表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
アリコスの生活
5/121

1 不思議な目覚め

アリコスはまず、寝たふりをした。

が、なんの音沙汰もない。

それにより、今にもまぶたは落ちそうになっている。

(丸一日寝て、どういうことだ!)

とつっこみたいのは山々だが、みんな気づいていないことだし、体を前に倒してみた。

(ふう、ずっと楽だ。朝が来たって感じがする)

絶賛リラックス中のアリコスだが、思考回路が止まったわけではない。

記憶が戻った。

不幸な事が必ず起こる。

的な予言をしたからといって、簡単に屋敷から出して、王子様との名誉な婚約を破棄させてくれるような家族も、世間様もいらっしゃいませんから、回避は相当難航するでしょうね。


それはさておき、目先のことを考えましょう。

例えば、

「どうも、お父様、お母様、ルードリックお兄様、レイシアお姉様、リドレイ。アリコスは転生したらしく、前世同様の若々しい19歳でございます。なので、精神年齢はルードリックお兄様やレイシアお姉様の年上ですが、今後ともよろしくお願い致します」

なんて自己紹介は難しい、と。


すると今後に起こるであろう、言葉遣いを中心とした問題はどう解決すれば良いのだろうか。など、考えることや決めることは山ほどある。

それと、隣で寝ているこのメイドが起きる前に。


………

……


「……。」

「アリコスお嬢様。どうなさいましたか?」

「………うん。」


第二公爵令嬢付きのメイドは困った。

公爵からは色々と仰せつかったのにも関わらず、当の病み上がり(?)の第二公爵令嬢からは、曖昧な返事しか返ってこない。


「どうしましょう」


メイドの困りの原因は、あまりに深く考え込んで、周りの声が入ってこないアリコスのせいなのだが、アリコス自身も困っていた。


(どうしよう。このメイドが起きる前に、何かと考えておかないと…)


既に“この”メイドが起きている事に、気づかない様子のアリコスであった。


「「…大変なことになっちゃったなぁ・なりましたね…」」


そうして互いにため息をつくアリコスとメイドである。が、その拍子にちらりと向けた視線が偶然に合った。


「あ、ああ」


((ど、どどどどうしよう))


「ど、どうかなさったのですか?」

「い、いいえ…?」

「「……」」


メイドとアリコスの主な思考は同じであった。

視線を外せない。

そして言葉が詰まる。

何を話せば良いのだろうか。

ここまでがメイド。アリコスの場合は

視線を外せない。

そして話を隠せそうにない。

何か聞かれたらなんて応えようか。


「「……」」


今日は最低だ。一気に問題抱えてどうするのっ!ってどうすればいいのでしょう。


「あ、あのぉ…」


アリコスがまたもや思考の彼方へ向かった頃、メイドは硬直状態から解放されていた。


「えっと、お目覚めで体調が優れていらしゃらなければ、旦那様が直接お薬を持っていらっしゃると仰っていらっしゃ……」

「ゴホッゴホッ」


体調が悪ければもう少し考える時間がもらえるのだろうか。なんて事は少しは考えたが。

そしてようやくアリコスは気がつく。そうだ二人は、アリコスの身の回りの変化について話せばよかったのだ。


「い、っえ?体調は悪くないわ、よ?」


メイドとどのように接していたか、


「先程咳をしていらっしゃったじゃないですか」


空咳をした理由をどう説明しようか、私の演技ではなくてこのメイドが騙されやすい体質なのか、お父様にはいらっしゃらない方がいいけれど…。

アリコス、ただいま絶賛混乱中!


「い、いいえ。平気。長い時間喋らなかったからかしら。ちょっと喉が…、ね?」

「ふう、それなら良かったです。旦那様をお呼びしますね」

「待って!お父様は平気よ、その。伝えなくて」


メイドはきょとんとして、ベットの隣に座りなおした。


「さて、私が眠っている間のことを教えて」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ