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ナトスサイド②

間もなく10万文字になります。

超えたあたりで一旦補足説明の為、紹介を入れます。

~異世界メジューワ、リデニア国首都クヨトウ南街・中央~


~路地裏~


「(任務失敗!・・・な、何でこうなったの??)」

ロレーヌは依頼書の禁止事項“接触”を犯してしまった。

それは任務失敗を意味していた。

何も言わないロレーヌにナトスが話しかける。

「失礼だとは思ったが、お互い様だから文句は言わないよな?ロレーヌさん」

「!!?・・・か、鑑定が使えるのね・・・」

ナトスが名前を言った事で、鑑定を使われた事を悟ったロレーヌが観念したように言った。

それと同時に“お互い様”と言うフレーズから

ロレーヌも鑑定をした事がばれていると理解した。

「そうね、私が先にやった事だし、文句は言わないわ、ナトスさん」

「(フ・・)しかし助かったよ、手近な所に時計があるなんて、家は門限にうるさくてね」

ロレーヌは考えていた、やはり“こうなる事”を依頼書は想定していたと。

二枚目はその為に有り、私への本当の依頼はここからなのだと。

「(だとした、どんな意図が・・・)」


~公営ギルドA型事業局南支部カウンターロビー~


ギルドに彼女たちが現れた、私が尾行していた集団。

案の定それが調査対象ソロル・ノウビシウム一行だった。

状況的に確定しているから必要なかったけど、

上位ランカーになる召喚士の実力を知りたくて“鑑定”を使ってみた。

精神強度はなかなかのものだったけど、肉体的にはまだまだって感じだった。

しかし一番興味を引いたのは調査対象の二人。ナトスとミノア。

「(レベル1・・・いや惑わされては駄目ね)」

召喚士は自身より強い召喚獣を行使する。

私はこれでも知識豊富な冒険者でそれを買われてもう一つの仕事を得る事にもなった。

私の持つ召喚士像がレベル表記は意味が無いと言っていた。

調査対象のこの二人はソロル・ノウビシウムより強いはずだと。

私は同時に疑問を持った。

どう見ても人間に見える召喚獣?いや召喚者?そんな話聞いたことない。

そんな事有りえるの?いや、起きたのだと。

「(こんな異質な事が起きるなんて・・・可能だとしたら・・)女神の加護・・・?」

考えてもわからない。

私は任務に集中しようと懐中時計を手に、調査対象の動向を手帳に記載しだした。

対象がギルドを出た後も、気付かれないよう距離を取り、尾行しながら。


~路地裏~


私は対象から30mぐらい離れた建物の影から監視をしていた。

するとある店の前で対象達一行が足を止めた。

私は逐一メモを取った。

“ソロルが立ち止まり話しかける、冒険者装備販売店前、11:30”

“程なくし召喚獣が消失、対象外、直後対象に何かを手渡す”

“ソロルが対象と話をした後、冒険者装備販売店へ入店、11:35”

「(・・・ソロルを待ってるのか?・・話しをしているようだけど・・・)」

“対象の近くを冒険者らしき二名が馬で通過、亜麻色髪の方がそれに興味を示す”

「(対象の目的・・・今の冒険者は関係あるのか?・・・)」

私はこのまま調査を続けその目的が判明するまでに結構時間がかかりそうだと感じていた。

それに依頼書の二枚目、これが私の不安を煽り続けていた。

そして気付いた時には

「え!?(灰色髪、ナトスが居ない!?)」

さらに

「(!!亜麻色、ミノアが消えた!?)」

私はとっさに懐中時計を確認し、それを手帳に記載しようとした。

その瞬間後ろから突然声をかけられた。

「今何時ですか?」


~クヨトウ南街・中央、喫茶店「かぷかぷ」~


「っで、あなたの提案でこうやってデートしてるって流れよ」

ナトスとロレーヌは近くにあった喫茶店で話をしていた。

ロレーヌがナトス達を尾行監視していた経緯の説明を求められていたのだ。

「フ・・時間を聞かれるなんて安いナンパ文句に引っかかるもんじゃないぞ」

ロレーヌの“デート”と言う冗談をナトスも“ナンパ”と冗談で返した。

そしてロレーヌはそんなナトスの対応に違和感を感じていた。

「(おかしい・・・普通、自分を尾行監視していた人間を見つけたら平常心じゃいられない、今私は経緯を説明しながら依頼書の一枚目を渡したのよ・・・自分を調査しようとしている人間が実際に居ると突きつけられた、すぐにでもこれは誰だと突き詰めたくなるはず・・・)」

ロレーヌの言う通り依頼書の一枚目はナトスの手にあり見られていた。

二枚目に指示されていた通り、ロレーヌが渡したのだ。

そしてナトスはそんなロレーヌの対応に違和感を感じていた。

「(想定内か・・・多少緊張は見えるが冗談を言う余裕がある、気付かれる事を想定していたと仮定するなら、この依頼書を俺に渡す流れもシナリオに無いとおかしい・・・仮定が間違えか?・・・一から考え直そう・・・)」

二人の間に沈黙が流れるなかロレーヌが話しかける

「あんた・・レベル1だけど、かなり強いんじゃない?」

ロレーヌは平常心でいるナトスの秘密はその強さにあると考えていた。

そして続ける。

「普通“鑑定”されたのを気付くなんて無理だし・・・強さの秘密は何?」

「!?」

一から考えなおそうと、依頼書を見ていたナトスは、

この発言から一つの疑問が生じた、そしてそれをロレーヌに投げかける。

「この依頼書に“対象への技能使用は最小限”とあるが、自分でどう思う?“鑑定”は必要だったか?」

ロレーヌは質問の意図がわからない、

しかし“聞かれた事には素直に応じる”必要がある為、

真面目に考え答えを出した。

「(“鑑定”?対象を確定させるためには必要に決まってる)そうよ、必よ・・・(いや、待って、依頼書の情報だけでほぼ対象の確定は可能だった・・・だとしたら・・・)・・必要なかった可能性が高いわ」

「(やはりな、だとすると・・・)」

ロレーヌは“※対象への技能使用は最小限で可”を

犯していた事も突きつけられた感じがした。

自分のダメさ加減に苛立ち、依頼書の二枚目だけは達成しなければと気がはやりだした。

「まっ、私はまな板の鯉、生きるも死ぬもあなた次第、お好きにどうぞ」

「・・・」

ナトスは考えていた、そして当初の仮説は間違えではなかったと気づいていた。

だとすると、依頼書を渡すシナリオがロレーヌに伝わるようにしてあるのは間違いない。

つまり依頼書を渡す依頼書があるはず、ロレーヌはそれを隠し持っている。

しかしもはやそれはどうでもいい事。ロレーヌの依頼主に直接聞けばいい。

「(だが、その意図はなんだ・・・自分が依頼主の立場なら・・・)」

ナトスが無言のままコーヒーを飲みすましていると、

ロレーヌが苛立ちながら答えを求めて来た。

「っで!どうすんの?私より圧倒的にあんたが強いんだから、こうなった以上殺されるの?無罪放免なの?」

「(ん?・・・なるほど)」

ナトスはロレーヌの依頼主が本当は何を調査したのか理解した。

そしてナトスの悪い癖が発動する。

「・・・・・・・」

「何で何も言わないの?さっさと決めて!」

ロレーヌが返答を急かす。

「君はおかしなことを言ってるぞ、生殺与奪の権利は俺にある、それは君も認めてるだろ?では今君は生かされている、そんな立場の君がさっさと決めろはおかしいだろ」

「え?・・・」

ロレーヌは今初めて恐怖した。ナトスの理論は正しいと感じたからだ。

何も“許せないから殺す”と宣言する必要は無いのだ。

今は生かされているだけ、次の瞬間殺しに来てもおかしくない、それが生殺与奪の権利。

「ち、ちょ、わ、私は・・・」

「動くな」

ロレーヌは自身が危ないと感じた時、二枚目の依頼書を開示するよう指示されていた。

今まさにその時と思い、それを出そうとしたが、

目の前にいたはずのナトスの声が後ろから響き、背筋を凍らせた。

「しゃべる事も、動く事も認めない」

ナトスの声が静かに響く

「君が隠し持つその依頼書には興味がない、もはや君から聞きたい事もない・・・」

ナトスは続ける

「君に興味がないから殺す事もしない、今は生かされる・・・」

「(い、今は?・・)」

そして最後にナトスは言う。

「生殺与奪の権利は俺の手の中・・・無論、君が死ぬまでね」

ナトスはそのまま伝票を手に持ち喫茶店を後にする。

程なくして残されたロレーヌは、息を吐く。

「はぁ~・・・生きた心地がしなかった・・・」

ロレーヌもまた優秀な人材。

想定とは大きくかけ離れていいたが、

依頼主が難易度SSSと指定した依頼を完了したのだ。

手帳とペンを出しメモをする

“想定対象ナトスと接触、依頼書Aを渡す、・・・”

「(あれ?時計・・・)」

ロレーヌは懐中時計を持っていないことに気づき、手帳を閉じた。

「・・・大事な時計、もって行かれちゃった・・・」


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