第6章:『合同庁舎』での二次面接の日(2)
・・・おかしな会話をロビーで聞かされて、
ますます緊張と不安にさいなまれていたぼく。
自身の、
近い未来や先の運命を左右する・・・
『大切な一日』だというのに・・・!
まぁ、
腹を立てては、
うまくいく面接も、うまくいかなくなってしまうので、
ここは落ち着いて、冷静に。
はぁ・・・
深呼吸、深呼吸♪
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(さすがは『しげちゃん』だ。ダテに、22年も生きてねえわな。すぐに「自分」を取り戻しちゃったもんねー❤)
(・・・せっかく勉強して通過した公務員試験だ。ここからが『本丸』じゃねえか。)
(どんな質問が飛んでくるかは、だいたいわかってる。敵さん、若造だからって、俺をナメるなよ・・・。)
面接会場の部屋のドアをノックする。
(コンコン)
「どうぞ。」
「・・・失礼します。」
うやうやしくノックして入室すると、
長いテーブルに、
3人の面接官が。
少し離れた椅子に、腰かけるよううながされたぼくが、
着席して、面接官と相対する。
・・・いよいよ『二次面接・本番』のはじまりだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(のちの所長):「こんにちは。このたびは、国家公務員のⅢ種、一次試験合格、まことにおめでとうございます。
わたくしどもの組織の二次面接に来てくださり、ありがとうございます。
では、さっそくですが、うかがいます。
・・・まず、あなたのお名前と生年月日をどうぞ。」
しげちゃん:「はい。栗原茂雄・・・昭和45年10月26日生まれの22歳です。」
(のちの星次長):「では、わたくしから。・・・この組織がどんなことをやる機関なのか、ざっとでいいから、語ることはできますか・・・?」
しげちゃん:「・・・はい。事前に、図書館等で調べました。(当時はまだ、インターネットもスマホ、SNSもなかった)この組織ですが、農業分野での・・・」
(のちの大森係長):「なるほど。よく勉強してこられましたね。では・・・もし、わたくしどもの組織に栗原さんが採用された場合・・・若い職員が入っている、いろいろな『スポーツサークル』に入るつもりはありますか・・・?」
しげちゃん:「はい! もちろん、喜んで参加します! ・・・いや、ぜひ、参加させていただきます♪」
(中略)
(のちの所長):「・・・これで、『面接試験』は終了です。お疲れ様でした。
気をつけて、お帰りください。」
しげちゃん:「・・・ありがとうございます。自分、いっしょうけんめい、働いて、活躍しますから。どうぞ、よろしくお願いします!」
うやうやしく頭を下げ、
笑顔で退室するぼく。
・・・手ごたえはあった。
しばらくたって帰ろうとしたぼくに、うしろから、
ひとりの若い男が話しかけてきた。
「栗原さん! 『採用』、おめでとうごございます。」
「えっ・・・?」
「合格ですよ、合格。その場で、採用が決まったんですよ。」
「もう・・・『決まった』んですか??」
「ええ。茂雄さんは、試験の成績が、受験者の中でもバツグンだったそうで。
おまけに、さきほどの面接試験での印象も、たいへん高評価でした。異例の速さで、すぐに『採用』が決まったんです。」
「本当ですか・・・夢みたいだぁ・・・ありがとうございます!」
「ぼく・・・『関しんじ』っていいます。4月から、いっしょに仲良く働きましょうね。」
「はっ・・・はい、関さん。こちらこそ、よろしくお願いします!!」
・・・晴れやかで、
すばらしい気分だった。
(・・・あの『関さん』も、面接官も、みんないい人だったなぁ。関さん・・・いま、24歳だってね。ぼくより学年が2つ、先輩なんだね。)
(この職場なら、きっと活躍できるだろう♪)
(よし! これでぼくも・・・晴れて『国家公務員』だ! 4月から・・・やるぞぉ・・・!!)
・・・『悪夢の象徴』だった、
あのふんぞりかえった『幕僚長』は、
ぼくがロビーに戻ったころ・・・
影も形もなく、
いずこへと消え失せていた。




