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めがぽか転生 ~女神のポカに振り回される俺たちの異世界人生~  作者: 東 純司
第七章:エルフの国のもう一振りの神剣
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出立前の準備と観光の続き



 「――という訳で、何故かエルフの国に行くことになったんで予定より長引きそうだ」

 「カイセさんが、エルフの国に…ですか?何というかまた…トンデモな行き先ですね」


 その行き先を知り素直な感想を述べるアリシア。

 元聖女候補の巫女でもあった彼女は、同世代の他者よりも多くの知識を持つ。

 ゆえにその国の難点(・・)も理解した上で、カイセにそんな言葉を投げかけた。

 


 『――カイセ殿。其方にはその〔エルフの国〕に出向いて貰いたい』


 王様からのその打診から数時間後の今。

 カイセは一度魔境の森の自宅へと戻って来ていた。

 元々は数日の王都観光。

 そのつもりで家を空けるはずだったが、何やら少しばかり長引きそうな展開になってきたので一度準備をし直す為に帰宅した。

 行きは護衛の役目があったが、帰りは連続転移であっという間。

 ちなみにジャバ・フェニは王都の、エルマの屋敷に預けてから一人で帰って来た。

 幸いと言うか、ジャバたちは理性的なので害意さえ向けなければ問題無い。

 屋敷の使用人さん達でもちゃんと対応できる相手だ。


 


 「ちなみに本来、エルフの国は各友好国にある大使館で来国許可証を得てからでないと門前払いされるはずです。その申請自体数日かかるはずですが…」

 「速攻で用意されてたよ。何というかやる事が早い」


 エルフの国の入国システム上、ただ何となくで出向いても追い返されるだけ。

 ちゃんと来国理由を申請し許可を得ておく必要があるが…その手続きが僅かな間に既に済まされていた王様との謁見の場。

 問題が起きてからたった一時間程での手際の良さ。


 「それで、明日直ぐに?」

 「いや。明後日だな。向こうで馬車とか人手を用意してもらうことになってるけど、その準備もあるからな。まぁこっちも王都戻ってすぐ出発だと、その日は魔力減らした状態で旅立つことになるからそっちの方が有難いけど」


 王都へは明日朝一で戻る予定のカイセ。

 勿論その手段は転移。

 だが戻って早々に出立となれば、当日の道中は魔力が減った状態で、万全とは言えない状態での旅路になる。

 ポーションなどの用意もあるのでそれでも問題はないだろうが、結局向こうの準備時間などで出立は明後日になるので、結果として好都合である。


 「それにしても…国がそこまで準備して、カイセさんをエルフの国に送る…何やったんですか?」

 「俺が悪い前提で聞かないで。俺は何もしてないぞ?」


 ちなみにアリシアには肝心の理由は伝えていない。

 あくまでも『王様から打診を受けてエルフの国に行くから予定より留守の時間が長くなるかもしれない。だから取引や遊びに来るのとかもしばらくお休み』と伝えるだけ。

 ただまぁ思い付きで行けるような場所でないことや、カイセのこれまでのアレコレを踏まえ、また何か面倒事だと直ぐに察するアリシア。

 実際、王様からカイセに伝えられた内容は面倒この上ないお話。

 ただそこにカイセは巻き込まれただけであり、カイセ自身が何かを起こした訳ではない。

 どちらかと言えば騒動の種は、腰元に消えている剣(・・・・・・)である。


 「まぁそんな訳で、しばらくいないから…はいこれ」

 「…はい確かに」


 その用件を伝え、まだ先だった取引を前倒しにしてお米を受け取り対価を渡す。

 長く留守にする際の恒例。

 《アイテムボックス》に入れておけば一度に幾らでも引き取れるのだが、向こうの都合は勿論、対価として渡す食材や素材などの用意も一度に大量には難しいので、必要になる分を必要な分だけで毎度留める。


 「それじゃあ私はこれで。あ…ちなみにお土産期待してますよ?」

 「はいはい。何か良い感じのあったらな」

 「ではまた、いってらっしゃいカイセさん」


 そして最後にちゃっかりお土産を要求しつつ、アリシアは帰っていく。


 「さて、こっちもやることやるか」


 一人になったカイセは、そのまま留守の準備に取り掛かる。

 数日前に既にしたことだが、より長く対応できるようやり直しだ。





 「――門も、一人だと普通に通れるから平和だな」


 そして翌日、再び王都に戻って来たカイセ。

 今回の検問は一人きり。

 カイセ一人なら何の問題もなく通過できる。

 ゆえに平和に戻って来て、向かった先はちょっとした学童保育所。


 「――あ、カイセおかえりー」

 「グル」

 「ただいま。面倒見て貰ってありがとうございます」

 「いえいえ。ウチの子供よりちゃんと言う事を聞いてくれるので随分と楽でしたよ」


 やって来たのはエルマの屋敷。

 そこに預けていたジャバフェニとの再会。

 どこぞの託児所、保育所のように、使用人の協力で二人の面倒を見て貰っていた。

 ちなみに屋敷内ではモコモコは解除し、普通に子龍の姿で過ごす。

 ただ…例の首輪だけは王都にいる限り装備し続ける。


 「ちなみに、エルマ…様は?」

 「ふふ。屋敷内ではいつも通りの呼び方で構いませんよ。エルマ様は今お出かけ中です」


 その家の主は留守の様子。

 元より仕事の為、鑑定士としての役目の為に王都に拠点を移したエルマ。

 昼間に仕事で留守は当然の流れ。

 

 「カイセー。あそこ行こー。昨日のー」

 「昨日って…行き損ねた店?」


 すると戻って来たカイセに、早速昨日の続きをねだるジャバ。

 騒動で中断された王都観光。

 その再開の要請。


 「まぁ…明日には出ることになるし、行くなら今日の内か」


 そうしてカイセは再びジャバたちと、昨日の続きの王都観光へ。

 当然ジャバの服装はモコモコで。


 「…あれ?なんだか感触が…」

 「お洋服でしたら手入れをしておきましたよ」 

 「あ、ありがとうございます」


 どうやら脱がせた後、使用人たちによってちゃんとした手入れを受けたらしい。

 勿論作った張本人であるカイセが手入れはした羊毛だが、プロの手に掛かった方が出来栄えが良い。

 やり方を知識として知るだけなのと違い、ちゃんと技術と経験を積み重ねたプロの強さだ。

 おかげ様でモコモコの心地よい触りが増し増し。


 「それではちょっと出てきます」

 「はい。行ってらっしゃいませ」


 そしてカイセはジャバフェニと共に、昨日の続きに赴いた。




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