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めがぽか転生 ~女神のポカに振り回される俺たちの異世界人生~  作者: 東 純司
第七章:エルフの国のもう一振りの神剣
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不死鳥の帰還




 《――おい、いるかー?不死鳥の飼い主-》

 「ん?あ、アホ()の大精霊」

 《今すっごい不本意な呼ばれ方をした気がするんだが?》

 「気のせいじゃないか?」


 カイセらの部屋にやって来た存在。

 それは例の火の大精霊。

 やらかして完全に威厳を失くした彼の来訪。


 《ほら、お届けものだ》

 「あ、フェニだー!」

 「お、元気そうだな。寝てるけど」


 そんな彼が持って来た箱に入っていたのは、スヤスヤ眠る不死鳥フェニ。

 精霊のもとで療養していた訳だが、今の寝姿はいつもの元気なフェニの寝顔を見せていた。


 「フェニを運んで来てくれたのか。ありがとう」

 《別に…雑用やらされてるだけだよ》

 「雑用って、罰の?」

 《あぁ、この後もあっちこっち回ってこき使われる予定だよ》


 わざわざ眠るフェニを運んでくれた火の大精霊。

 今は先のやらかしの罰として、あちこちで雑用を任される立場。


 「ところで…なんか、フェニの体が少し大きくなってない?」


 なおそうして届けられたフェニの体は…ちょっとばかし大きくなっていた。

 僅かな成長だが、確かな変化。


 《まぁ水の大精霊がやたら熱心に看病してたからな。それに当てられたんだろう》


 それは以前に一度、フェニが過去に触れた事で起こった現象でもある。

 今回のはその小規模版。

 ステータス的な変化は何もなく、ただ体がちょっとだけ大きくなった。

 不死鳥の起源が精霊にあり、水の大精霊の熱心な看病があったのなら起こりえる事なのだろう。


 「…グゥ」

 「お、目を覚ました」

 「フェニー!」

 「グゥ!」


 そして目覚めたフェニ。

 しっかりと元気な姿を見せる不死鳥に、子龍ジャバが飛びついた。

 するとそのままジャバの頭の上に乗っかるフェニ。


 「こう見ると…アンバランスさが増して来てるなぁ」


 ジャバの頭の上のフェニ。

 かつてはサイズ差ゆえに良いバランス構図だったが、体格がそのままジャバに比べて段々と大きくなって来たフェニはそのバランスを崩していた。

 

 「おっと、でも…大きくなった割に重さは変わらないか?」

 

 するとカイセにも乗って来るフェニ。

 だが、どうも大きくなった分の重さの増加は感じられない不思議な成長。

 不死鳥という不思議存在に物理法則を当てはめてもアレなのかもしれないが。


 「グゥー…」

 「お、おいお前!何見てんだこら!?やるのか!?おおう?!」


 そんなフェニは次いで、小人化した二振り目の神剣をじっと見つめていた。

 対する小人は威嚇し、威圧し、メンチを切る。

 だがその体はプルプル震えて、格上への恐怖を隠し切れずにいた。

 実際この小人の性能からすれば、不死鳥にも子龍にも遠く及ばぬ雑魚の体。

 警戒するのも無理はない。


 「まてまて!ちょ…うぉお?!」


 しかしその直後に始まったのは喧嘩でも戦闘でもなく遊び。

 フェニに転がされ玩具にされる小人。


 「ジャバもーえーい」

 「おぉお!?」


 そこに加わるジャバ。

 不死鳥と子龍に振り回される小人。

 

 《そんじゃ我は行く》

 「あ、お疲れ。ちなみに…この小人引き取らない?」

 《要らない。それあの剣の中身だろ?こっちに押し付けんな。じゃあな》


 そして配達を終えた火の大精霊は去っていく。

 一応小人の引き取り依頼を出してみたが速攻で断られた。


 《と…そうだ、一つ伝言。土の爺さんが話があるって》

 「土の爺さん…土の大精霊?」

 《そそ。あとで顔出すってさ。そんじゃ伝えたからな》


 その去り際に思い出した伝言をカイセに伝えて帰って来た。

 残された言葉は土の大精霊の用事。

 



 《――時間を取らせてすまぬな》

 「あ、いえお気になさらずに」


 そうしてその後、カイセのもとを訪れた土の大精霊。

 彼の用件は一つの相談。


 《実はの、そなたの住まう森について、少し話を聞かせてくれないか?》

 「俺の住む森…魔境の?」


 そのお話はラグドアの、魔境の森と呼ばれる自然地帯のお話を聞きたいというものだった。

 特に断る理由はないのでそのまま要望に応える。


 《…ふむ、候補としてアリかの》

 「候補?」

 《実は一部の精霊、土に属するモノたちが移住を検討しているのじゃ》

 「移住?この辺りの土地から?」

 《あぁ、世界樹の変化による環境の変化。その影響と言えばその通りかの》


 土の大精霊がそんな話を訪ねたのは、彼のもとに居る一般的な土の精霊たちの移住の検討の為。

 世界樹の変化は、このエルフの国やその周辺の土地にも影響を及ぼした。

 そんな環境変化した土地を離れようと考える精霊が居るようだ。


 「もしかして…こっちの森に来るんですか?」

 《候補にはなるな。精霊の住まいとして最低限の環境が揃うのは確かのようだしな》


 まだ検討段階で確定ではない。

 だがもしかしたら一部の土の精霊たちが、魔境の森へと移住してくるかもしれない。

 

 (あの森に精霊が増えるって、ちょっと怖い話でもあるけど…でも精霊の恩恵があれば畑の育ちも良くなったりするか?だとしたら割と大歓迎なんだけど)


 そんな可能性を示されつつも、とはいえそれも今すぐではなく。

 実際に来るかどうかもまだ検討中のお話。


 「あ、そういえば、こっちも聞きたいことがあるんですが」

 《ん?なんじゃ?》

 「アレ、要りません?」

 《要らぬ》

 

 そんな土の大精霊にも、小人の引き取り意志を訪ねてみる。

 だが当然のように断られる。

 即断即決しっかりハッキリと、不要と示されればそれ以上は問えない。


 (なんかこう…結局お持ち帰りパターンになりそうだなぁ…)

 

 こうして小人の処分先に頭を悩ませるカイセである。

 

  

 

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