ゴブリンスレイヤー
プロローグの戦闘シーンです。
プロローグとは違った感じで書きました。
目覚めるとそこは森だった。辺り一面木が生茂っている。そこで、俺はうつ伏せの状態で倒れていた。起き上がろうとすると体が痛む。どうやら、しばらくここで倒れていたらしい。
もうちょっと気の利いた転移をして欲しかったものだ。体を起こして体についた砂を払う。それにしても、現在位置がわからない。いきなり死活問題が発生しているこのまま迷い続けて餓死という未来が安易に想像出来てしまう。しかし、それでは何のために転移してきたのだということになる。迷って餓死しましたなんて神様に合わせる顔がない。
「取り敢えず歩くか」
このままでは何も解決しないので森を散策することにした。まぁ、いくら何でも初っ端から人類未踏の地に転移するほどあの神様も間抜けではないだろう。そんなことを考えながらしばらく森を歩いていると、目前の草むらがガサガサと揺れる。意識を草むらに集中させる。内心バクバクだ。もしかしたら、凶悪なモンスターが出てくるかもしれない。しかし、そこから姿を見せたのは緑色の小柄なモンスターだった。それは、俗に言うゴブリンであろう物。
「なんだ、ゴブリンか」
ゴブリンといえばゲームでも序盤に出てくる最弱モンスターの1匹だ。過剰にビビっていた自分がおかしくなる。そこでふと、自分の力を思い出しゴブリンのステータスを覗き見る。
ーーーーーー
種族.ゴブリン
Lv5
HP64
MP8
STR21
VIT29
SPD18
INT9
ーーーーーー
「……」
アレだなこれはもしかするとゴブリン俺より強くね?MPとINTはクソだけど他ほとんど負けてるよ……
「いい天気ですね……」
自分でも意味不明な発言をしてその場を立ち去ろうとするがもちろんそんなことゴブリンが許してくれるはずもない。
「ギギィッ」
ゴブリンはその手にある剣を振りかぶりこちらに迫る。やるしかないらしい。だが、こちらはあいにく武器を持ち合わせていない。絶対絶命だ……
「そうだ! 確か魔法が使えたはずだ」
ステータスに魔法があったことを思い出し魔法を使おうとするが使い方が分からない。
「クソッ」
ゴブリンの一撃をかわすが少し左腕をかすったようだジワリと痛みが広がる。
魔法を取り敢えずイメージだ。そう、ファイヤーボール的なアレだ魔法使いが序盤に使うような炎の玉を想像しファイヤーボールと叫ぶ。すると、右手から直径30センチほどの炎の玉が噴出され、ゴブリンに直撃する。
「やったか?」
「ギギィ!!」
こちらの願いは届かずゴブリンは怒りの形相でこちらに剣を振るってくる。右足を軽く切られてしまった。だが、こちらも負けてられないファイヤーボールでやり返す。
追い討ちとばかりにファイヤーボールと唱えるが何も起きない。なんということだ……これはいわゆるMP切れだ。本格的にヤバイ、俺にも武器があれば……
「アイテムボックス!!」
そうだまだアイテムボックスがある剣だ剣こっちにも剣を‼︎
すると右手にスッと剣が現れる。神様がちゃんと武器も入れていてくれたみたいだちゃんと感謝しなくては。
両手で剣を構え、ゴブリンと相対する。剣を振りかぶりゴブリン目掛けて振り下ろす。その攻撃はまるで酷いものだった。当然だろうこれまで剣など一度も握ったことは無い。どこぞの勇者みたいに最初から鮮やかな剣技を振るうのは天地がひっくり返ってもありえない。
そこからは本当に酷かったまさに泥試合だったーー
こちらの体はボロボロでもう殆ど動かない、ゴブリンはとどめとばかりにこちらに飛びかかる。咄嗟に構えた剣がゴブリンの心臓を貫く。
事切れたゴブリンの死体を確認し俺は勝利の余韻に浸る。そして、体から湧き上がる力を感じ本能的にLvが上がったんだなと理解し、ステータスを開く。
ーーーーーー
瀬戸彰
種族.人間
Lv8
HP224
MP156
STR180
VIT178
SPD175
INT174
ーーーーーー
「Lv上がりすぎじゃね?」
確かに序盤のうちはLvは上がりやすいイメージだがこれは嬉しい誤算である。しかし、ステータスの上がり方から見てやはり、あのゴブリンは弱かったんだなと改めて理解するとそのゴブリンと自分が死闘を繰り広げたことに少し虚しさを覚えたのだった。
誤字脱字報告やアドバイス、感想をもらえると嬉しいです。