3 別に覚えなくてもいい設定1
センシレル公爵家、カルレシア公爵家、ガーガリア公爵。
この国を動かす幹部の中でも、順に権力も魔法も歴史も桁違いに強い御三家。この肩書きが、お父様はすごい権力者なのだと強調させる。
ファリムス侯爵家、ルンデニア侯爵、コックス侯爵、アウローレ侯爵、スモーラー侯爵。
これも幹部で、7つある侯爵家の枠のうち、男が大臣として在籍している侯爵家。権力はそれぞれ大差ない。
この下を多くの伯爵、子爵、男爵と続く。
この『年版貴族名簿』には、各貴族の苗字、領地、次期当主候補までが載っている。はぐれ貴族や没落貴族、女当主はおらず、当主候補は3人までおり、その辺はさすがゲーム、シナリオ進行という感じだ。
試しにゲームでヒロインの助太刀をする、レスライフ伯爵家を参考にしよう。
レスライフ伯爵家には三人の嫡子がいるが、欄には、Aクラスの次男マレス、Bクラスの長女ナドリーの順で記載され、五、十年後魔力量がわかり、十一年後Aクラスの兄コルイズが病死する。
魔力量と生まれの順番で後継が決まるこの世の中で、白々しいくらいこの性質に、誰も気付いていない。
「そうだ、ガーガリア家の次期当主候補の欄見せて?」
「どーぞ」
数秒の間に、ノエタールはアリコスの二段上に腰をかけていた。
なんとなく、すぐ隣に座るというのは異性を意識してしまうから、助かった。アリコスもそう思っていたが、ノエタールもわざわざ位置を考えて座った。
ノエタールが開いて渡した、その部分には[アラン・ガーガリア]と記載されている。
アリコスの従兄弟だ。
(アランがかわいそうになるわ)
年が近いので何度か会った事があるが、アランは優しい子だった。かくかくしかじか数年前、アリコスがお皿を割った罪を彼に被せ、早々にそれが全てバレた時も、アリコスを庇ってくれた。
それ以来会っていないけど、彼はもう15歳になっているはずだ。元気にやっているだろうか。
お父様も、アランは真面目で力が抜けないタイプだと言っていた。
ゲームによれば、現ガーガリア公爵の叔父様の跡を継ぐのは相当あと。一人息子だからとやけに辛い英才教育をされて、潰れてしまわなければいいけど。
つづいて『年版世界地図』。
大陸の大まかな地形は、湖と山と川と海と未開拓地。なぜか、どの国にも全て揃っている。
そしてルィフラスティラエル国は2番目に大きいとされているが、なんにせよこの題名は嘘っぱちだ。だって海が繋がっている概念がないんだから、世界地図じゃない。
世界の一部、ゲームの舞台。七国一大陸の地図だ。




