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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
初見ダンジョンで生き残れ
60/121

1 HPはどこに?

「では着替えましょうか」


なんでもワンピースから動きやすて、怪我しにくい服に着替えるらしい。若干時間がかかりそうだから、セサリーが服を選んでいる間、小声でステータスを開いてみた。


《フォアミーが施行されているため、ステータスは本人にしか閲覧できません。ステータスを開きますか?

YES/NO》


YESに触れ、ステータスが表示される。


《名前:アリコス・カルレシア

年齢:12歳(子供)

レベル:1

職業:未定

称号:〈ステータス持ち〉〈ユーザー〉〈転生者〉

髪:白薄紫 瞳:紫 肌:白

魔法属性:青緑

魔力量:推定140以上。Bクラス(解放前)通知▶︎ …

スキル:〈貧乏性Lv.19〉▶︎レベルアップ〈高飛車Lv.5〉〈知識欲Lv.6〉▶︎レベルアップ〈舞踊Lv.3〉〈魔法学Lv.6〉▶︎レベルアップ〈護身用剣術Lv.3〉》


見たところ、〈貧乏性Lv.19〉と〈知識欲Lv.6〉に1アップ、〈魔法学Lv6〉に2アップしている事以外、変化はない。

問題は魔力量だ。

通知に触れるとまたページが表示される。


《通知▶︎魔法の使用により魔力量が減少しました

通知▶︎睡眠をとったので魔力量が全回復しました》


「アリコスお嬢様ー失礼しまーす」

「ステータスクローズ(小声)。入って」


セサリーの選んだスパッツとTシャツのコーデに着替える。アリコスはその間も考えることをやめない。

ゲームと違ってこのステータスにはHP、SPの欄がない。そのため、魔力量がSPを示しているとすれば、HPは何が示しているのだろう。

HPがゼロになったら死ぬ。普段死ぬと[セーブポイントからやり直す]という選択肢があった。しかし今はセーブポイントも何もない。

もし今日本当に、初級ダンジョン《裏山》に行くのなら、HPを確認しながら進み、引き際を間違えないようにしなければ事実上死んでしまう。


(そうだ、ダメージを喰らえば通知が来るはず)


「着替え終わりましたよ。どうですか」


ジーンズがあればもう少しピシッとするはずだが、これはこれでいいコーデだ。

しかしこんな事は生死に比べればなんて事ない。


「セサリー、私を殴って」

「は、はい?」

「私を殴って」

「私なにか…」

「なにもないわ。私が生きるか死ぬかの瀬戸際だからよ」


ダンジョンに行かないという選択肢ももちろんあるのだが、それはスティラに先を越されそうで、なんとなく嫌だ。

どちらかというとスティラより先にダンジョンを制覇して、悔しがらせたい。

セサリーがどんなに辛そうな顔をしてもだめだ。


「…殴りますよ?えいっ」


泣きそうな顔で握られた拳は、とてつもなく弱く、叩かれた左腕は何か当たった、かもしれない程度の感覚しか伝えない。


「これじゃだめよ」

「えーー……」

「あたりまえじゃない。もういいわ。試すだけ試すから」

「試すって…」


ドア付近に立つセサリーを見ながら、着替え室へ入る。


「いいから、セサリーはカイの手伝いをしてきて…」


が、着替え室の段差につまずき、派手に転んだ。


「大丈夫ですか!」

「ええ。極めて平気よ。早く手伝ってきて」


角がぶつかったお腹と、スライディングした膝、そしてガンっと音を鳴らした頭が痛い。

でもこれで絶対ダメージを受けた。今だからこそラッキーだ。

セサリーは、試すってなにをという疑問を自分で消化してくれたらしい。回れ右して部屋を出て行く。


「さてさてさて」


よっこらせとばかりに立ち上がり、鏡と対峙する。


「ステータスオープン」


《名前:アリコス・カルレシア

年齢:12歳(子供)

レベル:1

職業:未定

称号:〈ステータス持ち〉〈ユーザー〉〈転生者〉

髪:白薄紫 瞳:紫 肌:白

魔法属性:青緑

魔力量:推定140以上。Bクラス(解放前)

スキル:〈貧乏性Lv.19〉〈高飛車Lv.5〉〈知識欲Lv.6〉〈舞踊Lv.3〉〈魔法学Lv.6〉〈護身用剣術Lv.3〉》


さっきのと変わりばえしない。

じゃあHPはないのか?リアルタイムで徐々に体感して弱っていくタイプ?

それならそれでいい。

初級ダンジョン《裏山》が今から行く山である事を確認すると、ステータスを閉じる。そして袋とスケッチと、いつも護身用剣術の稽古で使う真剣を持ち、走ってセサリーを追いかける。

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