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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
倹約という野望
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5 危険信号

アリコスが必死に話している間、セレルドはノートを読み返して感心していた。


【ドレス 必要最低限に買い換える量を減らす。種類をいくつかに分ける。

・部屋着、普段着…安価で壊れにくいもの。又はもう外に着ていく気のないものを家族とのみ会う日などで着回す。

・外出用の外行き…まだお披露目していない人と会う時。あるいはそういう事を気にしないでいい時など、場面を使い分ける。

・他にパーティや公務、学校に着ていく正装は、マナーや礼儀としても必要最低限なので普段通り買い換える。】


まだ12歳なのにしっかりとした受け答えをしている。こないだまでの癇癪持ちのアリコスとは大違いだ。と。そして、《キデン》の発明は人を見違えたものにする大発明なのではないか。実は自分は偉大な発明家なのではないか。と自己陶酔するのであった。

もちろん、アリコスはそんな父の考えている事を知らない。


(お母様はまだ納得してないみたいね。でもまだ話はあるわ)


相変わらず気張って頑張っている。

アリコス悟られないように一呼吸して、滞っていたテンポを戻し、話を続ける。


「そして物をたくさん置くからといって部屋が綺麗に見えない事の反対に、物を減らせば隙間から部屋の広さ、適度に清潔な絨毯が見え、失くし物も少なく快適に過ごせます」

「失っ…」


お母様が椅子に座りなおした。

なんとかなったようだと、アリコスは一安心する。


「他にもある。ろうそくはまだいい」


(よかった。これはさっき思った事をそのまま紙に書いたから、弁解を考えきれていない。これでご飯も平気なら)


「ここに食事が書かれているのはどういう事だ!」

「そこに書いた通り食費が高すぎるんです。材料費から作る量まで…」

「一流の材料を使っている。うまいだろう?最近はアリーもたくさん食べているじゃないか」


昨日だって食べ過ぎてリドにまで笑われた。これはちゃんと弁解しておかなくてはならない。


「それはもったいないからです!いつもいつも残るじゃないですか」

「わかった。残ったら使用人(みんな)に分けるよう手配する」


すんなり言われたとはいえ、やっぱりこれは見過ごせない。食費で毎月240枚、日本円で240万円ってどういう事だ。

「では材料費を…」

「これだけは譲れない。ほかは善処しよう。だからもう何もいうな」

「でもた…」

「何もいうな!」

「アリー?」


レイシアお姉様の声にハッとする。

お父様がムスッとしている。

危険信号だ。

そしてお父様は他は善処すると言ってくれたのだ。これ以上の事は…あんまりないが…。


「アリー、ね?」


お母様も私に折れろと目で訴えている。


「…わかりました、ありがとうございます。では早速今日から管理について、詳しいお話を伺いに行きます」

「わかった。執務室へ来い」

「え?はいっ」


(まさかあそこに入れるとは。私の信用度は下がっていないのかもしれない)


「あのお父様」

「ん?」

「私がこうするのも全て、私に…」


────私に大義があるからなのです!

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