モモVSムサシ
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「一時の休憩は終わりにする。次からは私とモモ=ゼータ相手に一対一での攻撃と防御の組手を一分間繰り返し行っていく。これによって、武器を持っての戦闘を想定しろ。相手と対峙する事でしか分からない事もある」
私達はモモが用意したおにぎりを食べ、少し体を休めた後、ムサシ先生やモモとの組手に移行する。
勿論、本当の武器ではなく、練習用。先に刃が付いてはいない。それに軽くプロテクター? 革で出来た鎧、軽装もムサシ先生から渡された。
戦闘は武器だけじゃなく、防具も身に着けるのは当然のはずだし。安全面も考慮しての事だと思う。
「まずは見本として、私とモモ=ゼータが組手をしよう。互いに攻撃と防御ありの三分間だ」
「分かりました。先生は鎧をつけなくても良いのですか?」
ムサシ先生は革の鎧を付けず、いつも着てる袴のまま。そういうモモもメイド服で、上に鎧を付けてないんだけど……
「そこは心配しなくていい。お前は服の下に付けてるようだな」
「常に主を守るために。見た目でバレるわけにもいかないので」
モモのメイド服の下には防具が装備されてるみたいだけど、見た感じ全然分からないから。逆ににどれだけ細いかまである。
「なるほどな。それと申し訳ないが、彼等に見えるぐらいの速さに合わせてくれ。タイプとしては……速さ重視なのだろ?」
モモの職業はメイド……もとい暗殺者。【テアワン2】でも速さ重視。それをすでにムサシ先生は見抜いてる。
「……承知しました」
「よし。そちらから攻めてきて構わないぞ」
ムサシ先生は時計の三分間のタイマーを押し、木刀を構える。
モモは左右それぞれに木で出来た短剣を持ち、構えどころか、普通にムサシ先生の方へ歩いていく。
「Aランクとはいえ……この時点で凄いと分かるぞ。全く攻撃する意思が見えてこないからな」
ムサシ先生はモモが木刀でも届く範囲に踏み込んでも、攻撃しない。言葉通り、モモが攻撃するまで待つつもりなのかも。私達に見える速さでの攻防になるわけだし。
「では……」
モモは短剣による攻撃……じゃなく、蹴りを繰り出した。
「皆の勉強になる良い手だ」
ムサシ先生は一歩後退するだけで、それを回避。すぐに反撃せず、モモの攻撃を解説する。
「戦闘に使えるのは武器だけではない。周囲の地形、己の体も使え。相手の武器だけを見るな。最初は無理でも、全身を見るように心掛けろ」
蹴りを回避出来たのも、モモが持つ短剣ではなく、モモの全身を見てたから。視界を狭めたら駄目という事。
「全然気付かなかった」
「速さなんて関係なかったね」
「意表を突く攻撃も先生には通じないとか、凄くない!!」
セシリー達もモモとムサシ先生のたった一度の攻防に驚きを隠せないでいる。セシルは黙って、二人の動きを観察してる状態。
私だって、モモが蹴りを放つところは見えてなかった。短剣の方に注視してぐらいだし。
モモは再度攻撃を仕掛ける。今度は短剣をちゃんと使い、それをムサシ先生は木刀で防ぎ、体に当てさせない。そして、木刀を片手に持ち替え、持たない方の手で腕払いをして、モモの体勢を崩す。
「ただ防御するのではなく、攻撃へと繋がるように仕向けるように誘導するのも必要だ。勿論、それは相手も同じ事だぞ」
ムサシ先生は腕払いで空いたモモの腹に突きを入れようとするけど、片方の短剣をムサシ先生に投げる事で、攻撃ではなく防御にする事に成功。
「攻防ともに選択の連続だ。間違えれば、致命的な事にもなるし、このように助かる事もある」
二人共、まだ余裕がある動き。息も切れてないし、ムサシ先生に至っては解説をしながらでしょ。




