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貧乏性の公爵令嬢  作者: あまみや瑛理
何かが変わる予感
110/121

手紙


ノエタールがかえるとき、アリコスはノエタールを引き留めた。

そしてしばらく会えないだろうことを伝えた。


「なんで?」

「あーそれはね?」


いっていいものかとはおもったものの、他に理由はなかった。


「しばらく勉強休んじゃって、それでいま取り返してるところ」

「真面目だね」

「そんなことないよ」

「あのさ……本当に会えないの?」


(ちょっと意味深ね)



「そうね、残念だけど」

「そっか」


今度はノエタールの方がドアの前でターンして、帰るのをやめることにした様子だった。

もう外はすっかり暗くなっていた。もう冬が近づいていた。


「じゃあさ、手紙は?」





なんの問題も起きなかった。

セサリーに相談したものの、彼女の役回りは結局なんの危険も不要になった。

マリコッタは「私としてはぁねぇ?」とあっけなく許可し、その後マリコッタを通してフィオラも許可した。しかも宛名を表に書くのなら内容は見ないこと、とのフィオラのお墨付きだ。


こういうわけでノエタールの訪問から第一通目となる手紙が送られるまでには三日とかからなかった。しかしフィオラには三重の問題が発生していた。

アリコスは2通の手紙を用意したのだが、まず第一は、ノエタールに書こうとして破った形跡が見つかったこと、セサリーすなわちアリコスが手紙を書くにあたり10冊もの本を書庫から取り出したという情報が入ったこと。

第二には、リドレイに手紙を書いたこと。これはとにかく大問題であったが、順に詳しく説明していく。

第三には、使用人に手紙を書いたこと。いくら会えずとも紙はやはり高級品で、たった一枚を張り出すだけでも手紙に使うような紙は高級で、使用人にお金をかけすぎだというのがマリコッタの持ってきた主張であった。


こういうわけでフィオラは頭を悩ます問題を抱えることとなった。


てっきりノエタールとすぐにでも恋仲になってくれるのかと思えば、書体や文面を気にするとは、一体いつ送れるのか検討もつかない。

フィオラはノエタールへ接触することにした。つまりまた家族ぐるみの食事会を開くようセレルドに進言したのだ。


リドレイとせっかく距離を離したつもりが、リドレイは誘っても屋敷の外に遊びへはいかないし、アリコスの手紙もなんともリドレイをきにかけた様子でどうしようもない。

これはマリコッタも気にしている様子で、燃やそうというマリコッタを制し、フィオラは手紙を自室に保管することにした。


使用人については本当はフィオラはなにもしたくなかった。食事会のためにはケーキに代わる新しい料理があれば一層素晴らしいし、あの日アイディア浮かんだ料理から料理の素晴らしさを覚えたことがアリコスを丸くしたとフィオラは思っている。

しかしマリコッタが問題にするとなると、カルレシア領のだれひとりなにもせずに片付けることはできないのだ。

だから仕方なしにフィオラは手紙の使用をやめさせた。だが代わりにノートがあるわよ、とセサリーに伝言させるとうまく行き、アリコスはそれからというもの「交換ノート」なるものを使うようになった。







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