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懸念①

~pm9:01~


「あの時に似てない?」

「何かあったか・・」

視界に広がるボロボロに破壊された豪華な部屋が一瞬にして樹海に変わる。

目の前には3mを超える化物がまさに鉤爪を振り下ろしていた。

ガギーン!

そこに攻撃が来るのを知っていたかのようにナトスは軽々と武器で止めた。

突如現れた目の前の人間に魔獣は「キェ・・」っと威嚇の咆哮をあげようとしたが、

その刹那

シュパン!

頭部が両断され、その一部がズレ落ちた。そこにはミノアの姿があった。

「なんなのコレ(大猿?)」

背負う鞘に武器を納めながらミノアが言うと、

同じような武器を持つナトスも鞘に納めながら振り返り、

足元に視線を向けた。

「この女性に話を聞くのが早そうだが(何でこんな所に一人で・・・)」

そこにはローブの様な物を来た女性が気を失い横たわる姿があった。

「服装からして何回かあった世界に近いのかな?」

ミノアからのその問いに対し、

ナトスは同意し、補足した。

「おそらくそうだろうな、“魔術”なる物を得意とする人間だろう・・だとしたら俺達の召喚に関わっている可能性が高い」

ミノアはしばし考え込み、自身の感じた感覚を口にする。

「情報が少なすぎるね・・状況は33回目のあの時に似ている気がするんだけどね・・・」

「(アルモニア・・・)取りあえずこの女性を保護しよう、なんとか協力を仰げれば良いが」

ナトスも同じように感じていた、そしてそれが意味する事も。

しかし考えても今は意味が無いと思い、保護の提案をする。

ミノアもそれに同意するかのように動き出した。

「ここが何処かもわからないし、ちょっと見てくるよ」

そういうとミノアは跳躍し、周囲の木々を簡単に超える高度に達していた。

そこから周囲を見渡し、夜空に輝く発行体と遠くに街らしき明かりを発見する。

「(うひゃぁー、でっけー月♪どうりで明るい訳だ)お!」『結構遠くだけど街らしき明かりが見えるよ』

『初めての土地だからな、刻んだ方がいいか?』

女性を抱きかかえながらミノアからの“念話”にナトスが“念話”で聞き返した。

そしてミノアが地上へ降りてきて返答した。

「そうだね、念のため3,4回に分けた方が良いかも」

「わかった、じゃぁ行こう」

ミノアがナトスの肩に手を置くと、三人とも一瞬で消え去った。


=====================

~異世界メジューワ、リデニア国内~pm9:04


樹海から慌て駆け出していく三つの影があった。

ソロルと共に居たユナ・ミュウ・アキトの三人である。

一目散に駆けていく三人の後ろに突如ナトス達三人が現れた。

直ぐ近くに人がいたことにミノアが驚き念話でナトスに話し掛ける。

「(ん!?あっぶねー、人居たし)」『鉢合わせるとこだったね・・・』

『あぁ、それにしても何をあんなに慌てて・・』

『何かから逃げてるみたいだけど』

『気付かれても面倒だ、次行くぞ』

ナトスは様子のおかしい三人に疑問も持ちながらも、

ミノアに先を急がせた。

『了解、次は大岩のテッペンかな』

再び音もなく消え去った。

樹海から抜けて来た三人はそれに気づく由もなく走っていたが、

先頭の女性冒険者ユナは徐々に速度を落としていった。

「はぁはぁ・・(この速度で走り続けるのは流石にキツイ、後ろの三人はもっとキツイ・・ここまでくればひとまず安全?・・・)」

後ろを走っているはずの三人に目を向けると

「!!?」

異変に気付きユナは立ち止まった。

「え!?どうしたんですか?」

ユナの後ろを走っていたミュウもその行動に驚き立ち止まった。

「ソ、ソロルは!?」

ユナの指さす後ろを振り返ったミュウも異変に気付く。

「え!?せ、先輩が!?」

二人が止まった事で一旦立ち止まっていたアキトだが、

呼吸を整えつつ歩き出し、喚くように言い放った。

「何止まってんだ!歩きでもいいから少しでも前に進め!」

硬直していた二人の横を素通りしていくアキトに、ユナが怒り・焦りを伴う声で叫ぶ。

「何言ってんだてめぇ!!ソロルが居ねぇんだぞ!置いていく気・・」

「ソロルの犠牲を無駄にするな!!」

ユナの声にかぶせる様に口惜しさと悲しみに満ちたような目でアキトが怒鳴った。

「!?・・・」

「え!?」

アキトが続けて言い放つ。

「俺達冒険者には急ぎギルドへ向かう義務がある、今は緊急任務中と捉え、リーダーに従え!取りあえず黒岩まではこのまま進む、歩きじゃ三時間はかかるんだ、行くぞ!」

「は、はい!」

ミュウは任務中であると言われ、リーダーの指示に返事をした。

「・・・」

そして“義務”を持ち出された責任感の強いユナも無言のまま歩き出す。

「(・・・パニクって技能を使ってたせいだ、全然後ろが見えて居なかった・・私のせいだ・・ごめん、ソロル・・・)」

ユナは隊列の先頭に立ち、いつもの様に前方の脅威を感知する技能を使用し続けていた。

その為後方の異変に、親友であるソロルの危機に気づけなかった事を悔やんでいた。

しかし親友であるがゆえにユナは気付いた。

「(はっ!いや違う・・ソロルにはシャリが居る・・・むしろ一人の方が圧倒的に生存率は高いはず・・・どこかにきっと・・)生きてるよな、ソロル・・・」

一縷の望みにかけ、ユナは呟いた。


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