転生先を間違えてませんか?
☆
「う……ん……ここは……庶民寮【ノービス】の部屋? 私の部屋じゃないって事は確かで……」
目を覚ましてみると、古びたベッドに寝かされてたみたい。頭痛は消えていて、部屋の中を確認してみると、【テアワン】のセシルの部屋にそっくり。
ブレイブ学園は寮制で貴族寮と庶民寮の二つに分かれてる。能力があれば貴族だろうと、庶民でも入学は出来るけど、寮などは貴族からの支援もあり、質の差がある。
男女共用なのは同じだけど、建物の豪華さは当然としえ、食堂の料理が全然違うし、貴族は個室だけど、庶民は相部屋となってる。
セシルの場合、キャラ攻略の手助けをしてくれるサブキャラが一緒の部屋だ。名前はサブロウタ。
セシリーの時は攻略対象のフレデリカ。勿論、相手はセシルじゃなくて、同性のセシリーなんだけどね。
ヒートは貴族なのに【ノービス】にいるのは没落貴族で、庶民と同じ扱いになってるから。とはいえ、ヒート本人は貴族としてのプライドを忘れてない。
同室にいるのは誰なのかは私も知らない。ヒートは一人でいるか、モモと一緒にいるか。部屋を訪ねた時もモモがお供してる絵が多かったような……
「……待って。女子の制服があるんだけど……まさか」
私が寝てるベッドの逆側。もう一人のベッドの壁近くにブレイブ学園の女子用の制服が掛けられてる。相方は女性になるわけで……この時点で制服を着てない人物となると一人しかいない。主従関係なら男女同じ部屋でも問題ないの?
「じゃなくて!! 私がヒートになってるか確認しないと。確か……兼用のクローゼットに鏡が備え付けられてると思うんだけど……」
部屋にはベッドの他にも机が二つ、兼用のクローゼットが一つ。後は私物を置く宝箱が二人分用意されてる。その中身よりも先に私が本当にヒートなのかどうか……
「うわぁ……本当にそうだし……【テアワン】の世界に転生したのもビックリだけど、よりにもよってヒートなのよ。メシア様を幸せにするためにはヒートが重要なのは知ってるけどさ」
両眼が緑色。白の長髪で結んだ状態。背も百七十前後。中肉中背と至って普通のスタイル。これがヒートの姿。
メシア様の幸せを願って、【テアワン】の世界に来れたのは嬉しい気持ちはあるけど、転生先がヒートはなしでしょ。
メシア様とヒートの恋の手助け役で十分。セシリーは無理でも、モモでも良かったし、最悪モブキャラでも良かった。せめて、同性であって欲しかったんだけど……
私は両頬を思いっきり叩く。
「ヒートになった以上、メシア様を救えるのは私だけなんだから」
こうなってしまったからには気合を入れていかないと。困難極まりないない……どころか、不可能に近いレベルなんだから。
「最終目標はメシア様に勝利する事。この約束があるから、ヒートとメシア様は結ばれなかったんだから……どんな無理難題にしてるのよ」
メシア様は完全無欠。【テアワン2】のラスボスで、何度も周回した強さでギリギリ勝利出来たぐらい。更には召喚したパートナーの大天使が堕天使になって、光と闇の力を使い合わせるから、こっちとしては酷いという一言よ。
けど、それは別に学園時に達成出来なくても良いはず。
「問題なのは三年後……魔物達が大軍で襲ってきた時、生き残る事が出来るかだよね」
強くなるのは第一条件として、それまでにやれる事はやっておかないと。
まずは……




