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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
ひとつ折りたいフラグがある
27/121

3 ヒロイン事情1〜アリコス目線〜

部屋に戻る途中で、アリコスは昼頃不意に思い出した計画を伝えた。


「セサリー、あのねスティラ…さん?の居る花屋の場所、わかる?」

「ええ。花屋のスティラさんといえば、あの黒髪ロングのかわいらしい子ですよね?」

「ええ」


カルレシア公爵家とガーガリア公爵家で、スティラは意外と有名人だったりする。

しかも彼女が有名なのは転生者だとか、現代風の商品を売り出したとか、大胆な行動をしたとかいうわけではない。

全く無関係に、私のお母様がスティラをかわいがっているのだ。


ゲームのストーリーの序盤、ヒロインはルィフラエル国立学園に、()()として入学する。

するとそれからすぐのまだまだ序盤で、たまたま立ち聞きした先でヒロインは、陰謀によりお取り潰しにされたモラレス侯爵家の一人娘だったと知ってしまう。

そうしてモラレス侯爵家の潔白を信じ、攻略相手達と共に謎解き明かし、黒幕のサンフラン公爵をフルボッコにしていくのが、この物語の大まかなストーリー。

そしてストーリーが終わった時には、ヒロインの実母ミアは、カルレシア公爵家夫人フィオラの親友で、フィオラはモラレス侯爵家を救おうと尽力するが失敗。結果、スティラを領内に引き取り、信頼できる里親、もといフィオラが昔助けた花屋に預けることで、人知れず重罪になりかねない要因を匿っていた、とわかるのだ。

しかーし、ヒロインはそんなカルレシア家の恩に報いず、アリコスの死もあり得るのだ。


(全くゲーム製作者はどんなけ無慈悲なんだよ!)


ちなみに本来ヒロインの名前はプレイヤーはプレイヤー名=ヒロインの名前として決めることができる。

しかしこのスティラの知名度故に、私はヒロインがスティラ・モラレスだと、ほぼ確信できている。


「お会いになりたいのですか?」

「それが…」


ちゃんとした確証はない。

どうせ好感度あげても爵位剥奪、[伯爵夫人]や[教師]の国の駒にされちゃうんだし、会う事でよからぬ引き金を引きかねない。

だけど初めっから仲良くしてれば、イネック王子とスティラを引き合わせることで婚約回避できるかもしれないし、彼女も転生者であったら、契約を結べるかもしれないし…。

いややはりここは、不要な接触は控えるべきか。


「うーん……」

「年も近いですし、案外わかりあえるかもしれませんよ?」

「いやそういうのじゃなくて」


ちょっと違うんだよな、セサリー。


(よし、転生者か否かを見極める事が大事だろう!…まあ、まだ思い出せていない可能性もあるけど)


「ただ遠くから様子を見ようかなと」

「ああ、ふふふっ。アリコスお嬢様って意外とシャイなんですね」

「へ?」


(ああ。あのねセサリー、大胆だと命取りなのよ!)


19年分の年の功で我慢強くなければ、アリコスは今ごろ叫んでいただろう。その事をどうやらセサリーは理解していないようだ。

たとえ言っても仕方ないので、アリコスはズカズカと歩いていく。もう部屋まではこのまっすぐな廊下を進むだけだ。


(はーぁっ!!)


ほどなくして着いた部屋の前で、一度深呼吸をすると落ち着いた。


(ああ待っててね、私の節約生活!)


貧乏性をちょっといい感じの言葉にしてみたかったアリコスである。

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