一話イヤホン
"この曲いいな"
人目がなければ奇妙な踊りを踊っていたことだろう。
電車を待つ時間がいろんな曲を探す時間に変わり、氷室シンはこれからくる地獄の時間を思い出さないようにしていた。
「すいませっ」
人が多すぎる電車に乗り行きたくない学校に行く地獄が始まった。
曲に集中し何も感じないよう自分を洗脳し地獄の電車をやり過ごした。
ちょっと歩いて学校に向かい、途中の自販機でコーラを買う。このコーラが売り切れていたらシンはHP1で学校生活を送ることになる。
席につきチャイムがなったのでイヤホンを耳からはずしかばんにしまった。
"だるいなぁ眠いなぁ"
1時間目からずっとそんなことを考えていた。お昼の時間になりイヤホンを取り出し耳につけ曲を選択し再生した。が全然聞こえない
"えっ!!壊れた!?"
シンは最悪な気分で栄養バランス最悪の弁当を食べた。
うしろの席の望月なえ
"私のイヤホンに繋がってるけど言えないよー…どうしよう"
人とあまり話さないなえにはどうすることもできないまま時間が過ぎていった。
"氷室さん結構いい曲聴くなんだね、私たち結構好きな音楽のジャンル一緒だなぁ"
これがなえがシンの第一印象だった。