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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
おいしいお料理いただきます
73/121

1 生活リズムも完全回復しました

1週間経った朝。

実験はまた1週間経っても変わらないらしい。

昨晩の夕食でお父様が教えてくれた。

アリコスはダンジョンで無理をした分もすっかり元気になり、これまでのアリコスとしての生活に戻っていった。

ここ数日ずっと同じサイクルで日々が回っている。


「アリコスお嬢様、筆記の勉強のお時間です」


またしばらくするとセサリーが来る。


「アリコスお嬢様、剣術のお時間です」


そしてまた


「アリコスお嬢様、魔法学の勉強のお時間です」


あるいは


「アリコスお嬢様、ダンスのレッスンのお時間です」


いつも勉強は家庭教師がしに来てくれる。

ちなみに筆記というのは、貴族会の力関係やら家族構成やらのことだ。

こうして時間はあっという間に過ぎていく。

そして時には、


「アリコスお嬢様、厨房からくれえぷが焼きあがったので見に来て欲しいと」


そういえばこんなこともあった。カイとジルが部屋に来たのだ。


「あの、本当にありがとうございます。仕事になんないとこでした」


彼らは空になったポーションを手に持っていた。

人に喜ばれるのは悪い気はしない。だからといって、自分の命綱である他のポーションを渡しはしない。残念だが、こっちもキチキチなのだ。


そしてまた2週間が過ぎた。


………

……


この頃にはもうお父様の実験生活を待つのに飽きてきて、何度も手紙を書いて破った。

もう100枚分の便箋、『7冊目』のノートの6ページが犠牲になった。

こんなもったいないことをする時に、発揮されるのが貧乏性なのだ。


[ノエタール・ファリムス様へ

先日は失礼をしてしまい申し訳ありませんでした。

本当なら会って謝罪すべきなのでしょうが、なかなかいく気になれず

嫌味を言われるのが怖くて

怖くて

また失礼をしたらどうしようと、戸惑う?

正直なところ父と予定が合わず、伺えずにおります。

ところでお父様の研究は

ケーキというものをつくったのですが、もしよろしければ不味いというなら来て欲しくないです]


一番うまくかけたのが上記だ。

まとめると、下記になる。


「[ノエタール・ファリムス様へ。先日は失礼をしてしまい、申し訳ありませんでした。本当なら会って謝罪すべきなのでしょうが、正直なところ父と予定が合わず、伺えずにおります。ところでケーキというものをつくったのですが、もしよろしければ、侯爵様やご兄弟と食べにいらっしゃいませんか?]あー!これじゃだめっ」


なぜか、どうにもうまくいかないでいる。


「アリコスお嬢様、厨房からけえきが焼きあがったので見に来て欲しいと」

「わかったわ!行きましょう!」


先日からクレープをはじめとして作っている。

クレープはうまい具合にいっている。どうにもミルフィーユとは違うらしく、粘り気を強くしてみたが、そのあたり粉を混ぜる分には、私が手伝えばいいのだから。なので今は偏りのないように工夫する、飾り付けと生地を巻く段階だ。

餃子の焼き加減も進歩してきた方だ。

しかし!


「どうですか、このけえき」

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