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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
アイテムボックスならびにステータスについて
20/121

2 お夕飯

「アリコスお嬢様、そろそろ」

「わかったわ」


暇だからと、もう一度読み直していたカタログ達を置く。

ついさっきまで作業をしていたはずのセサリーは、もう扉の前で待っている。

昨日と同じように、階段と長い廊下を進み、私の館の出口を目指す。

そういえば、子供にも自分の館がある事自体おかしいのだ。今度、見取り図を作ってみたい。それで何をするというわけでもないから、不必要ではあるんだけど。


「もうすぐです」


出入り扉の茶色と、金具の金が反射して見える。

そこからは2、3分で母屋に着き、食卓につけた。


「アリー、元気になった?」

「はい」

「レイ。まだ元気になるわけないじゃないの。病み上がりなんだから」

「あぁ、やっぱりそうよね」

「ううん。あの、ほんとに元気ですよ?完全復活ではないですが」


顔色が悪かったのか、完全復活の言葉が悪かったのか、お母様は顔をしかめた。


「油断は禁物よ?」

「はい、気をつけます」

「わあ!アリーお姉様だ!」

「リドっ」


リドレイがダッシュで駆け寄ってくる。

腰に手を回してにっこりとする弟に、当然悪い気はしない。


「リド?走っちゃダメって何回言ったらわかるの?」

「だってアリーお姉様が…」


お母様の声にびくりとして、リドは腰から手を離し、直立する。


「アリーが?」

「いたから…」


犬のように、しゅん、と耳がさがるように見える。

かわいい。天使だ。

きっとまた埃がたつから、とか、廊下は走るな、とかそういう正論で叱っているのだろうけど、助けてあげたい。話していたい。でもずっと見ていたい気もする。


「廊下は?」

「走っちゃダメ」

「これからリドは?」

「走りま、わからないです」

「リドったら」


私の後ろに隠れたリド、10歳のかわいい天使(少年)相手に、お母様が持て余しそうになっている。

普段三人でご飯を食べているときは、こんな感じだ。

いつもリドがちょっとやらかして、改善の余地がないので、お母様が困る。

そこで私の登場だ。


「リド?これからは走っちゃダメよ?」

「うん」

「絶対よ、わかった?」

「うん」


でも私のリド好きは少し増したかもしれない。

手を開いてスタンバイする。


「おいで?」

「やったー!」


身長はまだ私の方が頭半分くらい高いけど、いつか越されて、立派な騎士様になるんだな。リドが本当に守ってくれたら、と思うと、今でも嬉しくなる。


「リドは私とアリーのどっちの方が好きなのかしらね?」

「さあ?」

「怖くて聞けないわ」

「どちらにせよ、私はきっと三番目ね」


可愛くて仕方がないけど呆れ気味な、お母様とレイお姉様の声が聞こえる。全くどっちの方が好きなんだろう。アリーお姉様!とかわいく言ってくれたら嬉しいけど。


「アリーじゃないか」

「ルーお兄様!」

「ほんとだ、ルーお兄様だ!」

「おおリドっ、またくっついてるのか?」

「うん!アリーお姉様がいいって。ね?」

「うん」

「そうか。でもお父様が来たら二人とも席につけよ?」

「はい」「はーい」

「あ、お父様だ」

「あっ」「あっ」

「ん?呼んだか?」

「ううん。お兄様と遊んでたの」

「お父様が来る前に席につけたな。二人共、偉い偉い」


ルードリックお兄様の手が、アリコスとリドレイの頭へと伸びて頭を撫でる。

身内とはいえ、兄がこんなにイケメンだと、ドキドキしてしまうものなのか。


「ああっ!僕がなでなでするっ」

「はいはい」


ルードリックお兄様が両方の手を引くと、リドレイが頭の上に乗る。そして四方八方にゴシゴシする。

リドは撫で撫でをなんだと思っているんだっ。

でもそんな子供っぽいリドは、すっごくかわいい。


「もぉ、わしゃわしゃしないのよ?」


せっかくセサリーがハーフアップに整えてくれたけど、髪をおろしてそっと撫で付ける。


「もうご飯にしよう、リド?」

「えー、うん」


それにしてもリドはみんな集まって嬉しいのだろう。すごくはしゃいでいる。


「さてリド、今日のご飯は何かな?」

「オムレツと、マーマレードのパイ!」

「さあ、どうかな?」

「ふふん」


リドレイはもう確信したみたいに得意げだ。

そしてその後、他にも品数はたくさんあったけど、この二品も出てきた。

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