メシア=ヘルズ
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「時間ギリギリだぞ。五分前行動を心掛けるように」
「すみません。以後、気を付けます」
私が旧校舎前に到着する時にはEクラスを担当するムサシ先生を含めて、全員集合してた。
Eクラスの五人。私とセシル……もう一人の主人公、セシルの双子セシリーもやっぱりいた。
【テアワン】だとセシルとセシリーのどちらかだったけど、【テアワン2】だと一緒に出てたからね。一人増えてるとしたら、それぐらいしか考えられなかったし。
横一列に並んでいたので、私もそこに加わる。隣はセシリー。反対側にセシルがいる形。
セシルがチラチラとこっちを見てる感じがするけど、昨日の出来事を謝ろうとしてるのかも……
その謝罪がヒートのプライドに触れて、セシルをライバル視する理由の一つにもなったはず。
「私がこのクラスを受け持つムサシだ。Eクラスを落ちこぼれと思わなくていい。私達教師は見込みがあると思い、一から学ばせる事にしただけだ。勿論、それはお前達の努力次第でもある」
ムサシ先生の叱咤激励。この台詞もあったあった。Aまでになると、そのクラスに組み込まれる形になるわけで、Bまでは同じクラスのまま行けたりもするんだよね。
「召喚の儀をする前に自己紹介をしてもらう。授業等でパーティーを組む時もあるからな。右から順番に行こうか」
セシルから順番に自己紹介で、最後が私。ヒートは他メンバーに啖呵を切るんだけど、それはしないつもり。一緒に授業を受けたりした方が強くなるのは同じだと思う。
私達の自己紹介が始まるその前に……
「先生!! 僕達の自己紹介を始める前に………彼女はこちらに来なくても良いんですか? 離れた場所で一人でいるのは……」
セシルが手を挙げて、ムサシ先生に尋ねる。私達が先生の話を聞いてる間、旧校舎を眺める女子学生が一人……その正体はメシア様。
旧校舎は学園が授業で使うダンジョン用に残した物で、幽霊が出るみたいにボロボロ。実際に魔物として出るんだけど、それは置いといて……
「彼女はメシア=ヘルズ。お前達と同じ一年でありながら、すでに学園一の実力を持っている。学園長が特別に彼女のためだけにSクラスを作る程だ。お前達の目指す目標と言っても過言ではないな」
ムサシ先生の声に反応して、メシア様は旧校舎から私達の方へ振り返る。それから離れた場所で順々に相手に視線を向けていく。
「うっ……」
「なにこれ……」
「魔法を受けてるの?」
「……怖い」
セシル達はメシア様の視線に耐えきれず、胸を抑えたり、冷汗を流したり、膝が崩れそうになったりしてる。
「済まないな。他クラスは人数が多く、EとSは召喚の儀を同じ場所にする事にした。お前達がそのように感じるのは魔力の差だ。彼女の魔力は膨大で、外に溢れ出ている。一定の魔力が無ければ、近寄る事も出来ないぞ。目を合わす事も声を聞く事もだ」
メシア様が私達から離れてるのには、そういう理由がある。Sクラスが存在するのもそれ。魔力の壁みたいなので、相手を寄せ付けない。これのせいで彼女は一人でいる事が多い……孤独なんだよね。
【テアワン】の時は最低でも魔力がBにならないと近くに行くのは無理だったから。
「ん? ヒート=ラインバルト……お前は大丈夫のようだが……メシア=ヘルズ。申し訳ないが、彼等から視線を外してやってくれ」
メシア様は私の事をジッと見た後、ムサシ先生の言葉に再度、旧校舎の方へ視線を向けた。
メシア様に視線を受けれる事に感謝。違った意味で倒れそうになる。彼女に会う事もあって、遅刻するわけにもいかなかったのよ。
セシル達みたいに体調が悪くならないのは、ヒートの体質のお陰だと実感。それにヒートがメシア様に近寄れた理由も納得出来た。




