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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
魔法ってできるんですか?
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5 冒険者について

そういえば乙女ゲームなのに冒険者がいるのかと驚く人もいるかもしれない。

しかし、いるのだ。


なので、ちょっとした補足をしておこうと思う。


ゲーム中でもヒロインであるスティラは、ダンジョンの中に入ってレベル上げをすることができる。

ダンジョンへの入場にはすこしのゲーム内のコインが少しかかるが、クリティカル効果(ステータス底上げ効果)のあるアイテムを買うより、全然必要コインが少ない。

しかもダンジョンから無事に出れば、アイテムは持ち帰れるので、手に入れたアイテムを換金する事もできる。

だから多少強くなると、ダンジョンは、経費がとんとん、いやそれ以上になるという素晴らしいシステムなのだ。そういうわけで生前の私は全く課金しなくてもレベル上げができるよう、お気に入りとして随分使わせてもらった。


これがこのゲームの特殊なところだ。

どうやら会社としても売りのようで、デカデカと宣伝にも載っていた。

普通の乙女ゲームにある“魅力”、“熟練度”の他に私の知る限りこのゲームにだけは“戦闘力”、“レベル”がストーリーを進めるための評価基準になるのだ。

まあそういうわけで、この世界にはチュートリアルに出てくる冒険者の他にも、街にもダンジョンにも無駄に冒険者が多くいる。


そうそう、さっき換金と言ったがそれを説明するには少し複雑だ。

まず課金アイテムを手に入れるには、二つのページのどちらでも入ることができる。

そのうち一つはホーム画面から入る、有料ショップ。

もう一つはマップを開いて城下町へ行く途中に、冒険者に話しかけて部品を売買してもらう、マップ移動のひと手間がかかる有料ショップ。

そう、この後者の冒険者が換金をしてくれるのだ。


そして前世の私が、その冒険者に渡した事のあるものが、この冒険者用カタログに載っている、人喰い花や魔晶石、というわけ。

この人喰い花や魔晶石の類いは、ゲームのイベント時とダンジョンでとれた。それは時折、乙女ゲームにしてはRPGすぎるような内容もある。その一つで、生前最後のイベントがモンスター討伐。

私はレベルにしては強かったから、このイベントは割と楽勝で、ポイントじゃなく、アイテムをゲットしに行ってた。でもその結構な量のアイテム、換金しようと他の戦利品と一緒に、アイテムボックスに入れっぱなしだったはずだ。


(あーあ。死ぬくらいだったらじゃんじゃん換金して、魅力用のドレスじゃんじゃん買ってゲーム進めればよかった)


だからアリコスは今、割と本気で悔しがっている。

約1秒周期に机を叩く。軽くだけどその度に握りこぶしがジンジンする。


「あ、あのアリコスお嬢様?そんなことをしてはお体に傷が…」


私は結構真剣に悩んでいたようだ。セサリーの存在をすっかり忘れていた。


「こんなの平気よ」

「でも……」


セサリーはアリコスの右手を見た───叩いていたのは右手だった───が、アリコスはカタログの事を思い出した。


「これ、終わったわ」

「あ、はい…」


付箋を厳選して付けられたノートを渡して、さっさと立ち上がる。

現在8冊のノートをしまっている本棚から『一冊目』を取り出し、近くにあったペンで書く。


【よくあるタイプのアイテムボックスの確認】


(ああ、これさえあったら楽なのにっ)

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