異世界の手厚い歓迎
カストロのステータスを変更しました。
冒険者ギルドをあとにした俺はレヴィさんに教えてもらった宿屋を目指そうとしていたが、ふと自分の格好を思い出す。
「まず、服だな」
ありがたいことに手持ちの金貨で懐事情はわりとあたたかい。俺は当面の生活に必要であろう生活雑貨を揃えることにした。服屋では、上下セットのものを数着購入した。あとは、生活雑貨、こちらの世界事情が書かれているらしい本を適当に見繕いアイテムボックスへ放り込んだ。結構大量な買い物をしたがこれでまともな生活が出来るであろう。
宿屋はこの王都でも人気のあるとこらしかった。取り敢えず1週間分の宿泊費銀貨5枚を払い、手元には銀貨27枚と銅貨6枚が残った。宿屋は1階が食堂として開放されているらしく宿泊する客だけでなく食事だけとることも出来るらしい。こちらに来てから何も食べていないので流石に腹が減っていた。夕食を作ってもらう。何の肉か分からないがやたらと大きなステーキ肉がどうやら夕食のメニューらしい。
「なかなか美味い」
以前に黒毛和牛のステーキを食べたことがあるがそれに負けず劣らずの美味しさだ。
ステーキ肉に舌鼓を打っていると入口付近のテーブルから怒声が響く。どうやら店員がテーブルにぶつかり男が酒をこぼしてしまったということらしい。店員の女性はペコペコと謝罪を繰り返しているが男は許す気は無いらしい。
「お前、せっかくの防具がビショビショじゃねぇか!!」
「すいません、すいません」
「おい、賠償金だ。金貨10枚払え」
あんなボロボロの防具が少し濡れただけで金貨10枚はぼったくりにも程があろう。確かに、テーブルにぶつかってしまった店員に非があるのだが、いくら何でも賠償金とは横暴が過ぎる。周りの人も迷惑そうにしているが触らぬ神に祟りなしといったように視線をそらしている。しかしずっとわめかれていちゃせっかくのステーキが不味くなる。
気が付くと俺はテーブルを立ち男と店員の間に立っていた。いや、いつから俺はこんなお人好しになったのだろうか。この問題に俺は何の関係がないというのに。
「まぁまぁ、いくら何でも金貨10枚は高すぎじゃありませんかね。店員さんも謝罪されていますし」
「なんだテメェ。俺がCランクのブラックファングのカストロ様だと知ってて喧嘩売ってんのか!! 」
いやなんだよその二つ名は……てか、Cランクかよ。普通に強いな。カストロのステータスはこうだ。
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カストロ
種族.人間
Lv50★
HP2558
MP235
STR1953
VIT1987
SPD1850
INT358
スキル
怪力
〜力が増す〜
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うわぁ……ゴリラかよ。めっちゃパワータイプだし怪力ってなんだよ。調子のって仲裁に入ったのはいいがこれはボコられますね。はい。
俺は吹っ飛んでいた。テーブルに突っ込んだ体が痛む。男は俺に蹴りを数発入れる。反撃といった問題ではないステータス差がありすぎるのだ。その後も男は俺をボコボコにいたぶると満足したのかゲラゲラと笑いながらその場をあとにしていった。
店員には感謝と謝罪だろうか?何かを俺に言っていたのだろうが正直それどころじゃなかったのであまり覚えてないな。体が痛むため俺はそのままベットで横になると意識を失った。異世界の厳しさの洗礼を受けた最悪のスタートとなった。
体の痛みで目が覚める。昨日の暴行で受けたダメージの残りが体を虐める。太陽はすっかり昇りきっている。もう昼過ぎのようでずいぶん長い間眠っていたようだ。確かに色んなことがおきた1日で疲れていたのだろう。ゴブリンと戦いボロボロになって店員を庇ってボロボロに……ボロボロにしかなってない酷い1日だ……
テンションが昨日の事でダダ下がりしたからだろう今日は何もする気が起こらず、昨日買っておいた本を開き読み始める。内容は子供でもわかりやすいようにこの世界の事情が書かれていた。
どうやらこの世界には6つの国があるらしい。このエストレアム王国はその中でも大きな国にあたるらしい。中にはドラゴンといった強力な魔物が溢れて人類が近づけない地域も存在するとか。
そして、人類以外にも獣人やエルフ、ドワーフといった種族が混在しており友好的な関係を築いているらしい。しかし、魔族と呼ばれる種族はどの種族とも敵対関係にあるようだ。魔族は強力な魔物を従え、それぞれが強力な力を持つらしく、かつて他の種族との争いが絶えなかったようだっか魔族は個体数が少ないため今は辺境の地でひっそりと暮らしているらしい。今はその驚異はないという。
それより人間以外の種族がいることにビックリだ。たった1日だが昨日王都を歩き回ったがそれらしき種族を見た覚えはない。早く出会ってみたいものだ他種族との交流はこれからの楽しみの一つだな。
これは、昨日痛いほど思い知らされたことだがこの世界では同種族間だとLvの高さ=強さといってもいいほどLvによってステータス差が開くらしい。Lvの限界は個人でバラバラであり限界を迎えるとLvの横に★の印がつくらしい。そういえばカストロにもこれがついていた。アイツはあれ以上強くなるのは難しいということだ。つまり、アイツよりLvが上がれば俺でもカストロに遅れを取らない。早くLvを上げるべきだな。だが、自分のLvの限界が分からないな、なにかLvの限界が知る方法をあればいいのだが。まぁ、Lvをあげていけばわかることかと自分を納得させる。
異世界の本ということもありすっかりのめり込んでしまっていたみたいで辺りは真っ暗だ。タイミング良く腹の虫が鳴る。
夕食をいただいたあと風呂につかった。昨日は疲れて入れていなかったので久しぶりの風呂はとても気持ちの良いものだった。気持ちの良い気分のまま俺は眠りについたのだった。
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