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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
何かが変わる予感
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レイシアの訪問




レイシアがやって来た。


「レイお姉様だわ!」


アリコスは机の前の窓から見えたレイシアに手を降って、セサリーから手渡されたハンカチに持ちかえるとそれを降った。

広がらないハンカチをみせられたレイシアがアリコスに習得させたことは描くまでもないだろう。


「レイお姉様だぁー!!」


放牧場で乗馬をしていたリドレイは、白馬にのったレイシアを遠目から見つけて手を離し、落馬した。

幸い怪我はなかったが、お陰さまでレイシアのサプライズ兼親睦会(レイシア命名)は、マリコッタのお怒りにより開催されないことにされた。


こうしてレイシアがやって来た。

やって来たのはよかったのだが、レイシアは昼のお茶を飲む頃にアリコスの元へやって来て、手紙を教えた。

それはそれは貴族らしい空気感でよかったのだが、アリコスは不審に思った。


「レイお姉様は、他の時間はなにをなさっているのですか?」


レイシアは顔付きを歪め、黙った。


「あの、聞かない方がよければ…」

「いえ別に構わないわ。隠すほどのことでもないの」


レイシアは明るい声を出そうとしたのだろうが、アリコスにはレイシアの動揺が色濃く読み取れた。

一呼吸おいてレイシアは話を続けた。


「新しい家庭教師が来ているの。アリーは知ってる?」

「いいえ。どなたですか?」

「ルコリッチ夫妻よ」

「ああ、ダンスの!」


アリコスの記憶のなかに、彼らの記憶がある。三度、もしかしたら五回、もくしくはそれ以上お会いしたことがある。実際にレッスンを受けたのは二回きりだったが、厳しい先生だと記憶している。


「ええ」

「それがどうかさないましたか?」

「ああアリー。かわいいアリー。あなたはかわいいけれど、ちゃんと意味を理解している?」


ちょっとだけ考えて、他に思い付かなかったので一言口にだした。


「社交界デビューですか?」

「ふふふふっ。ええそうね、そうだわ。社交界デビューよね。ふふふふふっ」


次の授業の教材を持ったマリコッタがやってきて、レイシアはそこで席をたった。

アリコスはこの日のことを忘れたが、レイシアはしばらくの間それで気をまぎらわしていた。


………

……

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