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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
人生機転のウォーミングアップ
87/121

4 護身術について2

投稿遅くなってすみませんっっ

連載続けます(たいっ!)からご心配なく


こうして二週目が終わる頃には開始から一時間が経ち、休憩を挟んでこれを3セットほど繰り返した。

魔力量は大して減った気はしない。でも長く集中していたせいで最後には頭痛が酷かった。


「それじゃあ今日はこれでおしまい。…と言いたいところだけど、一回ずつ昨日言っておいた魔法を全てやって見せて。攻撃はこの的に向けて」


『この的』と言った時、マリコッタはアリコスがすっかり忘れていたわら人形を縦にして見せた。


「でも危ないから一人ずつね。順番じゃない人はシールドを展開すること。あそうそう、革の服はちゃんと着てね」


え、これ革?

アリコスは一見茶色で分厚い生地仕様の、いたって普通のワンピースを見つめた。マリコッタは続ける。


「それと念のため、順番じゃない人は私の後ろにいること。離れちゃダメですよ、絶対に」

「「「「はい」」」」

「まずはマッチから」


マリコッタの声に合わせて、マッチがわら人形の前に立つ。正確にはマリコッタの前でもあるのだが。

するとマリコッタは氷魔法と思われるもので、わら人形と地面との接地面をカチカチに凍らせた。マリコッタが手を離す。


「立った…」

「すごいね!アリーお姉様!」

「そうね…」


アリコスは唖然として見届けていた。


「さあマッチ、準備はいい?」

「はい」

「そ…ちょっと早く来なさいな」


こうしてアリコス達はマリコッタの詠唱の内容を教わる間もなく、マリコッタの後ろに移動した。


「防御魔法!シールドのっ詠唱っ!はじめ!!」

「シールド《ミズ・ヨ・ワガミ・ヲ・マモレ》」


各自、詠唱が始まった。

もともと耐久性など大してあてにしていないので、マリコッタは三人分のシールドが展開されている事だけ確認すると、マッチに視線を置いた。


「攻撃魔法!火矢のっ詠唱っ!はじめ!」

火矢ヒ・ヨ・ワガミヲ・オビヤカスモノヲ・イレ


火が飛んでいく。

それもアニメやこのゲームであった火弾とは違う。火矢の名が似合う、矢の先に似せたエフェクトだ。

アリコスは見入っていたが、焦げ臭い匂いにふと気がついた。


(違うわね、これは現実だ)


ゴブリンやスライムを倒した時のあの生々しさが思い出された。

あの時も剣の通った後を光が残るエフェクトがあったが、それは確実に血飛沫をあげていた。そして一番鮮明なのがあの生々しい匂い。

肉が血抜きされて原形を留めず、つまり切ってもしくは料理されて出てくる前世では知りえない匂いだ。


「次、セサリー」

「はいっ」

火矢ヒ・ヨ・ワガミヲ・オビヤカスモノヲ・イレ


わら人形の軸のクロスしたところ、ちょうど心臓を思わせる場所に黒い印が残った。さっきマッチが当てたところが腹と言ったところか。


「ふーん。2人ともなかなかよ。次にぃアリコスお嬢様」

「はいっ」


すーーっと深呼吸をして、気をためる。


火矢ヒ・ヨ・ワガミヲ・オビヤカスモノヲ・イレ


虚しく地面に墜落した。


「もう一回っ!もう一回いいですか?」

「集中が続く限りどうぞ」

「はいっ。火矢ヒ・ヨ・ワガミヲ・オビヤカスモノヲ・イレ火矢ヒ・ヨ・ワガミヲ・オビヤカスモノヲ・イレ火矢ヒ・ヨ・ワガミヲ・オビヤカスモノヲ・イレ火矢ヒ・ヨ・ワガミヲ・オビヤカスモノヲ・イレ!」


今度は詠唱を間を開かずに何度も詠唱を繰り返す。とりあえず頭がガンガンしてくるまで打つ。

立ってるだけでも痛い頭をあげると、地面にたくさんの煙が上がっている。

そして、右肩部分と左足部分、腰にも掠ったような黒い焦げ目が見える。


「上出来です。ざっと8発ですね、よく続きました。では次にリドレイお坊ちゃま」


攻撃魔法は魔力量の消費が多い。

魔法を使いたてのうちは、魔力量を消費する度に酔ったり、吐いたり、頭痛を催したりするらしい。


(こないだの移動魔法の経験が一役かってるのかな)


アリコス自身は呑気なものだが、実はけろりとした様子で移動魔法を使ったと直接聞いた周囲の人たちがあまりに心配していたのにはそんな理由がある。

もっともアリコスはそこまで気がついてついていないが。


火矢ヒ・ヨ・ワガミヲ・オビヤカスモノヲ・イレ


リドレイは見れば見るほどかわいい。

たとえば少しだけ様になった構えの姿勢だが、こんなにじっくり見たのは初めてだ。杖に茶色い貴族の軽装。この世界の人々全員や前世であったこともない西洋人には申し訳ないが、リドレイがハロウィンの仮装を真剣にしているようでとてととてととてととてとーってもかわいい。

かわいくて仕方がない。

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