3 薬草採り
森を歩き回り、薬草と小枝を集める。
小枝は暗くなっても救助が来なかったとき、焚火をするためだ。
ちなみにゲームと違って薬草は、どこにでも生えているわけではないらしい。
秋でも青々とした草むらの根元から、背丈の高い草が幾束かある。それが目的の薬草だ。
そしてたまに、小枝を取るときに見つけるのだが、木の根元から紫蘇のような色のような草が生えている。それらが中級ポーションになる草だ。
あるいは木の表皮に苔のような、黒い物体。これがSP回復ポーションで、取りにくいので剣ではがすように採る。
一番採れやすい目的の薬草を背に、他は収納して運ぶ。
キィ――――――ン
一帯に超音波のような音が走り、ふいに視線を感じる。
だれか迎えに来てくれたのだろうか。
「セサリー?ルードリックお兄様?だれー?」
ガサッ
十メートルほど先の草むら、あるいはもっと先から落ち葉の動く音がする。
「アリコスよ。知っている人なら返事をして」
ガサガサ
音だけがする。危険な予感だ。
「収納」
いったん袋を手放し、剣に手をかける。
音は続いて、どんどん近づいて、ついに草が揺れて見える。
「お、おばけ?」
ただのアリコスとして家庭教師に教わった通り、剣を前に出し、数を数える。
(いち、に、さん…)
後ずさり、開けた場所まで引き返す。おばけはどんどん追ってくる。
(し、ご、ろく…)
距離が詰められていく中、草むらから出られた。
(なな、はち…)
ついにおばけが茂みから出てきた。正体は水色の、スライム?だ。
乙女ゲームに出てくるだけあって、普通のRPGゲームに比べ、何倍もかわいいが剣をおろすことはしない。
かわいくてもスライムはモンスター。きゅうのカウントで一気に前にでる。
(レベル上げの糧になってくれ)
「じゅうっ!」
剣のふれた先から、むにゅっとした感覚が手に伝わった。
そして水っぽい液体が飛び散る。
ほんわかとした王道乙女ゲームらしからぬリアリティーだ。
ピコン
ゲーセンでよく流れる音だ。
この音につられたように、後方で草の揺れる音、前方で落ち葉と音が連鎖していく。
そしてあたかも私に切られやすいように見計らわれたタイミングで、スライム、スライム、ゴブリン、スライムと、スライムの大群が散っていく。
ピコン、、ピコン、、ピコン、、ピコン、、ピコン、、ピコン、、
一定のリズムを刻んで音が響く。
もう十匹はたおした。始めの恐怖はすっかり、単純作業と化し、かわいいモンスターを消滅させていくことへの罪悪感も軽くなっていく。
燃料切れを狙っているのか、若干強いゴブリンの確率が増え、延々とモンスターが湧いてくる。
(剣を置いたら負けだ)
その粋で体力120パーセントオーバーのまま、剣を振り回していく。
これを火事場のバカ力というのだろう。前世でも、これまででも考えられなかった力を、ゲームオーバーを目の前にして発揮している。
もうそろそろ三十匹。
「はあ、はあ、はあ…」
すっかり息が上がっている。二匹のゴブリンを突き、死体を振り落とすと、モンスターが出てこなくなった。
「すぅー、はあ…」
呼吸を整えていると、のっそりとした、木製の棍棒をもったゴブリンが現れた。
ようやく頭が動き出して、瞬間移動したこの場所が、ダンジョンである可能性を見つけた。だがもし仮に、ここが本当に初級ダンジョンなら初見殺しだ。
でも自分はまだ生きている。こいつがこのラスボスなら、生還して、なおかつここを制覇したことになる。
制覇すればもうモンスターは湧かないから、そのあとは安心して眠れる。
「よし。かかってらっしゃい」
言葉に応じたように、ゴブリンは突進してくる。それを軽くよけ、後ろから串刺しにする。
黄緑のえぐい液体がゴブリンの口元と傷口から吹き出し、絶命した。棍棒がゴブリンの右手から落ちる。
「勝った、勝った!生きてる!」
疲れと喜びで、大声で勝利を叫んだ。
もはや足元の惨劇は目に入らない。
くたくたと近場の木に背をもたれ、滑り落ちるよう腰をおろす。
そしてそのまま目を閉じた。
軽めに描いたので、R15かよくわからないんですが、一応付け足しました。
結構不安なので、ご意見はお気軽にお願いします、教えてください。




