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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
はじめまして、ヒロイン
36/121

4 予想外のお出迎え

みんながヘトヘトになった頃、園長先生がお茶にしよう、とみんなに呼びかけた。


「リコは私の隣ね!」

「いや俺の隣だ」

「コースの近くは嫌」

「じゃあ、ケーカのとなりー」

「どーぞどーぞ」

「えー、ケーカは俺らの隣って決まってるんだ。なー?」

「あ、うん」


かくれんぼで仲良くなったマーカスとトーマスに腕を引っ張られ、ケーカも困っているらしい。

その横でケイトも不満を言っている。


「ケーカは私の隣なの!マーカスはお兄ちゃんとこいけばいいでしょう?」

「ケイト、もういいよ。ケーカの前に座ればいいでしょう?」

「でもセシルが座りたいんじゃ…」

「しっ!それは内緒でしょう?」


ケーカは割とモテるらしい。昔っから顔はあまりに気にしないタイプのアリコスだが、まさか女好きのケーカは子供にまで人気があるとは。


(イケメンも大変だな)


そうこうしているうちに、子供達の対決は終わった。

年齢バラバラで11人の子供のいる、この孤児院で長机に園長とみんなが並んで座る。園長はお誕生日席だ。

アリコスの隣にはシーマとセシル。目の前にはティース。

セサリーの隣にはゴードンとレイカ。目の前にはコーミアがいる。

そしてケーカの隣にはマーカスとトーマス。目の前にはローズがいる。


「それでは、いただきます」

「いただきます」


みんなが口々に言うのに合わせて、アリコスも手を合わせた。


「リコ、お話ししようよ」

「ええ」

「なんのお話?」

「そうね」


アリコスは来た時から聞こうと思っていた事を口に出してみる。


「アリコス…さん(?)の事を知ってる?カルレシア公爵家の」


するとティースが嬉しくなさそうに声を出した。


「えー」

「どうしたの?」

「だってアリコス様ってあの怖ーいひとでしょう?」

「え?でも可愛らしいひとだって聞いてるわ」

「俺も俺も」


ティースの言葉が胸に刺さったが、アリコスはシーマのかわいいもの好きにいくぶんか救われた気がした。

あとトーマスの賛成票にも。


「私、アリコス様は怖いけど優しい人だと思うの。だってルードリック様の妹だもの」

「俺も俺も!」


でもどうやらトーマスは、学校に一人はいる便乗するタイプのやつらしい。


「じゃあアリコス、さんがここに来たらどう思う?」

「俺怖いから遊びたくない」

「私怒られたくない…」

「そんなに怖いの?じゃあ私も遠くで見てる」

「俺も俺も」


自分に敬称をつけるのもどうかと思うが、アリコスとしてここに訪れたら、一緒に話してくれているティース、セシル、シーマ、トーマスの全員に嫌がらるようだ。

よかった、リコと名乗って。

アリコスはつくづくそう思う。心なしか、一列挟んだ先にいるケーカもほっとしたように見える。


「ケーカケーカ!ケーカの女の子のタイプってどんな?」

「どんな?」


無言のローズも含め、ケイトとマーカスがケーカをじっと見ている。


「どんなって…優しくて、綺麗で」

「それじゃみんなそうだよ」

「そっか」

「他には?」

「えっと三つ編みで…」


(三つ編みで…)


アリコスも心の中で復唱する。そういえばセサリーも三つ編みだ。


「笑うとえくぼがあって」

「私えくぼないや…」


ケイトが悲しそうにする。

いつの間にかセシルもトーマスも、ケーカの話に聞き入っている。

そしてアリコスは席が対面なので、ケーカの顔が若干赤くなっている事と、ちょうどセサリーが笑ったのがみえた。


(あ、えくぼがある)


「面倒見が良くて…」

「私、レイカとコーミアの面倒見てるっ」


ローズが小声でささやき、手をグッとしている。


(はい、セサリーは私みたいなのをちゃんと面倒見てくれています。アリコスお墨付きです)


「あとは、一個下っ!」

「ケーカは20歳だからつまり、えっと19歳っ⁉︎」


(え!ケーカって20歳だったの?)


「あーあ。19歳か…」

「大丈夫、ローズが19歳になるまで待ってくれるよ」


そのまんまセサリーじゃない、子供に言う事じゃないわよ。そうアリコスは思った。

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