く済まそう」


 俺がそう提案すると、ベルナさんは少し遠慮がちに答えた。


「あ、ありがとうございます。ではお願いしてもよろしいでしょうか」


 俺は片手をベルナの両手の上に差し出し、ウォーターを発動する。


 先ほどのベルナのものとは比べ物にならない勢いだ。

 酒樽の栓を開けた様な勢いで水が出て、ベルナは慌てて手をこすり合わせて血を洗い流した。

 だが、勢いが強すぎたせいで、水は服や周りに飛び跳ね、アリア様のブーツにまで掛かってしまったが、何故か2人は避けようとしない。


 きっと俺の愚かしさに言葉も出なかったのだろうが、これを避けるのに御椀を使ったのか!と今更ながら理解した。


「ご、ごめんなさい。ちょっと考えなしでした」


「ありがとうございます」


 俺が謝るとベルナさんとアリア様は、一応礼を言ってくれたものの、その表情はどこか微妙だった。


 服を濡らしてしまったから怒っているんだな。ただでさえ俺はベルナさんから嫌われているような気がするのに、またやらかしてしまった・・・


「ジェスロ様、お嬢様と少しお話をしたいので、申し訳ありませんが少しだけ周りを見張っていただけますでしょうか?」


「ああ、分かった」 


 ベルナさんがこちらを向き、2人で話をしたいからと配慮を求められたので、分かったと答えると周囲に意識を集中させた。





【アリア・ベルナ視点】


(アリア)「なんですの、あのウォータは?」


(ベルナ)「ええ、確かに『ウォータ』と唱えていらっしゃいました」


(ベルナ)「アリア様、ジェスロ様は片手でウォータを出していらっしゃいましたが、あのような出し方は聞いたことがありません」


(アリア)「ええ、私もですわ。ベルナのように両手を翳して行うのが普通でしょ!それにあのような勢い見たことがありませんわ」


(ベルナ)「はい。他の使用人も私と殆ど勢いは変わりません」


(アリア)「やはりジェスロ様は、あの方が手を回した護衛なのでは?普通の冒険者と明らかに違いますわ。大体あの剣、業物には違いありませんが、折れにくくはありますが、魔剣とは程遠いわ。ジェネラルがドロップした剣にスラッシュの能力なんてないはずですわ。明らかに能力を伏せていますから」


(ベルナ)「そのような話も、確かにありましたね・・・」


(ジェスロ視点に戻る)


 二人がなにやらコソコソと話している。

 またもや俺が何か変なことをしたのだろうか?やはりウォーターを配慮なしに出した事を怒っているのだろうか?


(心の中で)俺はまだ片手でしかウォータを出せないが、ベルナさんのように両手でやれば、あのように出力をコントロールし、こぼれないように出せるのか!ここから出たら、絶対に試してみないとな!


「お二人とも、もう水分補給は大丈夫ですか?そろそろまた先に行きませんか?」


 厳しいことを言わる前に、出発を促した。

 早く忘れてくれないかな?

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