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めがぽか転生 ~女神のポカに振り回される俺たちの異世界人生~  作者: 東 純司
第四章:世界の果ての七星龍
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果実の力?と来訪者



 「――ほい、お土産」

 「……ありがとうございます。カイセさんって普段は女神(わたし)に対して遠慮も礼儀も何もあったものでは無いのに、こういう時だけは律儀ですよね。選ぶセンスは別として」


 カイセがやって来たのはいつもの女神空間。

 アリシア達にも用意したお土産のまんじゅうを渡す目的と、例の黒天使への報告用の現状把握の為にやって来た。


 「センスと言えばあの不死鳥の名前も……まぁ私が言っても仕方ないですかね」

 「フェニの事か?何か問題あったのか?」

 「いえ、まぁ当人が物心付いた時にどう思うか次第ですが、現状問題はないと思うので気にしなくて良いと思いますよ」


 女神としては『フェニックスだからフェニ』と言う安直な名付けに、あくまで愛称としてのジャバと違い、フェニの場合はそれが本名として登録された事に女神は個人的に思う所があるようだが、あくまでも当人たちの問題なので特に口にし伝えるような事はしなかった。


 「――それで、今日はお土産渡すためだけに来られたのですか?」

 「いや?また何かやらかしてないか確認しに来たのが本題だけど?」

 「……何かカイセさんが私の監視役の立場に収まろうとしている気がするのですが、これは私の気のせいでしょうか?」

 「立場と言うか…何度もやらかすそれを知ってる訳だから、気になるのは仕方なくない?」


 厳密には既にそれっぽい立場に収まったのだと思う。

 何せ黒天使からの秘密裏ながら正式な協力要請を受けてしまったのだから、カイセとしてもあんまり放置もする気はない。


 「それで、結局どうなんだ?余所事もそうだが、特に龍の里だと色々ゴタゴタがあったわけだし、あの中に何か一つや二つぐらいはめがポカが紛れててもおかしくはないかなと思ってはいるんだけど」

 「カイセさんの私に対する認識がそう言うものだと言うことは良く分かりました。――ですが、期待を裏切って申し訳ありませんが今回は何も失敗してません!」


 胸を張って堂々と宣言する女神。

 本来はそれが普通で威張れる事では無いような気がするが、カイセとしてはまずは念押しをせねばならない。


 「……本当に?本当に失敗してない?何も?」

 「はい、してません!カイセさんが経験した、龍の里での出来事の中に私のミスが発端となる事象は一つたりともありません。」

 「……何か変な物でも食べたのか?変な毒でも盛られたんじゃないのか?」

 「あの、そこまで疑います?ですが『変な物を口に』と言うのは当たらずも遠からずな気もしますが……カイセさんからの頂き物(・・・)は口にしましたよ」


 カイセからの頂き物。

 今回持ってきたまんじゅうは未開封のままなので、それ以外の心当たりは〔例の果実〕しか無かった。

 在庫処分も兼ねて前回ここへ置いて行った、〔ドリアンのような癖のあるフルーツ〕だ。


 「あれ食ったの?渡しておいてなんだがキツくなかったのか?」

 「はい、お仕事の合間の休憩時に頂きました。確かに癖はかなり強くはありましたが、頂き物を捨てるのは女神道に反しますし、慣れて来たら悪くはないと思えるようになったのでしっかりと最後まで頂きました」


 どうやら女神はイケる側だったようだ。

 それにしてもあの果実に、めがポカを防ぐ何かしらの特殊成分でも含まれていたのだろうかと勘ぐってしまう。

 正直他に女神がポカしなかった要因が浮かばない。

 だとしたら本格的に栽培して、毎度ここへと持ち込めば今後の面倒回避に繋がる可能性があるのではないだろうか。 

 もしかしたら真剣に検討すべき案件なのではないだろうか?

 そんな思案を脳内で巡らせる。


 「……と、すいませんカイセさん。お仕事の連絡が入ったので――」

 「あ、仕事の邪魔になるか。そんじゃ俺は帰るわ、用件は済んだし」

 「……本当にその確認が目的で来たんですね」

 「今回は問題なかったようだし、これからもその調子でポカゼロを目指してくれマジで。その為の協力なら割と惜しまないから。それじゃまた」


 そうしてカイセは女神空間を後にし、自宅のある魔境の森へと帰って行ったのだった。

 だがそこには――




 「――あ、やっと来た……お帰りー。勝手にお邪魔してるよ?」

 「……何で貴方がいる?」


 自宅に戻ったカイセには、予期せぬ相手が待ち受けていた。

 《結界》や警備システムには一切機能した形跡も無く、その相手は悠然堂々とリビングのソファに体を預けて待ち構えていた。

 だらけた体勢ゆえか少し布の位置が際どくもあるが、今はそれを気にする状況では無い。

 そこに居たのは【白天使のシロ】。

 黒天使クロの同居人である天界の上位存在:天使が、何故かカイセの自宅のリビングにてのんびりと寛いでいた。


 「何でと聞かれると……休暇に遊びにー?」

 「休暇?天使に?」

 「大仕事の後とかだと取れたりするの。一日以上のまとまった休暇なんて十数年ぶりだったけど」


 案の定ブラックな天界職務。

 ……そんな事よりも、一つ確認しておかなければならない事があった。


 「そう言えば……やっぱりバレてたんだな」

 「バッチリ目が合ったじゃん。クロは隠したがってたから気付かない振りをしてたけど」


 例の黒天使の部屋のクローゼットに隠れてた時の話。

 白天使と視線があったような気がしていたが、やはりその通りに認識されていたようだ。


 「まぁクロのお仕事手伝ってくれてるみたいだから覗き(・・)に関しては大目に見てあげる。それよりも……休暇の間、しばらくここでお世話になるからよろしくー」

 「いやあの、こっちは了承してないんだが?」

 「私の着替え覗いたよね?」

 「それさっき大目に見るって言ってなかった?」

 「時と場合により復活ありで」

 「それタチが悪すぎるんだが」

 「大丈夫大丈夫、休暇終わったら忘れてあげるから。という訳でよろしくー」


 そうこう一悶着もありながら、しばらくの間カイセの家に【白天使のシロ】が居座る事になったのであった。



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