「霊根が星魂の土に根を張れば、もはや天が私の運命を決めることはない!」 「心霊は陽、体魂は陰、気は宇宙の根となり、身を霊土と化し、私の力で万法を創り出し、霊根道主となる!」
第1章:霊植の使い手
星暦が長く刻まれる中、谷鎮星の東部は、強烈な陽射しに包まれていた。
シンは汗が滝のように流れる中、腰をかがめて、静かに霊根苗を大地に植え込んでいた。苗が土に根を張るたびに、彼の内なる力がわずかに高まる感覚があった。
苗を植えるたびに、彼の霊力が少しずつ育まれていくのを感じる。霊植術の熟練度も、徐々に身についているようだ。
やがて、霊植の技術が十分に磨かれた瞬間、シンは新たな霊術を直感的に理解した。「成長促進」と呼ばれる初歩的な霊術で、苗の成長を加速させる力だ。
「成長促進――」と心の中で呟くと、大地の霊力が反応し、霊根苗が通常よりも早く成長し始めた。
霊術の力を感じながら、シンはさらに作業を続けた。時間が経つにつれて、彼の体はすっかり汗に覆われ、陽光に焼かれた体を涼ませるために、少し休憩を取ることにした。
大地の熱がまだ肌に伝わる中、彼は手を空にかざし、意識を集中させた。
「シュッ――」
彼の指先から金色の霊力が放たれ、すぐに頭上に小さな雲を生み出した。雲はゆっくりと広がり、彼の頭上に涼しい影を作り出す。
「行雲」という霊術だ。この術は、暑さから一時的に身を守るために、雲を召喚して日差しを遮る力がある。
「これで少しは楽になるな。」シンは涼しい影の下でほっと一息つきながら、自分の成長を実感した。
雲が太陽を遮り、まるで自然の守護者が彼を守っているかのようだった。
シンが歩み去ると、頭上に浮かんでいた雲が彼の動きに合わせて静かに移動した。
谷鎮星の東部に広がるこの大地は、帝国の官田として霊植司が管理していた。霊植司たちは、大地の霊気を集め、霊根を植え付け、星系の自然の循環を守る責任を担っていた。ここで育てられた霊植は、帝国の要職にある者たちの生活を支え、霊力の源ともなる。
時はちょうど「芒種」の節気。シンのような霊植司の見習いが、田地を巡りながら忙しく働いていた。芒種を過ぎれば、もはや新しい霊根を植えても効果は薄く、この時期にどれだけの成果を上げられるかが、彼らの運命を決める。正式な霊植司になれるかどうかも、この収穫にかかっているのだ。見習いと正式な霊植司の待遇は天と地ほどの差がある。
シンは、この世界に転生してからというもの、自分の前世が遠い夢のように思えた。かつていた世界とは全く異なる、この星系での生活は、始めのうちは奇妙で不思議なものだったが、次第に馴染んでいった。
現在は、大盛王朝が隆盛を極める「大盛紀元」。星系全体が平和で安定しており、霊気の流れも穏やかだ。しかし、霊気の復活はまだ完全ではなく、強大な力を持つ存在も少ない。今は、霊植の修練を重ねることで、より高みを目指す時期だった。
「まだまだ修行が足りないな……半年も経つのに、まだ正式な霊植司になれる兆しが見えない。」
シンはそう呟きながら、苗を植え続けた。彼は孤児として霊植司の養育機関で育てられ、霊植術の基礎を学んできた。しかし、今の地位では何もかもが限られている。もっと高みへ、もっと霊力を蓄え、いずれはこの星系に名を轟かせる存在になりたいと強く願っていた。
「聞いた話では、貴族の家に生まれ、霊力の恵みを一身に受けた者もいるらしい。そういう者は、あっという間に霊植司としての地位を固めるんだろうな……」
ため息をつきながら、シンは草むらに腰を下ろし、少しの休息を取ることにした。「今年の収穫がどうなるか、この田地にかかっている。」
彼が草の束を手に取り、休息しようとしたその時、霊植司の制服を着た若者が前方から手を振って呼びかけてきた。
「シン兄、こっちだよ!」
シンは足早に前方へと向かい、手を振る相手に声をかけた。「ユズ、お前も休憩しているのか?」
立っていたのは、同じ霊植司の見習いであるユズ(柚)だった。この一年間、シンが最も親しくしているのがユズである。二人は同僚でありながら、互いに学び合う関係でもあった。今は霊植術を修め、いずれ正式な霊植司になるための修行の時期だった。皆、早くこの過酷な労働から抜け出し、霊力を操る力を身につけたいと願っている。
ユズの隣にはもう一人、シンの知り合いであるトウ(冬)が横になっていた。彼もまた霊植司の見習いだった。
ユズは口に草を咥えながら、笑顔でシンを迎えた。「ちょっと早めに来ただけだよ、兄さん。お前の頭上の雲で涼ませてもらってるけど、もう一度霊力を使うのは無駄だろ?」
「そうだな。」シンは頷き、頭上の雲を散らして、ユズの隣に横になった。
横になるとすぐに、ユズがぼやき始めた。「夏至にもまだ遠いのに、この谷鎮星の暑さときたら…。東の官田には大きな木もなくて、霊植司の上官たちが全て切り倒してしまったんだ。涼を取るには自分で霊術を使うしかないな。」
シンは苦笑しながら答えた。「まあ、それも修行の一環さ。」
トウがその会話に割って入った。「涼しくするのなんて簡単さ。見てろよ。」彼は手に持っていた草帽を空に向けて放り投げ、誇らしげに叫んだ。「風よ、来たれ!」
ユズは驚いて言った。「トウ、お前、もう《風起》の術を覚えたのか?」
トウは悪戯っぽい笑みを浮かべ、草帽を拾い上げてユズに向かって扇いだ。「ほら、見ろよ。風が来ただろ?」
ユズはその瞬間、トウに騙されたことに気づき、怒って枯草を掴んでトウの首に向かって振りかざした。「この野郎、俺を騙しやがって!一刻くらいは風を扇いでもらうぞ、覚悟しろ!」
「やめろよ!ユズ、怒るなって!俺が扇ぐから、勘弁してくれ!」
二人のやり取りに、シンは少し呆れながらも微笑んでいた。炎天下の中、二人がふざけ合っている光景に、彼は思わず口を開こうとしたが、トウが先に言った。「ユズ、もうやめろよ。シン兄にまた『不真面目だ』って怒られるぞ。ほら、いい加減にしようぜ。」
シンはだらりとした声で言った。「いやいや、気にしなくていいよ。むしろ君たちがやり合って、どっちも消耗してくれた方がいいかもな。競争相手が減れば、今年こそ霊植司への昇進が近づく。」
「兄さん、またそんな皮肉を言って…」と、ユズが苦笑いした。
シンは十五分ほど休息を取ると、霊力が徐々に回復してきたのを感じた。もう少し瞑想して力を蓄え、再び修行に励むつもりでいた。
だが、その時、突然頭上の雲が消え去り、眩しい光が彼の目蓋に強く射し込んできた。
「どうしたんだ、ユズ?せめて雲を消すなら一言言ってくれよ…」と、トウが文句を言いながらも、シンは肘をついて起き上がり、目を細めて前方を見つめた。
前方には、数千メートルに渡る巨大な黒雲がゆっくりと転がるように近づいてきていた。その雲の下にある丘の上には、一人の高身長の影が立っていた。
その人物の使用した《行雲》の術が、ユズの作り出した雲を打ち消し、その霊力を吸収してしまったのだ。
突然術を打ち消され、ユズの体は少し震えた。術が反発し、彼の霊力がわずかに傷ついたようだった。「またリ・ショウフウ(李乗風)か!あの偽善者め!」と、ユズは激怒し、その高身長の影を睨みつけた。
リ・ショウフウが「偽善者」と呼ばれる理由は、彼が《風起》の術を使い、声を周囲に広げた時に明らかになった。
「皆さん、私リ・ショウフウの雲の下でお休みください。間もなく小雨を降らせて、皆さんの疲れを癒やしましょう。」と、彼の声が響いた。
ユズの《行雲》だけでなく、周囲にいた他の霊術使いの雲も打ち消されてしまったが、リ・ショウフウは大多数の人々を味方に引き入れ、彼らの霊力の節約を助けたため、多くの者が彼を称賛し、彼を「君子」と呼んで褒め讃えた。
「こいつは人を持ち上げて、自分を目立たせるのが大好きなんだ!いつも自分だけを正義の味方みたいに見せつけて、他人の気持ちなんて全く気にしないんだ。前に一度、俺が彼に意見したら、周りの奴らは俺が心が狭いとか、リ・ショウフウを妬んでいるなんて言いやがった。俺があいつを妬んでるだと?馬鹿馬鹿しい!」と、ユズは怒りを露わにした。
トウも頭を振りながら言った。「君子ならまだしも、彼は大きな家に生まれ育ったが、付き合うのは富豪の子弟ばかりだ。表向きは礼儀正しいが、裏では違う顔を見せる。まだ正式な霊植司にもなっていないのに、すでに上役のような態度を取るなんて、腹立たしい。来年、もし彼が私たちの上司にでもなったら、どんな風に我々を扱うことか、考えただけで憂鬱だよ…」
シンは二人の意見に同意し、肩を軽く叩きながら慰めた。「俺もあいつのことは気に入らないが、愚痴を言っても仕方がない。実力こそがすべてだからな。しっかり修行を続ければ、いずれあいつに見返すチャンスが来るさ。」




