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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
ひとつ折りたいフラグがある
25/121

1 今日は掃除の日だ

どんな本があるのかと胸を膨らませ、また赤いマットを進んで、館を出て、同じルートで第一倉庫へ行く。

着くと早速、第一倉庫の中へ入っていった。

そういえばここにはまだ、一度も入った事がなかった。仕方がないので、壁に沿って歩いてみる。


「アリコスお嬢様ー?」


倉庫の中だけど、数メートルは後方と思われる場所でセサリーの声がする。


「ここよ。中へ入ってすぐ右の」

「わかりました」


さすがというべきか、セサリーは既にこの建物の構図が頭に入っているようで、返事と共に後ろに並んだ。


「アリコスお嬢様?本は壁の突き当たりからです」

「え?わ、わかってるわよ」

「はい」


あーまたやってしまった。全然知らなかったのに。なのにそれをすんなりと肯定するセサリーにも、ちょっとイライラする。

意外とすぐに突き当たって、本の背表紙を見ては手にとって、薄暗い倉庫の中で目をしょぼしょぼさせる。

そういえばこないだ、レンドーが咳き込んでいた事を思い出す。


(やっぱり今日は、大掃除の日にしようかな)


「セサリー、やっぱり今日は掃除の日ね!」

「はい?」

「掃除をするの」

「はあ…」


セサリーはこんな顔をしているが、この突拍子もなく事を始めるのは、昔からのアリコスの性格だ。わからないとは言わせない。このまま押し通してやる。


「ほら全体的に埃っぽいでしょう?クシュンッ」


(あー、鼻がグシュグシュする)


ここでもアレルギー性鼻炎なんて、勘弁してほしい。ゲームなんだから病気なんてなくっていいのに。


「アリコスお嬢様!大丈夫ですか?一旦外へ。では私達がもう少し人手を呼んで掃除しますから、アリコスお嬢様はどうか、館へ戻っていてください」


正直なところ、くしゃみに悩まされるのも


「クシュン」


やだし、そうさせてもらおう。


「わかったわ」


どうぞ、とセサリーが先導する。帰りもセサリーは付き合ってくれるようだ。

人手を集めるのはその後なのだろう。

それにしても子供のくせに快諾の一言や思いつきで、すぐ人をうごさせるなんて、やっぱり公爵令嬢ってすごいのね。と思っていると部屋についた。


「ここでお待ちください」

「わかったわ」


本当はトレースを手伝おうかと申し出たが、「持ち出さないとなると庭ですることになりますが、万が一のことがあったら!」とセサリーに泣きつかれてしまったので諦めた。

今になって思うと、ゲームのストーリーの中ではとりあえず、地震なんて起きなかったのにと思っているが、ここは気楽に考えよう。

元々物価リストはノートごと覚えるくらいのつもりだったのだ。それがもと通りになったというだけだ。

そういうわけで、掃除が終わるまでの長時間、アリコスはずっとノートをめくる事になった。

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