↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お花畑女子のゆるふわダンジョン最強説  作者: 豆の木豆太郎
人気すぎて困っちゃう!曲者が集まる花畑ダンジョン
24/71

1.霧の妖精さんいらっしゃ〜い!

新章開始です。パーティから始まる第二章、どうなっていくのか楽しみです。

 

 カラッとした陽気な暑さが和らぎ、涼しさと共にソワソワとした実りの気配が混じりつつある恵地の上節、日本で言うところの初秋がやってきたらしい。

 どうも、ダンジョンマスターのハルです。皆さまいかがお過ごしですか?



 いやね、“らしい”ってなんだか他人事みたいになっちゃうのにも理由があって、実はウチのダンジョン万年春っぽいんだよね。


 てっきりさ、あんまり季節の移り変わりがない世界なんだと思ってたんだけど、普通に夏も秋も冬もあるらしいの。なんなら雪も降るんだって。マジびっくり。

 あたしのダンジョンが万年春ってのはなんのギャグかと思ったけど、お花が年中咲いてるのならむしろラッキーって感じだよね。


 それもウチのダンジョンにマイルズ達冒険者が住むようになってから、ダンジョンの中はいつも快適だって話を聞いて判明したの。



 ちなみにこの世界では春夏秋冬を芽風・陽火・恵地・閑水って呼んでて、それぞれ上節・中節・下節って分けてるらしいの。

 だから一年が十二ヶ月なのは一緒で、暦も大体一緒な感じ。それで、あたしがこの世界に来たのは春、芽風の中節だったんだけど、今は陽火の節が過ぎて恵地の上節らしいの。うん、めんどくさいしよく分かんない!


 とにかく、年中春だからお花も咲いてるし人も住みやすいしで、ナイスって感じね!



 最近はマイルズ達以外にも冒険者がやってくるようになって、薬草取りしていったり魔の森に向かう中継地として使ってるみたい。

 薬草探しをしている時にたまにダンジョンに隠した宝箱が見つかることがあって、じわじわと客足が伸びてきているの。手の中にすっぽり収まるくらいに小さい箱だから見つけるのは結構難しいみたいだけど、それはそれで楽しんでもらえているよ!

 ちなみに宝箱はギュッとして小さくしているだけで、開けようとすると元のサイズに戻るのよ。不思議でしょ。


 今日もいつもと変わらずに過ごしていると、樹妖精ドライアドのメルちゃんが何か大声で言いながらこっちに向かって飛んでくる。


「ハルちゃーーーーーん!もうすぐ着くってーーー!」

「だーーーれーーーがーーー!?」

「ほら!ウチに来てくれるって言ってた!霧の妖精ちゃんよ!」


 あぁ!あの子ね!

 渓谷エリアを作った時に、誰か妖精さんが住んでくれないかって妖精精霊ネットワークに問い合わせたら興味あるって言ってくれた子が一人だけいたのよ。

 あの後すぐに遊びに来てくれて、渓谷エリアを見てみたらすごく気に入ってくれたのよね。お引っ越ししてくるって話だったんだけど、それから一ヶ月くらい経ったかな?


 そうと分かればお出迎えの準備ね!

 迷宮主腕輪マスターリングからダンジョンモンスターみんなに向けて一斉発信!


『ピンポンパンポーン。もうすぐ霧の妖精ちゃんが我が家に着くみたい!お出迎えの準備をするから、マイスはお菓子、おばあちゃんはお茶とテーブルのセッティングを。トカゲさんチームはお花とか果物を集めて、鳥さんチームはそれを使って飾り付け、マイマイさんチームは祝砲の準備ね!あ、冒険者がびっくりするといけないからおじいちゃんは彼らに伝えてあげてね、以上!』


 よーし!張り切っていくわよー!




 準備を整えて妖精ちゃんの到着を待っていると、魔の森を通る枯れた川沿いに霧が満ちてくる。その霧がだんだんと近く濃くなっていくと、ひんやりした空気を肌で感じることができた。


 霧が渓谷中に充満したと思ったらだんだんと辺りに薄れていって中にいた小さな女の子の姿が見えてきた。



 淡藤あわふじ色のストレートな髪、そこに青を少し垂らしたような涼やかな瞳と、透き通るような白い肌を持った小さな女の子が気さくな様子で片手を挙げて挨拶をする。


「どーもどーも!お待たせしました!改めまして、霧の妖精のキャロちゃんですぅ。よろしくね〜」


 そう、この子ミステリアスな見た目なんだけど、実はめちゃくちゃ元気なんだよね。一度下見に来た時もお話したけど、あの時はびっくりしたなぁ……。


「キャロちゃん遠いところお疲れ様!ようこそあたし達のダンジョンへ!」

「本当に引っ越しって大変なもんなんだねぇ。眷属の霧共々お世話になるわぁ〜」

「やだぁ!お世話になるのはお互い様じゃなぁい!ささっ、歓迎会にしましょ!」


 大阪のおばちゃん的ノリで世間話しちゃってたけど、早速渓谷エリアの崖の上に用意した青空パーティ会場で歓迎会を始めるわよ!


 大きなテーブルの上には、一口サイズの軽食と甘味が綺麗に並べられて、お花で飾り付けされててめちゃくちゃ可愛い!マカロンにカップケーキにサンドイッチ、マリネにカプレーゼにフルーツゼリー……もうテンション上がってきちゃう!

 キャロちゃんを見てみたら目キラキラさせて唾飲み込んでるみたい。



「それでは!霧の妖精キャロちゃんのお引っ越し記念パーティを始めます!」



 マイマイさんチームにウィンクで合図を出すと、一斉に爆裂稲を打ち上げて景気の良い音を鳴らしてくれた。上から降ってくるポップコーンは地面に落ちる前に自動回収されて、早速おばあちゃんがシーズニングしてくれることになってる。


「なんやこのふわふわパリパリ!初めて見るやないか!」

「これは砲塔マイマイちゃん達が育てた爆裂稲のお菓子よ。攻撃手段にもなるから、滅多に食べられるものじゃないの。色んな味付けして後から出てくるから、まずはこっちから食べましょ!」


 うぉぉぉ!なんて雄叫びあげながらすごい勢いでお菓子を食べていくキャロちゃん。ダンジョンモンスターのみんなも色んなお菓子を食べて楽しんでるみたい。


 サリーちゃんはキャロちゃんに興味津々でお話聞かせてーって突撃していったし、コウ・ライ・ジンくんはアムちゃんの張った糸のトランポリンで遊んでる。ランちゃんはトカゲさんチームにモグラ叩きみたいな追いかけっこして遊んでもらってるし。


 その内に冒険者チームもわいわいしてるのが気になって遊びにきて、益々賑やかになった。

 おばあちゃんとおじいちゃんはお菓子とか料理の追加で忙しそうだけど、ニコニコして嬉しそう。アムちゃんはお腹いっぱいになってお菓子齧りつきながら眠っちゃった。



 なんだか甘くて良い香りがするなと思ったら、いつの間にかすぐ近くに大精霊のマグノリア様が来てた。

 前は威厳たっぷりのすごい雰囲気だったけど、今はお忍びモードみたい。気付いたのはあたしとマイスとキャロちゃんメルちゃんくらい。


「ハルさんこんにちはぁ。キャロリーヌがこれからお世話になるので、引っ越しのお祝いに参りましたわぁ」

「マッ!(…グノリア様!こんにちは。こちらこそ、お許しくださってありがとうございます)」

「いいのですよぉ。あの子は霧の妖精にしては珍しく陽気な性格で、往来おうらいの少ない土地では退屈していたようですからぁ」


 そう言いながら頬に手を当てて小首を傾げるマグノリア様はママみがすごかったわ。ばぶばぶ。


 確かに霧の妖精って聞くと物静かなイメージだけど、キャロちゃんはちょっと違うもんね。ここなら常にモンスターも人もいるし、目新しい人がくる可能性も高いからうってつけね!



「あ、そうだわぁ。お祝いの品なんだけれど、今回は私からこの辺り一帯に大地の祝福を授けようと思うのぉ。土壌が元気になってほんのちょっと実りが豊かになるはずよぉ」

「何それすごい!ありがとうございます!」

「あと、それとは別でねぇ、この子達もそちらのダンジョンに住まわせて欲しいのだけれどぉ」


 どこからともなく現れたのは、手の平サイズの黒茶色くて艶々した蟻さんと、その半分くらいのサイズの蟻さん達。

 マグノリア様の説明によると、この子達は黒曜蟻オニキスアントって言って、以前貰ったオニキスハニーを作る蟻さん達なのだそう。

 縄張り意識がすごく強くて巣には女王蟻が1匹しかいないはずなんだけど、女王予備軍の内の一体が何のはずみか進化しちゃったんだって。そのままだと喧嘩になっちゃうからどこか良い所がないかちょうど探していたらキャロちゃんのお引っ越しの話があって便乗したってワケ。


 んもぅ!マグノリア様の頼みなら聞いちゃう聞いちゃう!


 のんびりとお話ししながらお茶したマグノリア様は意外とペース早く色んなお菓子を食べてから優雅に帰っていった。

 テーブルの上で楽しそうに騒いでるキャロちゃんと、早速名付けたオニキスアントの女王蟻、一緒に付いて来てくれた働き蟻達に向かってダンジョンマスターとしての最初のお仕事!



「てことで、これからよろしくね。キャロちゃん、リリオペちゃん達!みんなで楽しく暮らしましょう!」



キャロちゃんの真名はキャロリーヌ・ディ・二ムルです。招待されての仲間入りなので、真名を預けるには至っていません。真名を明かすことになるかどうかは私も知りません!


リリオペは藪蘭という植物のことです。艶々した黒い種子をつけるので、蟻のお尻みたいだなと思ってつけたみたいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。