どうやら、また死ねないらしい
スキルの名前を変更しました。
目覚めるとそこは真っ白な空間だった。この世のものとは思えない程その空間は神秘的だった。汚れやホコリというものを嘲笑うかのようにその空間はあった。
「天国ってあったんだな」
ここは、天国だろう。俺は確かにトラックにひかれたはずだ。それなのに体は健康そのものだし、少女を庇って死ぬという善行をしたのだ。ここが地獄であってたまったものか。
「残念ながら天国じゃないんだよねぇ〜」
どこか間の抜けた声が背後から聞こえ、咄嗟に振り返る。
「はへっ?」
自分が見たものを理解出来なくて変な声が出てしまった。そこにいたのはゴスロリの格好をした少女だった。
ここが、天国じゃない。じゃあ一体ここは何なのだ。天国じゃなかったら何故俺は生きている。やっと死ねたと思っていたのに、というかこの空間に全くそぐわない格好のこの少女はなんなんだ。
この理解し難い状況に俺の頭は限界寸前だ。
「いや、まぁ確かに色々疑問に思うことあると思うけどこっちの話を聞いてよぉ〜」
こっちのペースを乱す間の抜けた喋り方だが今回ばかりは少女の喋り方のおかげで混乱が少し冷めてきた。
「この空間は要するに君たちの住んでる世界とあの世の狭間って言ったところかなぁ〜。
特に名前があるわけじゃないからぁ〜。そして僕はいわゆる君たちの世界で言う神様ってところかなぁ〜」
「なるほど神様でしたか」
「うん、まぁ普通なら君たち人間と会う事はないんだけどねぇ〜。君、女の子庇ってトラックにひかれて死んじゃったわけだけどぉ〜。ほんと想定がいだよぉ〜。実はあの女の子君が助けなくても奇跡的に無傷ですむはずだったのを、君が助けて君が死んじゃっうって言っちゃ悪いけど無駄死にだねぇ〜残念ながらぁ〜」
「いえ、元々死のうと考えていたので俺的には問題ないです。」
そうだ。元々死に場所をずっと求めていたのだ。別に無駄死にだのそういうのは問題ではない。
「いや、こっちは問題なんだよ、自殺する人達ってホント困るんだよねぇ〜。自殺ってこちらとしても想定できないわけで今、天国に空きがないんだよねぇ〜。だから君死ねないんだぁ〜」
どうやら、また俺は死ねないらしい。やっと死ねたと思ったのにあのクソみたいな世界とお別れのはずだったのにまだ俺は死ねないらしい。
「だから、君には異世界に行ってもらうよぉ〜。剣と魔法のファンタジーな世界で新しい人生を歩んできてぇ〜」
剣と魔法の世界という言葉に俺の心は興奮していた。そんな世界に憧れは少なからず少年の頃にあったがまさか今になってその想いが叶うとは……しかし、そんな世界に行ってみたい反面生きていける自身が全くないのが本音だ。
「えっ、そんな突然言われても……それに剣と魔法ってこの16年間超安全な日本で過ごしてきた俺にはちょっと……荷が重いっていうか、そのーー
「あっ、大丈夫大丈夫そんな僕も鬼みたいな事はしないよぉ〜。君にはある程度の力も与えるしあっちの世界でも生きていけるよぉ〜。
そうだなぁ〜、君にはThe主人公セットを与えるよぉ〜」
「なんですかその変なセット……」
「う〜ん、アレだよアレ〜ゲームとかの主人公みたいな感じのぉ〜まぁ、とりあえず力は今あげるから心の中でステータスオープンって唱えるといいよぉ〜」
「な、なるほど」
心の中でステータスオープンと唱えてみる。すると頭の中に自分のステータスが浮かびあがってきた。
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瀬戸彰
種族.人間
Lv1
HP58
MP23
STR18
VIT15
SPD12
INT17
ースキルー
◆鑑定
〜全てを見通すことができる
◆アイテムボックス
〜異空間に時間を止めてものを収納することができる
◆言語理解
〜全ての言語を理解できる
◆基本魔法
〜基本となる魔法4属性が使用可能(火、水、土、風)
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「弱くないですか……」
「まぁ、Lv1だしそんなもんだよぉ〜。Lvが上がれば強くなれるよぉ〜それこそゲームの主人公みたいに、ただ1つ忘れないで欲しいのはいくらゲームみたいな世界でもそれは決してゲームじゃなくて現実だからねぇ〜」
そうだな、確かにゲームみたいな設定に少し浮かれていた気がするが決してゲームではないのだ。あちらの世界ではこちらと同じようにNPCではなく1つの生命として生きているのだ。これは忘れてはいけないだろう。
「じゃぁ、そろそろあっちに飛ばすからねぇ〜取り敢えず当面は困らないようにアイテムボックスにいろいろ入れとくから、次の人生はちゃんと生きてよねぇ〜」
そこで、僕は気を失った。間の抜けた声を最後に
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