7話
「納得いかないったらいかなーーい!!」
リセは、ミヤコに買い与えられたラズベリー味のシェイクを片手に叫ぶ。
昼間のネオトーキョーは人通りが多いが、特にリセを気にする者がいなかったのは幸いだとミヤコは思った。この少女はいつも騒がしい。
「あたしの能力が役立たずだからお役御免になるのはわかる!でもなんでミヤコまで!?ひどすぎるよ!こーゆーことがあるからオトナって嫌い!」
「いいから大人しく飲みなさいよ。溶けるでしょう」
「ミヤコは悔しくないの!?メアリー事件から外されてさ!」
悔しくないわけがない。経緯はこうだった。
水上警部からの一本の電話がきっかけで、二人は捜査本部に呼ばれた。そして、能力に支障があるならしばらく待機をと命じられたのだ。リセとのバディ関係も考えておく、と言われた。
「ねぇ、ミヤコ……あたしたち、離れ離れになるかもしれないんだね」
「そうね」
「さみしいね」
「私は他の誰かがバディになっても、単独でも良い、早く現場に戻りたいけどね」
「つめたー!氷の女!さすがミヤコ」
たはー、と笑ってリセはカフェの椅子を揺らす。
「ねぇ、今日休みになっちゃったしさ」
「当面休みね」
「デートしなーい?」
「は?」
くねっとしなを作る少女に、ミヤコは苦虫をかみつぶしたような表情で返したが、彼女はお構いなしだ。
「捜査本部にお払い箱にされて黙ってるリセちゃんじゃないよん。ミヤコ、ぱーっとリフレッシュしよ!そしたらあたしの能力もぱーっとまた花開くかもしれない!犯人がジャミングできないくらいにね!だからさ、いこ!ミヤコにも遊びが必要だしさ」
「は?だから行かないって……ちょ、ちょっと、引っ張らないで!コーヒーがこぼれる!わかった!わかったから!」
「そうと決まればレッツゴー!!」
そうしてなぜか元気いっぱいのリセは、げんなり顔のミヤコをショッピングモールへ連れ出していくのだった。