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遺跡②

~異世界メジューワ、リデニア国タービの遺跡~


シュ!!

「・・・(本当に、おかしい・・・)」

遺跡に入り約70分14階層に到達していたベネー達は

未だ一度も魔獣に遭遇することなく歩き続けていた。

「(時折聞こえる空を裂くようなこの音と何か関係が・・・)」

音の正体もわからぬまま三人は奥の部屋の扉の前まで到達していた。

「ごめんなさいね二人とも、何も起きないまま最奥の扉まで来てしまいました」

ベネーは手ごろな魔獣と二人が戦うところ見てその強さを見極めようとしていたが、

肝心の魔獣と一匹も遭遇出来なかったことに落胆していた。

「この扉の奥から“も”化物の気配がしてますよ」

ミノアの言っている事は正しかった。

ベネーもこの扉の向こうに魔獣が居る事は百も承知なのだ。

「ごめんなさいね、お二人とも・・・私はこれより先に行くつもりはないの、そもそもここまで来る予定でも無か・・・(え!?)」

ベネーはミノアの発言の違和感を拾った。

「(“も”?・・・ここ以外からはむしろ魔獣の気配何てしていなかったはず・・・)」

ナトスは袋から最後の一本であるイカ焼きを取り出すと、

袋をクシャクシャに丸めポケットにしまい込んだ。

「(え!?)」

ベネーはさらに違和感を感じた。

ここへ来てからナトスとミノアはイカ焼きをひたすら食べていた。

次から次に食べているが残されたはずの竹串がずっと見当たらなかったのだ。

袋の中にずっと溜め続けられていると思っていたベネーは、

それを丸めたナトスの行動に違和感しかなかった。

そして思い切ってそれを確認した。

「ちょ、ちょっとすみません、あなた達がお食べになられたイカ焼きの串はどうされたのですか?」

ミノアはその質問を聞きながら“焼きっこイカ丸”と印字された竹串を凝視し、気付く。

「あっ!!ヤバイ!あれってポイ捨てになるんじゃない!!」

「・・確かに、言われてみればそうとも取れる・・・」

ミノアの発言にナトスが同意しているとベネーが思い返す。

「(ポイ捨て?・・・いや有りえないは、地面に竹串が落ちる音を一度も聞いていない・・・)」

「兄さんが最初にやりだしたんだからね!」

ミノアがナトスに文句を言うと、ナトスは言い返す。

「フ・・何を言う、お前の方がシューティングゲームさながら楽しんでいただろ」

「あぁ~確かにー僕の方がいっぱいポイポイしてるかも!!」

「それはつまりお前の方がいっぱい食べたことも意味しているんだからな!」

「・・確かに、言われてみればそうとも取れるかも・・・」

ミノアがナトスに言い負かされそうになっているとベネーが確認した。

「少し待ってください、本当に私の目を盗んでポイ捨てしていたというのですか?」

ベネーはにわかに信じがたい気持ちで居た。

それをナトスが微妙に肯定しつつ謝罪した。。

「申し訳なかったと思っているが、俺達はポイ捨てしていた感覚ではなかったのも事実です、すみません・・・」

ミノアもこれに続く。

「ごめんなさいベネーさん・・・」

「ど、どうやって・・・私は気づけなかった・・・」

ベネーが未だに信じがたい顔をしているためナトスがミノアに提案してきた。

「ちょうど扉の先に魔獣が居る、そいつで確認してもらった方が早いか」

「そうだね、すぐに拾えるし良いよね、じゃぁここあけるよ」

それを聞いてベネーが慌て怒り出す。

「ちょ、ちょっと待ちなさい、この先に居るのは遺跡の“核”持ちですよ!あなたが倒した猿魔獣よりも確実に強い魔獣です!それにポイ捨ての確認をするためとは何ですか!」

ベネー目線お怒りはごもっともだった。

そしてナトスとミノアは顔を見合わせた後、

その真実を語りだした。

「ベネーさん、ポイ捨ての件ついでにもう一つ謝らなければならないことがあります」

ナトスが言うと、ミノアが続く。

「実はベネーさんの“転移技能”でここへ連れてこられたとき、兄さんに相談したんです、このまま自分たちの力を見せても大丈夫なのかを」


~回想~


“タービの遺跡”入口付近に赤い魔方陣が現れその中心にベネーとミノアが現れる。

「ここが先ほど話した遺跡です、この中に一緒に入ってもらいます」

ベネーが言うと、ミノアが返答した。

「OKですが、その前に少し時間もらって良いですか?」

「えぇ良いですよ?」

ベネーがそう言うとミノアは押し黙ってしまう。

「(?)」

ミノアは“念話”でナトスに話しかけていた。

『兄さん何してる?』

『面白生物を鑑賞中だが、どうかしたか?』

すぐにナトスから返答が来たのでそのまま相談する。

『今、遺跡って言われてるダンジョンみたいなところに居るんだけど来ない?』

『ん?一人か?』

『いや違う、ギルドのベネーさんと一緒、僕らの力がどの程度か知りたいみたい』

ナトスは少し考えて返答する

『・・・力は使わないほうが良いぞ、忍刀も使わない方が良い』

『・・・そっかぁ・・・あの時のエクードさんの反応だよね?』

『そうだ、おそらくこの世界には存在し得ないものだろう』

『爪あとを残さないようにやらないとかぁ・・・』

ナトスは不意に手元の竹串を見つめる。

『いいものがある、この世界のものであるのは間違いないから使えるぞ』

『え!?やったー♪一緒に来てくれるんだね?』

『あぁ行く、迎えに来てくれ』

『分かった、じゃギルドの前にある建物の屋根に』

ソロルとミュウの隣に居たナトスは二人に申し出た。

「申し訳ない二人とも、俺はちょっと用事が出来た、喧嘩しないようにな、じゃぁな」

そう言うとナトスは“瞬間移動”で消えてしまった。

ベネーの前に居たミノアはナトスのことをベネーにたずねる。

「あの、ベネーさん、兄さん連れてきても良いですか?」

「え!?それはかまいませんが、どうやって??」

「じゃぁちょっと待っててください」

そう言うとミノアは“瞬間移動”で消えてしまった。


~公営ギルドA型事業局南支部入口前~


「へぇーじゃぁこの“焼きっこイカ丸”弾で倒していくんだね」

ミノアがナトスに確認するとナトスは付け加える。

「そうだ、これで殺傷する分には問題ないはずだ」

「NINTOUは使わないって事だね」

ナトスから差し出された袋からイカ焼きを取りながらミノアが言うと

ナトスが促した。

「よし行こうか」


~回想終~


ベネーが確認する。

「では、その竹串で魔獣を倒していたと言うのですか?襲ってくる前に!?」

ベネーはそれが可能としたら最低でも三つのことが出来ていないと

不可能だと考えていた。

自分ベネーが気付くより先に魔獣の気配を察知する必要性がある

②直線以外の弾道、つまり複雑に曲げれる必要性がある

③そもそも竹串で倒す必要性がある

そして辻褄が合うと思いつつも、やはり信じがたいと感じてしまう。

ナトスの言葉を借りるなら、二人にとってゲーム感覚でしかなかったことになるからだ。

「やはり論より証拠だな」

納得できそうにないベネーを見て、ナトスがミノアに言うと、

ミノアもそれに同意する。

「ベネーさんの事は僕たちが必ず護ります、だから、ここ開けますね」

「え!?」

既に情報が多すぎて理解に苦しんでいたベネーは、

久しぶりに“護る”と言われ思考が止まってしまう。

そしてナトスが扉を蹴破った。

バコッ!ドン!!

凄い勢いで開かれた扉の奥から強烈な殺気が漂う。

三人の目の前には牛の様な頭で二本の角を持つ魔獣が立っていた。


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