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めがぽか転生 ~女神のポカに振り回される俺たちの異世界人生~  作者: 東 純司
第五章:めちゃくちゃダンジョン攻略(?)記
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第二十二階層+α⑤/ソードキャリバー



 「――キツイな」

 『ゴーレム本体および装備魔剣、共に損耗率上昇』


 対峙するモンスターは【ソードキャリバー 脅威レベル10】。

 剣を本体に、生み出した人形が本体を手にして剣技を振う。

 その力も剣技も、脅威レベル10というダンジョンモンスターの上限値だけあって、如何せん双子ゴーレムでも相手をするのに厳しいものがある。

 

 (何とか競ってる感じだけど、こっちは有効打食らってなくてもジワジワ削れてく。いつもの魔法が効かないのも痛いな)


 前衛で物理戦闘のゴーレムに、後衛で魔法攻撃支援のカイセ。

 いつもの布陣がこのクラスの相手になると流石に成果を上げられない。

 カイセがこの布陣で主体としている中威力の魔法。

 そのどれもが今回の相手には通用していない。


 (どれもこれもキッチリ捌かれるなぁ。というかこの威力の魔法を剣で斬る(・・・・)ってのもどうなのか?本体は剣だよな?一応攻撃魔法に触れてるんだし、少しぐらいダメージとして通ってくれても良い気がするけど…まぁそこは剣の技能か)


 魔法が相手だろうと、正しく斬れば(・・・・・・)ノーダメージ。

 剣武の素人であるカイセには分からない感覚だが、相手は今の状況でその〔正しく斬る〕余裕がある。

 

 (速度、更に威力。とにかく今以上にしないとどうしようもないな)


 カイセは更に魔力を高める。

 ……しかし敵はその機微にも反応する。


 「(神剣、デカいのいくからゴーレムはそっちで――)」  


 そうして構え始めた瞬間、ソードキャリバーは双子ゴーレムを強引に弾き、真っ直ぐカイセへと襲い掛かって来た。

 

 「あっぶ!?また――」


 初撃と同じ突進刺突。

 今回は人形を伴う上に、既に知る技なのでしっかりと回避する。

 だが一気に距離は詰められ、そのまま続けて斬撃が繰り出されカイセを襲う。


 「くッ!これじゃあ準備が……離れろ!」


 とにかく側に側にと離れてくれない敵に至近距離から魔法を叩きこむ。

 しかし敵はこれを避ける事も無くハッキリと直撃したはずだが、ダメージどころか怯む気配も無い。

 

 (やっぱ即撃ち出来る程度の威力じゃ話にならない)


 どれだけステータスが高かろうと、魔法を発動させようとすれば絶対的に準備(・・)の時間が必要になって来る。

 そして当然ながら、魔法としての格が上がれば上がるほどに、その準備には時間が掛かる。

 ほぼゼロ時間で放てる程度の魔法では、直撃しても傷一つ付かない。

 中威力の魔法は無理矢理に間に合わせる事は出来るが…先までと同様にしっかり捌かれる。

 となれば肝心要となるのは高威力の魔法だが…こうして直近で纏わりつかれたままでは、避ける防ぐに手を割かれ準備どころの話では無い。

 敵は明確にこちらの有効打(・・・)を潰しに来ている。


 「――ならッ!」


 逃げ回り一転、前に踏み込み殴り(・・)に行くカイセ。

 過去に飛竜(ワイバーン)を叩きのめした拳。

 カイセのステータス任せの物理攻撃に、魔力強化も重ねた一撃。

 剣本体なり人形なり、999に魔法強化を重ねた物理攻撃ならば、流石に敵も全くのノーダメージでは済まないはずだ。

 そう思い振るう拳だったが……


 「なッ!?」


 当たる当たらない以前に、横から双子ゴーレムの片割れに体ごと弾かれた下げられたカイセ。

 味方からの横槍。

 だがそれは裏切りではない。


 「今のお前の判断か?」

 『緊急ゆえに』

 「ナイス。めっちゃ助かった」


 ゴーレムの緊急時の制御を預けていた神剣。

 その判断で助けられた(・・・・・)カイセ。

 それというのも敵の剣が、カイセが突き出した拳にしっかりと合わせて(・・・・)来た。

 拳の軌道に剣の刃を置き、更には魔力を纏わせて強化。

 こちらの動きの流れで(・・・)、そのまま突き出した拳を切り裂こうとして来た。

 一種のカウンター。

 ゴーレムはその不可避の軌道からカイセの拳を強引に外す為にぶつかり押しのけた。

 結果カイセは助かったが…代わりに大きな隙を見せたゴーレムは、その隙を逃さない敵の剣の餌食になる。


 『ゴーレム〔ウコン〕。左腕切断。能力減少も戦闘継続そのものに支障なし』


 カイセの拳が無事だった代わりに、隙が出来たゴーレムの片腕を切り落とされた。

 しかしおかげで時間(・・)が出来た。

 ゴーレムを犠牲に生まれた僅かな数瞬。

 その時間をカイセも無駄にはせず、強引に準備を整えた。


 「――《雷光烈破(ライトニングブラスト)》!!」


 そして間髪入れずに魔法を叩き込む。

 近距離からの高威力魔法。

 剣本体に人形、そこに自身やゴーレムまである程度巻き込んでしまう距離でもあるが、折角の機会をみすみす捨てる訳には行かない。


 「……俺は問題無し。敵とゴーレムは?」

 『対象不明。ゴーレム両機は余波の影響を受けたものの、戦闘続行は可能』


 神剣の制御で咄嗟に退かせた双子ゴーレムは、ちょっとした余波を浴びた程度で大事にはならずに済んだようだ。

 あとの問題は敵の状態。

 追撃の魔法を構えつつ、標的の位置を確認する。


 「……アレか」


 舞う土煙が晴れたその先に、体の大半が消し飛んだ人形が力を無くして地面に転がる。

 既に息絶えたようにピクリとも動かない。

 ……しかしそこに、本体であるはずの剣の姿がない。 


 「どこだ?一体どこに……」


 広間一体の気配を探るが、それらしきものは感じ取れない。

 だが次の瞬間、再びゴーレムに救われる。


 『ゴーレム〔サコン〕。左腕切断。左脚部損傷。魔剣損壊。戦闘継続不可。要修復処置』


 カイセを襲った背後からの一撃。 

 その盾となりゴーレム〔サコン〕が厳しい損傷を受けた。

 しかしその隙に距離を離し、敵を見据える事が出来た。

 カイセの視線は敵の新たな姿(・・・・)に絞られる。


 「これだけやって第二形態(・・・・)か」


 先程までと同じ剣を新たな担い手(・・・・・・)が携えていた。

 敗れた人形は味気ない姿、そのまま人形らしいフォルムだったのに対し、新たな担い手からは人間らしさ(・・・・・)を感じる。

 相変わらずのっぺらぼうではあるものの、真っ白なシルエットには髪に衣服にと実在したの人らしい面影を感じる。


 『……照合、剣技の一致率97%。姿・仕草にも一致点多数』


 神剣が何かに気付く。

 そしてその情報をカイセに伝える。


 『報告、新たな人形は初代勇者を模した(・・・・・・・・)ものと推測されます』


 ノイズ混じり(・・・・・・)の新たな敵の姿。

 

 【ブレイブソードキャリバー 脅威レベル11】


 上限突破の第二形態が、カイセ達の前に立ちはだかる。

 だがしかし……


 「……動かない?」

 

 

 

 


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