4 兄弟間のあれこれ
「お姉様、いつもとちょっと違う」
「えっ?」
(バレた?)
バレてないよね?平気だよね?いやこの感じは…
「お姉様、悩み事があるんでしょ」
「なになに?恋の話なら聞くわよ?」
「「わっ、レイお姉様っ」」
「⁉︎なによアリーもリドも。私そんなに影薄いかしら?」
「い、いや」
「そ、そんな事は…」
「レイ、アリーは倒れてたんだぞ。それもお父様の研究室で。恋で倒れたわけないだろう」
「そう、かしら」
レイ(=レイシア)お姉様はルド(=ルードリック)お兄様に対して少しばかり、意志が弱い。
そうだ気が早いがここで、“ 婚約要りませんよアピール ” をしておこう。
「そうですよ。私まだ当分の間、身内以外の男性とそういった話にはなりたくありませんからね」
「アリーお姉様、お父様が泣きそう」
リドレイに囁かれた。はしゃぐ私たちの後ろを見やると、お母様の隣でハンカチを握っている。
あっ、意志強めに言い過ぎたかな?レイシアお姉様が下を向き始めた。
「ほらな、アリーもこう言ってる」
「レイお姉様は本当恋の話が好きだよねー!」
お兄様っ!
と、思ったら、リドレイのナイスフォロー!
そっか、レイお姉様も恋に恋するお年頃か。三回の恋愛における最盛期は、とっても楽しかったよって教えてあげたい。言えればだけど、多分無理だろうな。
でも、私はできなくていっかって感じかな、今は。いや楽しかったから、できたに越した事はないけれど。
「さっきメイド達に紛れて話してたでしょ?僕見ちゃったもんね!」
にこにこ顔の小悪魔。すごくかわいいっ!
「いいでしょ、別に」
「恋って華やかでいいですよねぇ」
「まあ、アリーも遂にわかってくれた?」
あ、やばい。
レイシアお姉様主催の青春お話会に巻き込まれたくはないっ!
これは回避必須だ!
「え、えっとその、私はよくわからなんですが、レイお姉様がそんなに楽しめる事なら、そんな感じがしなくもないと思って」
「「「…」」」
(あ、失敗しちゃったーーー⁉︎)
「あー、アリーはいい子ね!」
急にハグされてすごいびっくりした。
でもまあよかった。なんか助かったみたいだ。
「それはそうと、アリーが無事で何よりだ」
「全くよね。ここへ来た時はお父様も放心状態だったし、リドもアリーから離れようとしなかったし」
「そうだったんですかー」
軽く流す私だけど、いざ前世の記憶を思い出すと、比較対象ができて頼もしいな。
「もおー、アリーお姉様に言わなくてもぉー」
「さっきのお返しよっ」
これまでの事も考えてみても、早くもお父様とリドレイが、末っ子感覚の娘思いと、シスコンの中でもアリコス思いだったという事が分かった。
よーし、このまま継続できれば、いい方向に行けるんじゃないか?
「じゃあ倍返しで、他の事言っちゃおっかなぁ」
「えっ!リド、そんなに知ってるの?」
「うん!」
小悪魔発動ですか?
「心配するなレイ、そんな事はない。リドは脅してるだけだ」
「もぉーリドったら!」
そうそう、レイシアお姉様もルードリックお兄様にブラコンだったりするのだ。
この辺りはゲームでは明かされていない事。
予想以上にキャラが濃いので、話す取っ掛かりがあって、記憶の事も案外バレないかもしれない。
「そろそろご飯にしましょう」
執事の一人が伝えたようで、執事を後ろにつけ、お母様が呼びかけた。
「!やった!」「はい」「はい、お母様っ!」「はーい!」
同時にみんなで言う。
こんな事は日常茶飯事だ。そういう所は前世とも似ている。
特にお姉ちゃんが恋しいな、とも思わないけど。というか、思わないようにしている。
「楽しみだなー、今日はお肉かな?」
「本当リドは食事が好きだよな」
「エヘヘっ」
「太らなくて羨ましいわ」
「レイお姉様は全然太ってないじゃないですか」
出る所はでて、お腹は細い。正直羨ましいくらいだ。
それにしても流石ゲームだ。
メイド達も、多くのキャラは綺麗だし、こんなに美男美女で長所に《優しい》の含まれるキャラの家族になれた。
「あら、それはアリーもそうよ。でももう少ししたら、スタイルが良くなると思うわ」
「そうですかね…」
いや、なると知っている。
私自身も学園に入る頃には、切れ目の割と、いやすごい美人の類いに成長するはずだ。
前世では所作にだけ気を使ってて、顔なんかはギリ平均レベルだったから、綺麗になれるの楽しみだなー。