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救い①

~異世界メジューワ、リデニア国、零一遺跡~


木箱の中にはピューネと呼ばれる

少女が横わたっていた。

「この木箱は見えない壁に沿って俺が作ったもの、妹は生きている、それをずっと隠し旅を続けて来た・・・女神様、あなたはその存在に気付いていた、お願いします!助けてください・・・妹を救ってくれっ!」

必死に懇願するアンプレスを見て

ナトスとミノアは警戒を解いた。

ナトス/ミノア「・・・」

「アンプレスさん頭を上げて、それに私は女神じゃない、加護を持ってるだけ・・・ソロル・ノウビシウム、ソロルで良いわ」

「そうか、それは申し訳な・・」

アンプレスは頭を上げながら

ソロルの顔を見た。

「(!!女神にしか見えん・・・ヤバイ、直視できない)」

そそくさと視線を外したアンプレスは

赤面しつつ言う。

「・・お、俺はアンでいい、みんなそう呼ぶ・・」

その様子を見ていたミュウが呟く。

「これは・・何か臭うのです・・・」

「ん?そうか?・・」

ユナは自分の身体をクンクンと嗅ぎながら言う。

ナトスが話を切り出す。

「そう言えば“啓示”を受けたと言ったな、妹の存在に気付けたのはそのせいか?」

ソロルはその問いかけに

頷いて見せた。

それを見たミュウとユナが言う。

「ほんの一瞬だったのです」

「どんな“啓示”だったんだ?」

ソロルは女神の像に視線を移し答える。

「確かに・・こっちでは一瞬だったかもしれないけど、私は女神ヘンアの精神世界でかなりの時間話を聞いたわ・・・」

ソロルはナトス達に視線を移し続けた。

「あなたたちへの伝言もあるわ、神からの伝言・・女神ヘンアはアルモニア様と言ってた」

「・・・聞かせてくれないか?」

ナトスが促すと、

ソロルは頷き、話し出した。

一語一句間違わず言葉にしていく。

女神の啓示は、

“女神の加護を持つ者を助け、救いの手を”

そして神アルモニアからの伝言は、

“・・アレ?バン!・・これ繋がってる?バン!バン!・・あっ!OK繋がった!・・えーっと・・何だっけ?あっそうそう、ナトストミノアに伝えて!女神の啓示が特異点に・・ながるの!これ・・聞いて・・・・という事は本来・・・・ランから漏・・てる、だと・・・・ら特異・・・・発生はにじゅ・・・・のはず!・・だよ・・・・ポ・・コツは!バン!バン!・・・・”

だったことを。

「わ、我ながら凄すぎる、こんなに完璧に覚えているとは・・・」

ソロルがそう言うと

ナトスとミノアは頭を抱えた。

ナトス/ミノア「・・・」

するとユナが言う。

「最後の何だ?電波の遠い電話口の声みたいに飛び飛びだったし・・・」

「そうなのです、殆ど聞き取れないのです」

ミュウが追従したところで

ソロルが言う。

「飛んでる部分はブブとかジジとかの電子音だったわ、女神ヘンアはその辺も完璧に再現させてたけど私には無理、因みに声も神アルモニアの声だったと思う、聞きおぼえがあったし」

ナトスは天を仰ぐように頭を抱え

ミノアは大きく肩を落とした。

ナトス/ミノア「・・・」

そしてユナは素朴な疑問を投げかける。

「でもその人神なんだろ?何でそんなポンコツ無線機みたいなので伝言を?大事な話なんじゃないのか?」

「さ、さぁ・・」

ソロルが苦笑いを浮かべると

ナトスとが観念したように語りだす。

「・・彼女・・アルモニアなら大いにあり得る・・・おそらく伝えようとしたのは俺達の目的に繋がる答えだ、そこまで話す前に途切れてしまったようだがな・・」

そしてミノアが補足する。

「アルモニアさんは、ここぞって大事な場面で凶悪極まりない天然ボケを発揮するんだ、僕と兄さんは何度かそれに振り回されている・・・怖くない?そんな神様なんだよ・・・」

恐怖を煽るようなミノアの言い方に

ソロル達は苦笑いを浮かべる。

そしてナトスが疑問を投げかける。

「しかし、その話だけではアンプレスさんが妹と二人だとは気づけないはずだが?」

その問いにソロルが答える。

「女神ヘンアが補足してくれたの、出来る範囲でって言ってたし、曖昧な言い方だったけど」

ソロルはそう前置きし

精神世界での続きを話した。

・・・

「・・って言う話だったわ」

ソロルの話を聞きながら

ナトスの思考は加速していた。

「(・・・本来・・アルモニアが作らせた・・助けを必要・・・)」

話を聞き終わった

ミノアが言う。

「なるほど、ここで“出会った”アンプレスさんが“救いを求めた”から二人だと思ったんだね、話の流れから妹さんだと」

その話を聞きながらアンプレスも立ち上がっていた。

そしてソロルは一歩前に出て言う。

「そうよ、そしてアン・・・あなたも持ってるんでしょ“女神の加護”」

アンプレスは愛称で呼ばれ、ボンと赤面させた。

それでも今回はソロルの顔をしっかり見て話す。

「(か、可憐だ・・・はっ!)そ、そうだ、俺は“エネア”を持っている・・」

ソロル「(ゆでだこ?・・・)」

ミュウ「(・・加護持ちの偶然の出会い・・・)」

ユナ「(わぉ!一目ぼれってやつ!?解りやすい・・・)」

ナトス/ミノア「・・・」

アンプレスが続ける。

「・・それと妹のピューネも・・・“テセラ”を持っている、2年前のある事件以来この状態で、あらゆる外的干渉を受け付けなくなった・・」

「二年前?」

ソロルが聞き返すと、

アンプレスは説明する。

「・・俺とピューネはアモリア北部の孤児院で育った、家名なども当然ない俺達はみんな家族の様に暮らしていた・・・」

ナトス「・・・」

アンプレスは続ける。

「俺はアモリア国冒険者として孤児院の家計を支えていた、2年前のその日も稼ぎを持ち帰路についていた・・・孤児院についた時火の海だった、ある犯罪組織の手によって全焼した・・・幼い家族を含む8人の亡骸と共に・・・火事の最中、この状態のピューネだけを抱え脱出した、運が良かったんだ、外的干渉を受け付けないこの壁は炎も退ける形になってた・・・他の家族は手遅れだった・・・マザー・キャロライン・・院長に覆いかぶさるように、幼い弟、妹・・幾重にも重なった家族は火だるまだった・・・その光景は俺の脳裏から消える事は無い・・・」

「・・ひどい・・・」

あまりにも凄惨な話に

ソロルは言葉を失くした。

「その事件は“孤児院大虐殺”・・“リベロット事件”なのですね?・・・」

ミュウのその問いに

アンプレスは頷き続ける。

「そうだ・・・犯人は直ぐに判明した、使われた“魔道具”が特殊なもだったらしい・・・俺は・・・4年前“女神の啓示”を受けて居なければ、復讐者となっていたかもしれない・・それほどの憎悪を・・今でも感じている・・・でも今は、妹が先だ、頼むソロル!妹を救ってくれ!」

ソロルは狼狽えつつ答える。

「救ってって言われても・・・私にはどうしたらいいのか・・・妹さんはこの状態で生きているのよね?」

その質問にアンプレスは答える。

「それは間違いない、俺は何度もそれを実感できる場面を経験している、只々この見えない壁を突破できないんだ、考えられる事は何でもしてみた・・それこそこの槍斧で思いっきりぶっ叩いた事もある・・・」

「(ぶ・・ぶっ叩いた・・・はははは)」

女性陣一同苦笑いを浮かべる。

「(でもそこまで追い込まれるほど色々やってみたって事・・・わからない・・人の力でどうにかなるものなの?・・・)」

ソロルはそう思いながら

自然とナトス達に視線を移した。

いやソロルだけでではなく

ユナとミュウもナトス達を見ていた。

そしてその視線に気づいた

アンプレスも彼らに視線を移した。

「・・ははははは・・・」

皆からの視線に気づいたミノアも

苦笑いを浮かべつつ

ナトスを見た。

「・・・なんだ」

皆の視線に気づいているナトスが

そう言うとソロルが答えた。

「・・いや、何となーくこの辺で、スパッと打開策が出て来るんじゃないかなーて・・・」

ソロルが苦笑いを浮かべると、

ナトスはため息を付きつつ言った。

「フー・・・その子を外に出す事は可能だ・・」

一同「え!?」

「そうなの!?」

驚愕の返答に一同が驚いていると

ミノアが言う。

「良かった、言わないつもりなのかって一瞬思っちゃったよ・・・僕らは一目見た時にこの壁を壊せる事を知ってた」

「本当なのか!?」

アンプレスがそう言うと

ソロルが怪訝な顔で言う。

「・・なんですぐ言わないのよ、人が悪いわね・・・」

その問いにナトスは答える。

「言うのをためらっただけだ、ミノアが言ったように言わないでおこうとすら思った」

これを聞きユナとミュウが詰め寄る。

「なんでだよナトスさん!」

「そうなのです!意地悪すぎなのです!」

それをミノアが割って入る。

「ちょっと待ってみんな、確かに兄さんは意味の無い冗談を言ったりするから信用を置けないかもしれない、でも“沈黙”には意味や意図があったりする・・・兄さん、何を気にしてるの?僕にも考えつかないよ」

するとナトスは観念したように話し出した。

「・・・まっ、ここに居る大人たちに協力を仰ぐのもありかもしれんな・・・一つ大きな懸念がある・・・」

「・・懸念?」

アンプレスが聞き返すと

ナトスは続ける。

「その懸念は、この子が目覚めた後起こりえる・・・俺はそれを“安全”に“助ける”方法が思いつかない・・・もっと言うなら、苦手だと言っても過言ではない・・」

「助ける?(目覚めた後に?・・・)」

その問いに頷きつつ

ナトスは続ける。

「そうだ・・ソロちゃんの受けた啓示にあるだろ?“救い”と“助け”・・・今回の件に限る事ではないだろうが、今二人はそれを必要としている・・・そして、その子を外に出すと言う行為そのものは、アンプレスさんを救う事になり、その子が助けを必要としているという事だ」

「どういう事だ?ピューネをここから出す事はピューネの救いじゃないのか!?」

皆当然そうだと思っていた為

話しを飲み込めずにいた。

「・・さっきも言ったようにみんなの協力が必要だ、その為にも誤認を解きしっかり理解してもらう・・・一つ一つ説明をしよう」


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