表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
はじめまして、ヒロイン
35/121

3 孤児院へ行ってみよう

孤児院に着くと、アリコスは思っていた事を言ってみた。


「お兄様。私、身分は伏せておきたいの」


身分が高いからと寄付をせがまれてもお金も持ってきていないし、変にかしこまられるのも嫌だ。ついで、人の勝手なアリコスへの先入観と、身分差から来る他人行儀な話はしたくない。そう思ってのことだ。


「そうか、わかったよ。じゃあ俺は顔でバレるから、外で視察をしてくるよ。サイモン、ケーカ、どっちかアリーと一緒にいてくれ」

「俺が行く!」「僕が居る!」

「ハハハッ決まりだな」


アリコスはルードリックお兄様の返答に安心し、そしてケーカが即答でセサリーと一緒にいたいと言うなんて、とある意味感心していた。

孤児院の園長にだけ身分を話すと、なんだかんだで中へ入ることになってしまった。


「みなさん、今日はお客様が来てくださいましたよ」

「こんにちは。はじめまして」

「かわいい!!」

「お嬢様に可愛いとはっ」

「セサリー、いいわ」


先程かわいいと言ってくれた少女の方へ歩いていく。

金髪の、やはり整った顔立ちの女の子だ。かわいいもの好きの、クラスの中心にいそうなタイプに見える。

そしてその数歩横には横には白いワンピースの、気の弱そうな女の子もいる。


「こんにちは。お名前は?」

「私?」


アリコスは金髪の少女に向けて、こくりと頷く。


「シーマよ」

「よろしくシーマ。私は」


アリコスは言葉を詰まらせた。アリーと呼ばせようか少し迷ったのだ。

記憶によればすごく親しい、家族や恋人、友人の間でしか愛称は使わないそうだ。

それならどうせお忍びだし、適当に変えてしまおう。


「リコよ」

「リコっ!」


きっと後ろでセサリーが驚いた表情をしているのだろう。セサリーのかすれた声と、ケーカの押し殺した笑い声が聞こえる。


「リコ、よろしく!お人形さんごっこしましょう?」

「いいわよ」

「シーマ、僕もいいかい?」

「どうぞお兄さん」

「ありがと」

「お姉さんもやる?」

「え、ええ」

「ちょっと待てよ、シーマばっか!」


ガキ大将風の男の子が現れた。


「セ、セシルだっているもん!」


おお、見かけによらず強いんだな、この子。

白いワンピースの女の子がガキ大将に、声をあげる。


「そうよ!ケイトやローズだっているじゃない」


シーマが加勢する。


「だけど人形なんてつまんねーじゃんか。三人もいるのに女子ばっかズリーぞ!」

「つ、つまんなくないもんっ!」


これは喧嘩になりそうな予感…。


「じゃあさ、みんなで鬼ごっこするのは?」


すかさずケーカが仲裁に入る。

ナイス、ケーカ。


「それじゃ男子のが強いからすぐ捕まっちゃうわ」


シーマの返答に、周りの子たちは口を出す間も無い。だが、極めて正論である。


「シーマばっかじゃねーの、お兄さんが一番強いに決まってるじゃんか」

「馬鹿とは何よ、馬鹿とは!」

「馬鹿は馬鹿だろ!」


(あー、やってるやってる。子供だなー)


アリコスと同じ事を思ったケーカも、アリコスもそういう所が子供である。


「それならかくれんぼにしませんか?」

「かくれんぼ…」

「いいんじゃない?」

「いいね、しようしよう!」

「俺はそれでもいいぜ」

「俺もいいと思う」


セサリーの提案に、ケイトやローズと呼ばれていた子達、それとガキ大将と一緒にいた男の子達も賛成してくれている。

シーマもガキ大将も乗り気らしい。

セサリー、すごい。さすがこれまで、アリコスという個性派を相手にしてきただけある。


「それじゃ、よーいどんっ」


1回目の鬼はケーカで、その後何度か続き、ガキ大将ことコース、セサリーも鬼になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ