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めがぽか転生 ~女神のポカに振り回される俺たちの異世界人生~  作者: 東 純司
第五章:めちゃくちゃダンジョン攻略(?)記
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静かな夜



 「ゴク――ふぅ。あ、飲み物貰っていい?」

 「……別に良いんだが、聞く体取るならせめて飲む前に聞いてくれない?」


 自宅のリビングでくつろぐカイセ。

 風呂上がりに冷蔵庫から勝手に飲み物を取り出し飲むシロ。

 日帰りの王都観光から帰宅し、アリシアも帰しいつも通りの夜を迎えたのだった。 

 ……ちなみにだが、持ち帰ったお土産の菓子は既に空になっている。


 「そう言えば、あの手紙って何だったの?」


 瓶の中身を飲み干しながら確認して来るシロ。

 手紙とは、城で貰った土産の菓子の袋に入れてあった封筒だ。

 当然内容は既に確認してある。


 「まぁ、簡単に言えば〔招待状〕だった」


 その中身は招待状。

 噂の〔新しいダンジョン〕の公開式典への招待状。

 招待とは言っても貴賓席がどうこうの扱いでは無く、あくまでも雑多な立ち見席のようなものだ。


 「ダンジョンの式典って、一体どんなことをするのかしら?」

 「まぁ調べた感じだと、冒険者ギルドや管理担当の町のお偉いさんや国の誰かしらが適当に話をした後、ダンジョン一般開放を宣言。その後に予め選ばれた計三組の代表パーティーが順番にダンジョン攻略を開始するってのが流れらしいな」


 ダンジョンの存在は色んな方面に利益を生み出す。

 ゆえにその存在を大々的に知らしめ宣伝する為の式典。

 そして、各方面から選出されたパーティーが初日の、正式な攻略解禁後の第一陣としてダンジョンに乗り込む。

 その光景を見届ける観客としての招待をカイセは受けたのだ。


 「ふーん。それで、それは見に行くの?」

 「興味がゼロって訳ではないけど、それでもわざわざ遠出をするほどではなぁ…って感じではある」

 「なら別にいいんじゃない。それって強制じゃないんでしょ?」

 「自由参加。まぁだから多分行かないと思う。それともそっちは行きたかったのか?」

 「私も興味が無い訳じゃないけど……まぁ別にいいかな。観光ならもっと別のものが見たいし」


 そんな訳で正式に不参加となった為に招待状の出番は無くなる。

 とは言え捨てるのも何なので《アイテムボックス》に仕舞い込む。

 多分いつかするであろうボックス内の大掃除の時まで再会する事はないだろう。


 「ちなみに、結局それを渡すために王城に呼ばれたの?」

 「ん?いやそっちは多分別件……とも言い切れない気がするけど、本題は別にあったよ。なんか聖剣を見せられた」

 「聖剣、勇者の?」

 「いや別の。多分タイミング的にはダンジョンのドロップ品なんじゃないかって思ってるんだが、〔水の聖剣〕って名前の聖剣が俺が作ったやつなんじゃないか?って確認取られた」

 「そう……ん?水の聖剣?」


 その単語を聞いたシロの表情が変化する。

 そして少し考え――


 「まぁ無い事も無いのかな?」

 「何か思う節でもあったのか?」

 「あるにはあるんだけど、まぁ気にする程のものではないと思う。同姓同名の別人に出会ったようなものだから」

 「そうか」


 そう一言返しつつ、カイセは僅かにではあるが微かな不穏を感じ取った。

 今までの経験値から来る直感と言うべきか、それとも要らぬ不安と心配性か。

 後者であればいいなと思いつつ、視線は別のとこに移る。


 「……静かだと思ったらやっぱり寝てるか」

 

 カイセの視線の先で眠る二人。

 ジャバとフェニが寝落ちしている。

 普段は律儀に家に帰り、泊まっていくのはたまになジャバが、ここ最近…正確にはフェニがこの家にやって来てからはこうして寝落ちからの宿泊コースに流れる事が多くなった。

 今日の家主の留守中も、留守番のフェニと共に何かしら遊んで居たようだ。


 「ベットかどこかに運ばなくていいの?」

 「まぁ床で寝て体を痛めるような存在でもないからな、両方とも。起こすのも離すのもアレだし」


 カイセは立ち上がり、重なるように並んで眠る二人に一枚の毛布を掛ける。

 これも最近のいつもの流れだ。


 「仲良いわねぇ」

 「ジャバにとっては初めての同じくらいの歳の……いや正確には、精神年齢で見て近い相手と友達になるのがジャバには初めての経験だろうからな」


 ゆえにはしゃぐのも無理もない。

 立場としてはカイセもジャバの友達枠ではあるのだが、最近はどちらかと言えば保護者がしっくり来る気がする。


 「……この子達を見ていたら、私も眠くなっちゃったわ。そろそろ部屋に戻るわ」

 「そうか。おやすみ」

 「ええ、おやすみなさい……ふぁあ」


 あくびをしながら客室へと戻ったシロ。

 そうしてリビングで起きているのはカイセ一人となった。


 「俺もとっとと風呂入って寝るか」


 自らも寝支度を始めるカイセ。

 仲良きジャバ達の姿に癒されたおかげか、先程感じた予感は綺麗に忘れ去っていた。


 「それじゃおやすみ」


 そして眠りに付いたカイセ。


 ……だがその忘れていた予感は、翌日には正しい予感であったと知らさせる事になる。

 シロを通して伝えられた女神からの呼び出し。

 カイセは教会を訪れ祈り、そしていつもの通り面倒がりながら女神空間へと赴く。  

 

 「――カイセさんにお願いがあります。その新しいダンジョンの最深部の奥へ……ダンジョンを攻略してきて貰えないでしょうか?」


 


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