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めがぽか転生 ~女神のポカに振り回される俺たちの異世界人生~  作者: 東 純司
第五章:めちゃくちゃダンジョン攻略(?)記
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第十階層②/備えあれば



 (――痛い…とは言え我慢できる範疇か。備えが無かったら激痛で動けなくなってたかもな。こうも早く防御を抜かれる相手が出て来るとは)


 【グリフォン】による突進突撃の直撃を受けたカイセ。

 その勢いでカイセの体はダンジョンの壁に押し込まれ叩き付けられた。

 ダンジョンの壁には、まるでバトル漫画のようなクレーターが現れる。

 カイセはそんなクレーターの中心部から地面に飛び降りる。


 (……怪我は無いな、痛みも退いて来たし問題無しと)


 常時展開していた魔法による防御は、今の一撃で砕かれた。

 だがそこを越えても、カイセには純粋な物理999という盾が存在する。

 生半可な攻撃では魔法防御に防がれ、先の突進のように防御を越えたとしても999に阻まれカイセの体に傷を付けることは無い。

 勿論、その999すら超えてカイセに傷を付ける手段は複数存在しているが、少なくともグリフォンの先の一撃はそれに当てはまらなかったようだ。

 結果カイセは無傷……だが、体に一切傷が付かずとも生身で受ければ痛み(・・)は順当に感じてしまう。

 

 ――カイセの身体ステータス999。

 これは体の強度・防御力にも影響するステータスだ。

 その最高数値が身を護るカイセはそう易々と傷が付くことは無い。

 だが…そこにどういう仕組みや計算式が適用されてるのかは分からないが、怪我が無くとも受けた衝撃相応の痛み(・・)だけは通って感じてしまう。

 その為、999があってもタンスの角に足の小指をぶつければかなり痛いし、扉に手を挟んでもとても痛い。

 ステータスが受け止めてくれるのは物理的な損傷のみだ。


 (まぁ痛みを感じないって人間としてはロクな状態じゃ無さそうな気もするし仕方ないとは思うが……と、今はそれよりもこっちだったな)


 カイセは真っ直ぐ前に歩んで行く。

 そしてある程度の距離は保った上で、痺れる(・・・)グリフォンと対峙する。


 (仕込んであった《雷撃》はちゃんと効いてるみたいだな。森の魔物相手にちゃんと実験はして来たが、相手はおかしくなったダンジョンのモンスターだから少し不安があったが…問題ないようで良かった)


 今は飛ぶことも出来ずに地面に伏して悶えるグリフォン。

 カイセが防御魔法に連動させた自動反撃用の《遅延魔法》の《雷撃》は、想定外のグリフォン相手にも上手く効いてくれたようだ。

 タイミングずらしや特定条件で発動させる《遅延魔法》は、遅延・待機中も維持し続ける為の魔力コストとして通常よりも多く魔力を消費する。

 その結果、燃費や効率は悪くなり一般には勝手が悪くなりがちだが、先のようなカイセ自身の反応を超えた相手に対しても有効な上に設置型の罠としても使え、更にはマジックアイテムとして道具に仕込むには難しい等級の魔法も備えとして用意出来る為、魔力量に余裕のあるカイセにとっては有用な術であろう。


 (……でもグリフォン相手だと仕留めきるまでは行かないか)


 仕留め損ねてはいるが雷撃は確かに効いて、グリフォンは起き上がれない程に弱っている。

 ならば回復する前にトドメをと思ったカイセだったが、そうやら双子ゴーレムの方が速かったようだ。


 「グ…ェ――」


 魔剣によって首を落とされ心臓を貫かれたグリフォンは、そのまま絶命し光の粒子と化して消滅した。

 

 (まぁ仕留める事自体は特に問題ないのだが…うちの前衛は中々に容赦ない)


 そうして戦いの終わりを見届けると、観戦していたシロが合流する。


 「――お疲れさま。想定外の相手だったけど、損害ゼロで済んだみたいね」

 「消し飛んだ守りの再展開にそこそこ魔力は使うけど、魔力消費だけで済んだなら充分だな。あの突進の標的が双子ゴーレムだったらそのまま全損しててもおかしくなかったし……何か本末転倒な気がするけど、真っ直ぐ俺に向かって来てくれたのは結果としては幸いって感じではあった。まぁこっち来んなとは思うが」

 「向かって来てほしかったのかほしくないのかどっちなのよ?」

 「そもそもあんなのと遭遇したくない」

 「まぁ確かにね……あら?」


 そんな感想を述べる二人の視線の先に、一つの〔宝箱〕が出現した。


 「……これまた【ミミック】ってオチではないよな?」

 「行ってみなくちゃ分からない。と言う訳でさぁどうぞ」

 「せめて一休み欲しかったんだが……じゃあ行ってくる」


 カイセは双子ゴーレムを伴い、その宝箱へ近づいていく。

 いつでも下がれるように心構えをしていたが……どうやら今回は本物の宝箱のようだった。


 「――まぁグリフォン戦の報酬として考えれば、この〔水の聖剣〕も妥当な報酬に思えて来るよな」

 「調査隊は雑魚敵の宝箱からドロップしたみたいだけどね」

 「もう少しバランス調整してほしいなぁ……まぁバグったダンジョンに言っても仕方ないんだが」

 

 その宝箱から出て来たアイテムは件の〔水の聖剣〕であった。

 本来は出現するはずのない報酬。

 第十階層にてようやくのお目見えであった。


 「ほいよろしく」


 特に躊躇する事無く、手にした聖剣をシロに譲り渡す。

 そしてシロは解析(・・)する。


 「……予想通り、この聖剣自体には何の問題は無いわね。そうなると調査隊が手にした最初の〔水の聖剣(一振り)〕はこのまま放置かしらね」


 調査隊が手にし、今は国王の管理下にある〔水の聖剣〕。

 ドロップしたアイテム自体に異常があるなら、多少強引にでも〔水の聖剣〕を回収するつもりであった。

 だがアイテム自体に異常が無い事が確認された為、それも回収せずに放置の方向性となった。

 そもそも事情はどうあれ、調査隊(人々)が命を懸けた真っ当な手段(ダンジョン攻略)で手にした正当な対価だ。

 出来れば権限任せに強引な回収はしたくない。

 手間をかけて折角手にした報酬を『手違いだったので回収します』なんて言われた当事者はたまったものでは無い。

 そこからダンジョン攻略の有用性に疑問を抱かれても問題だ。

 

 「鶴の一声で成果を失うって実例が一度でも出ると、今後のダンジョン攻略自体が敬遠される可能性もあるから極力手出しはしたくないのよね」

 「納得してもらう為に聖剣と同等以上のモノと交換って……って考えても、それはそれで面倒そうだな」


 結局は損得の話。

 〔水の聖剣〕の存在は確かにイレギュラーではある。

 だがそれ自体はただの武具に変わりは無く、それを神様権限による強制介入と言う特例を用いてまで…折角日常に馴染んでいるダンジョンの運営に影を差す可能性を無視してまで注目するべき代物では無いと言うのが最終的な答えらしい。

 

 「ちなみに……カイセくんはコレ要る?無理に回収しなくてもって扱いになった訳だけど」

 「要らないのでそのまま回収しちゃってくれ。そもそもそれぐらい(・・・・・)なら無理に貰わなくても神剣が作れるし」

 『ご要望があれば直ぐにご用意します』

 (まぁ結局その剣自体が要らんから必要ない)

 『ちなみにですが、神剣()の性能ならば同一の素材でより高性能な聖剣の作成が可能です』

 (まぁそうだろうな。だけど当面聖剣作成の予定は無いから大人しくしててくれ)

 『了解しました、マスター』


 そうして水の聖剣の処遇が決まったあたりで、次の階層への扉と〔帰還魔法陣(セーブポイント)〕が出現したのを確認しつつ、カイセは一つ提案をする。


 「――グリフォンのせいで予定よりも魔力の消費量が多い。区切りとしても良さそうだし、ここで少し休憩を挟んでも良いか?」

 「勿論、攻略ペース自体はカイセくんに一任するわ」

 「それじゃここで休憩で」

 「ちなみに私はプリンを所望します」

 「なんで休憩イコールおやつタイムって話になったのかがイマイチ分からないんだが……まぁあるけど」

 「疲れた時の糖分補給。それとあるなら生クリームも追加でお願いします」

 「……まぁあるよ」


 そんな訳で、この先の未知に備えて一休みとなった。



 

12/5 一部修正。ストーリーに変化なし。

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