メインどころは大天使召喚です
十分後……
「落ち着いてきたか? ならば、自己紹介を再開していくぞ」
ムサシ先生は回復魔法を使う事はせず、セシル達が少し落ち着くまで待った上で、自己紹介を開始した。
「まずは僕から。僕の名前はセシル=エンドール。勇者に憧れて、田舎からブレイブ学園にやってきました」
と、こんな感じで自己紹介を続いていく。回復役のメガネ男子マクス=ウェル。小麦肌の女盗賊リネット=キー。そして、セシリー=エンドール。セシルと双子という事を皆にも伝えていた。
「俺の名前はヒート=ラインバルト。貴族であったが、それは昔の話。君達と同じように学びたいと思っているので、よろしく頼む」
私は自己紹介をしながら、四人に頭を下げる。ヒート本人なら敵対するような言葉を投げたんだけど、それは絶対しない。
私が強くなるためには、セシル達との協力関係は必須だと思う。まして、私は召喚の儀で失敗するんだから。大見得を切って、そんな事になったら、恥ずかし過ぎるでしょ。
私の自己紹介にメシア様がチラッとこっちを見た気がするんだけど……やっぱり、メシア様の知るヒートとは違ったから?
「よし。次は今回メインの召喚の儀だ。召喚に必要な魔法陣は事前に準備させて貰っている。魔法陣の中心で呪文を唱えると、その者に合ったパートナーが契約してくれるはずだ。その種族は千差万別。どのような者でも大事にしなければならないぞ」
ムサシ先生が言ったけど、ここがメインどころ。勿論、私の召喚じゃなくて、メシア様が大天使を召喚する場面。あの力を入れた神々しいCGを生で見る事が出来るんだから。
その後のセシル達の召喚は、メシア様と比べるとショボくて……そこは主人公を輝かせる場面だと賛否両論あったぐらい。
「まずはメシア=ヘルズ。見本となるべく、先に召喚の儀を行ってもらう」
ムサシ先生を中心に魔法陣が地面に描かれ、何もない場所から水晶玉を取り出した。多分、学生証に後から追加されるアイテムBOXからだと思う。それを魔法陣の中央に置き、ムサシ先生はその場を離れた。
「魔法陣の中心へ。そこで何も考えず、水晶玉に手を触れろ。そうすれば、自然と頭の中に呪文が浮かんでくるはずだ。全員が同じ呪文ではないからな」
そう!! 全員が召喚呪文が違う中、それが分かるのは主人公のセシルとメシア様だけ。他は省略されてる。【テアワン】の同人誌では、色んな人が勝手に作ったけど……
メシア様が魔法陣の中心へ。メシア様がこっちに近付くたび、セシル達は後方へ押しやられる。
私は大丈夫なんだけど、ムサシ先生に後ろへ下げられた。
「我がメシア=ヘルズの名において命ずる。光と闇の心を持ちし者、我が世界に破壊をもたらす者よ。共に安寧たる地を作らん」
彼女が呪文を唱えると、魔法陣から白と黒の光が半々に立ち昇り、宙でそれが一つに混ざり合わされる。そして、登場するのが……
「大天使ルシフェル。主の命により、この地に」
私達の倍以上の大きさ、全長五メートルはある大天使ルシフェル。金髪の美男子で、何も着てない真っ白な肌の無垢な姿。その背中には翼が六枚あるんだけど、今は全てが純白。それが一つずつ黒に染まり……【テアワン2】では大天使が堕天使に……
メシア様の呪文も【テアワン2】への伏線になってたわけだ。
「契約者よ……我が手に触れよ」
メシア様がルシフェルの手に触れると、彼は姿を消して、首輪、左右の腕輪の三つの輪になり、メシア様の体に装着された。一つの輪ごとに一対の翼の力が含まれてる。
「メシア=ヘルズ。召喚の儀はそれで終わりだ。まさか、大天使を召喚するとは驚きだが……お前達も惚けてないで、しっかりするように」
ムサシ先生は両手で大きな音を立て、セシル達を正気に戻した。大天使ルシフェルの威光か、もしくはメシア様の声の魔力に酔ったのか。
「大天使はお前が名を呼べば召喚に応じるはずだ。その装飾品が契約の証であり、お前に補助的な力を与えてくれるぞ」
メシア様はコクっと頷き、魔法陣の外へ。下手に声を出して、セシル達に負担を与えないようにしたんだと思う。
「次はお前達の番だ。水晶に手を触れ、何も考えるな。そうすれば、頭の中に呪文が浮かんでくるはずだからな」
ムサシ先生が再度私達に召喚の儀のやり方を教えて、セシルの背中を押した。それに応じて、セシルが魔法陣の中に歩み寄る。




