オウム返し彼女
「おはよう」
「おはよう~」
「見た、昨日やってた映画?」
「見たよ、昨日やってた映画」
「面白かったよな」
「面白かったね~」
「誰だっけ、監督」
「誰だったかな、監督」
「んー、まあ、いいや、行こうぜ」
「んー、まあ、いいか、行こう」
「木曜日だー、学校だー」
「木曜日だね~、学校だね~」
「ふわーあ、眠い」
「ふわ~あ、眠い」
「あ、あくびがうつった」
「あ、あくびがうつっちゃった、えへへ」
「やったか、宿題?」
「やったよ、宿題」
「お前は相変わらず偉いなー」
「私は相変わらず偉いのだ~」
「分けてくれよ、その真面目さ」
「分けられないよ、この真面目さは」
「あっ、やべっ、雨降ってきた!」
「あっ、ホントだっ、雨降ってきた!」
「天気予報、嘘ついたなー!」
「天気予報に嘘つかれた~!」
「とにかく、走ろう!」
「うん、走ろう! 一緒に!」
彼女は彼の手を握って、一緒に走ってゆきました。突然の雨の中、二人は駆け、そして角を曲がって、見えなくなりました。