アンプレス①
~異世界メジューワ、リデニア国、零一遺跡~
俺の名はアンプレス。
こことは違う別の国から“女神の像”の奇跡にすがる為やって来た。
“女神の像”へ着いた時、俺は度重なる戦闘で満身創痍、
「っぐ、がはっ!!・・・」
ドサ!
“女神の像”の前で気を失った。
しかし数時間後目を覚ます。
破れた服は戻らないが、一切の傷はきれいさっぱり無くなっている。
これはこの布に包まれた中身の力によるものだと知っている。
いつもこうだ、だから俺は前に進むため立ち上がる、いつもの様に。
いつもと違ったのは、
「あれ?誰か居る・・・」
そう
「何!?あなたボロボロじゃない!」
本物の女神に出会った。
「大丈夫!?」
17時間前
~民間B型ギルド「オーバー・ザ・リミット」~
コンコン。
「失礼します」
カチャ。
「お連れしました」
ギルド職員ファンが、
大きな荷物を背負う男をマスター室に連れて入って来た。
男はマスター室に居た二人の人物に近付きつつ言う。
「いやぁ~僕は運が良かった、まさかこうしてお話を聞いてもらえるとは、それに」
見た目の風貌とは違い気さくに調子よく話す男に、
マスター室の二人は一瞬怪訝な顔を見せた。
男は続ける。
「ギルドマスターがこんなに綺麗な方だとは思いませんでした♪」
すると椅子に座っていた女性が立ち上がり、
挨拶をした。
「私は当ギルドマスターのエルガ・モンテイロ、あなたは?」
男は答える。
「あっちゃー、これは大変申し訳ない、挨拶が遅れてしまったが、俺はアンプレス、アモリアから流れて来たAランクのソロ冒険者です♪」
終始調子よく話すアンプレスに、
エルガの隣に立っていた男は険しい顔のまま挨拶を返す。
「俺はユート・トラフォール、このギルドの“専属パーティーリーダー”をしている・・・」
「“専属”ですかぁ、いやぁ~マスターエルガさんが最も信頼を置いてる人物という事ですね、さぞ・・お強いのでしょう?」
アンプレスが調子良い口調から最後挑発的な口調でユートに言うと、
ユートは笑みを浮かべつつ返した。
「あなたと同じAランク、どちらが強いかは・・やってみないとわからんが・・」
「(フン・・)」
アンプレスも薄笑みを浮かべていると、
パン!
「はい!そこまで」
エルガが手をたたき二人を制し、続けて言う。
「二人が“模擬戦”をやると言うのなら下のトレーニングルームを使用しても構いませんが、“鑑定”をかけさせてもらいますよ?武器の使用も禁止です、そんなことよりも、アンプレスさんがここへいらした目的は何でしょう?先にお聞かせください」
怒られた感じがしたアンプレスとユートは、ばつの悪そうな表情を浮かべた。
そして頭を掻きながらアンプレスが言う。
「・・いやぁ~他所で色々聞いても不確かな情報ばかりでねぇ、マスタークラスなら一定の信頼を置ける情報が得られるかなぁ~ってね、俺は“零一遺跡”の“女神像”を目指している」
最後の部分だけ真面目に言うアンプレスの言葉に、
ユートは目を伏せた。
そしてエルガは真面目に答える。
「私たちは他国の上位冒険者を無下に扱うような事はしません、だから正直にお答えします、“女神の像”は13階層に有り、お一人では到底到達不可能です、このユート程の実力者が3人居り優秀な治癒士を含めた4人以上で何とか到達できるでしょう、それほどの難易度で極めて危険な場所です・・・」
「そうか・・・」
アンプレスはエルガの話を聞きにそれだけ言うと少し考えて話し出す。
「・・・っで、詳しい場所は?」
「な!?・・・アンプレスさん、私の話し・・」
「待て、エル・・・」
アンプレスの質問に、エルガが怒りだそうとしたのを、
ユートが静止し続けた。
「アンプレス、希望通り詳しい場所は俺が教えよう、何だったら馬と“転移”のおまけを付ける・・・先に俺の希望を聞いてくれたら・・・だがな」
「(はぁ・・・)」
エルガが頭を抱える中、
アンプレスが質問する。
「転移士は俺と馬も一緒に転移してすぐ一人で戻れるぐらいの技能を?」
「ん?・・・あぁ、問題なく連続使用でここまで戻ってくるだろうが・・・」
ユートはアンプレスの質問の意図が分からなかったが、
それを聞いたアンプレスは笑みを浮かべながら答える。
「のった!話しを聞こうじゃないか」
そしてユートも笑みを浮かべる。
14時間前
~零一遺跡入口~
赤い魔法陣が現れ、
その中心にアンプレスと女性、馬が1頭現れる。
「はい、到着でーす」
「いやぁ~確かに優秀な転移士だぁ、助かったよシェイラ♪」
「いいのいーの、マスターの頼みだからねー、褒められても何も出ないよ、んじゃ、私はこれで・・・ん?」
シェイラと呼ばれた転移技能士がギルドへ帰ろうとした時動きが止まった。
「あ、あれ~?・・・今日は体調悪いのかなぁ・・・」
それを見ていたアンプレスが馬を繋ぎつつ訪ねる。
「どうかしたか?具合でも悪いのか?」
シェイラは苦笑いを浮かべ答えた。
「か、帰りのMPが足りなかった・・・まー1時間もすれば足りる所まで回復するし、休んでから帰ります」
シェイラがおちゃらけて見せると、アンプレスは笑いながら言う。
「そうかぁ、良い物があるよ~俺の背中の荷物に触れてごらん♪」
「その大きな布ですか?」
アンプレスの提案を疑問に思いながらもシェイラは布越しに触れてみた。
「!!こ、これって・・・」
驚くシェイラにアンプレスが言う。
「凄いだろ~うちの“家宝”だ♪」
「癒しのアイテム!?・・・」
シェイラは自身のMPが回復していくのを感じ驚いた。
そして3分後。
手を離し、シェイラは言う。
「・・・こんな短時間で充分な量まで回復した・・・凄すぎ・・」
それを受けてアンプレスは言う。
「だろ~、それじゃ気を付けて帰ろよ、俺は行くよ」
そして最後に付け加える。
「それと帰ったらユートに言っといてくれ、今度、飯を驕ってやるってな」
~零一遺跡~
1階層から5階層までは結構余裕はあった。
極力無駄な戦闘避け、順調に進んでいた。おそらく1時間もかかっていない。
6階層からはダメージを受ける事もあったが“家宝”のおかげもあり、
休憩を入れつつ進めて居たが、遺跡に入った10時間後、
11階層目からは正直一匹も倒せなかった。
技能を駆使し、隙をついては逃走を繰り返しつつ奥へ進み、
下の階層へ通じる道に飛び込むように進んできた。
当然無傷じゃいられない、しかし魔獣を倒せていない以上追われ続ける。
休む暇は一切なかった。
運が良かったのは、この13階層目。
魔獣の気配が一切なく、
淡い光を発する“女神の像”へ歩み寄り、
気絶と言う名の休息を取れた事だ。




