3 ゲームのアリコス
さて、緊急事態を知ってしまったところで、例のゲームの攻略版を現在に合わせて、割と詳細に思い出してみよう。
攻略キャラは全部で五人。よく覚えていないけど、内三人が私と縁戚関係…だった気がする。
まあ最重要のイネック王子は、親同士の口約束からはじまるはずだけど。
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名前
アリコス・カルレシア
[イネック王子、バロヘ公爵、ルードリック公爵の攻略にのみ登場。
イネック王子攻略にのみライバルキャラ。
詳細事項4番より]
職
公爵令嬢
国籍
ルィフラスティラエル王国(通称:ルィフラエル国)
家族構成
父・セレルド
カルレシア公爵、カルレシア錬金術研究所所長
母・フィオラ
カルレシア公爵夫人、ガーガリア公爵令嬢
長男・ルードリック
カルレシア公爵子息
長女・レイシア
カルレシア公爵令嬢
次男・リドレイ
カルレシア公爵子息
親戚構成
叔父・アンドリュー
ルィフラエル国立調合魔法研究所所長
叔父・バロへ
ガーガリア公爵
祖父・ジョンド
ルィフラエル国錬金術協会会長、カルレシア元公爵
祖母・マリー
カルレシア元公爵夫人
祖父・ゴイル
ルィフラエル国魔術学研究会会長、ガーガリア元公爵
祖母・ディアー
貴族夫人会代表、ガーガリア元公爵夫人
詳細
・カルレシア公爵家とガーガリア公爵家は永らく敵対していたが、王家世継ぎ交代の事件の盟友関係と、フィオラの嫁入りにより、ガーガリア公爵家と友好関係にある。
・イネック王子は17歳の時の誕生パーティーにて、婚約を申し込み、王家の政略結婚で、アリコスの婚約者となる。
・アリコスは16歳の時、トップスリー(その代の顔、爵位、能力における優秀者)のメンバーとして入学する。学部は魔法学部。魔法量はAクラス(上級クラス)。魔法学部では終始主席。
・イネック王子と〈ヒロイン〉スティラのコースで、アリコスは同じマリヌス学園のクラスメイトであり、ライバルキャラ。アリコスは、スティラがステージ8の卒業式と、ステージ9の結婚式に選ぶ選択肢で、所業が変化し、刑罰も変化する。
刑罰の条件
(注意!()内の内容を全て満たしていた場合)
1、ステージ8における選択肢
・婚約破棄。ならびに爵位降格[教師]
(スティラとイネック王子との友好度が低い場合)
(スティラとアリコスの友好度が《友人》の場合)
・大学への進学不可。ならびに爵位降格[伯爵夫人]
(スティラがイネック王子を選ばなかった場合)又は
(スティラとアリコスとの友好度が《親友》の場合)
・追放
(スティラとアリコスとの友好度が《絶望》の場合)
2、 ステージ9における選択肢
・爵位剥奪[平民]
(スティラとアリコスとの友好度が低い場合)
・死刑
(ステージ9のミッションが《大成功》だった場合)
・投獄
(スティラがアリコスに《決闘》を申し込んだ場合)
・爵位降格[女官]
(スティラのレベルがアリコスに劣っていた場合)
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刑罰の条件を見ておわかりの通りだ。
スティラ自身の選択があっても、たとえスティラと親友であっても、カルレシア家への風当たりまで回避できないとわかった。おかげで自分の自由を守るためには、卒業式までにスティラとお近づきになった上で、イネック王子と婚約しない以外に道はない。と目処がついた。
ところで教師や、平民なら、爵位降格でいいのではないかと、思っているかもしれない。だがそれはとんでもない事だから、念のため説明しておこう。
[教師]…財産は没収。その上、マリヌス学園に一生を縛り付けられて、当然結婚、貯金さえも不可能。
[伯爵夫人]…ひと回りもふた回りも年の違う伯爵へ嫁ぐ。身を守る財産も没収だから、やはりいろんな人にいびられるだろうし、伯爵も性格が悪いと評判だ。
[平民]…財産は他と同様に没収だ。それをなりたての平民になんて、のたれ死ねと言うのと同じだ。
[女官]…財産は没収。ルィフラエル国が無賃金で、有能な人材を雇おうというのだ。私より現金だ。
おわかりいただけただろうか。
特に一番いい選択肢については特に、鬼畜だ、と思う。
加えてヒロインの大成功が最悪の展開とか、理不尽過ぎ。
それにプラスして、サブキャラでも、もしかすると他の対象キャラの二人のステージのモブキャラ生活においても、似たような事があり得る。
つまりヒロインの選択肢によっては、他のライバルキャラ達も同じように、上記と同じような運命をいくつか背負っていたりするという事だ。
運営側としては面白半分かもしれないが、当のライバルキャラなった方としてはとんだ迷惑だ。
最も運営側も、まさか実在するなんて、と面食らうだろうが。
「…はぁ…」
浅い眠りについた隣のメイドも気にせず、溜息をつく。今はそんな状況だと、心から思う。
だって、
決意表明!終わりの見える人生は楽しまなきゃ。
でも自由がないと、せっかくの人生も楽しめない。
そのためには、自力でなんとかするしかない。
願望に過ぎないが、全フラグ回収もできるかもしれない。
他の事はあとで時期に思い出せるだろう、とそっちのけにしておいて。
つまりは、そういう事だ。