66話 実験
西大陸、魔導会議占領下、王都ロムルス。
「イーヴァル」
名前を呼ばれて少年は目を覚ます。王都ロムルスに流れ着いてから幾分か時が過ぎており、とある日の朝のことだった。
魔術師の研究施設で暮らすようになっている。一日三回食事にありつけるようになっていた。研究と称して俺の体をいじくりまわしている魔術師はごけんていと呼ばれている。五賢弟と書くのだそうだ。
魔導会議で議長のギルダス直弟子の五人がいると聞いたが、そのうちの一人があの気障な鬼人魔術師なのだという。
「起床していますか」
「起きた」
声をかけてきたのは魔獣である。人型であり、姿は毎度異なっている。研究施設の中で鬼人魔術師エブリックの助手のようなことをしている。魔獣の研究をしているエブリックの研究室には、実験用に管理されている魔獣が多数おり、餌と適度な運動を毎日世話している。
俺も魔獣扱いになっている。
「朝食をどうぞ」
「ああ」
食事は特に味がしなかった。栄養はあるのだろうなと思いながらよく分からないものを食っている。
始めて目が覚めてから食事を提供されたとき、食欲があることが驚きだった。魔導会議の町で魔道具の残骸をあさっていた時から連れ立った友人を失った。その時の光景が脳裏に焼き付いている。
暗い路地裏。不気味な魔獣とも人種ともつかない外見。無差別な暴力。
無残な肢体を見た後は、たいてい自分の行く末を考えて食欲がなくなったのだが、今は意志とは無関係に体が食料を欲している感じがする。
「十分な栄養摂取を確認。エブリック様がお待ちです。研究所に移動してください」
エブリックの魔獣に促されて歩く。研究所を横断していくと、人とも魔獣ともつかない生き物が蠢いている。皆、実験体である。小さな体のものは研究室のあちこちに放されていてそこかしこを這いまわっているのだった。
エブリックの研究室は広かった。五賢弟という上位の研究職だけはある。よく分からない模様によく分からない器具によく分からないものがある。
水槽に浮かんだ目玉が俺を見た。
俺は魔術師エブリックによって魔獣と融合した体を研究されている。特にすることはない。硬い台に横になり、魔術で体を調べ終わるのを待つだけだ。エブリックは元になった俺と魔獣の魂がどれほどの割合で残っているのか、時間経過による遷移はどうか、他の研究体との差異はあるのか、等々、経過観察をしたいのだと俺の世話をする魔獣が言っていた。
あまり興味はなかった。他の研究体がいると聞いた時も、ああそうかと思ったきり関心を失った。
頭の片隅で、連れのあいつが「他の研究体はどんな奴なんだろうな!」などど考えていたが、俺にとってはどうでもよかった。
「エブリック様。実験体の盗難です」
「んん? どうせ下っ端研究員がまたやらかしたんだろう。失敗作が盗まれただけさ。放っておきたまえ」
「ウッバという人種の少女ですが、失敗作扱いだとは記録していませんでした。ステータスを更新します」
「お馬鹿! それはまだ研究中の個体! 早く捕まえてきなさい!」
「承知しました。速やかな捜索のため、探索用使い魔の申請をします」
「五賢弟エブリックの名において、魔導会議王都教育機関に備わる設備の使用権原を付与する」
「では、行ってまいります。個体名イーヴァルのデータ収集が終了するまでに帰還します」
ひらひらと手を振るエブリックをよそに魔獣は腕を翼に変えた。背からは何か筒のようなものを生やし、窓から空へと飛び出した。
背から突き出した筒からは何か青白いものが噴き出し、空を、突き進んでいく。
空の青さがまぶしくて、無気力な中でも何かとても尊いものを見た気がした。
「さあ、イーヴァル君。融合した魔獣の形質を発現させてみたまえ」
促されるままに指先をとろりとした液体に変えた。
王都の路地裏で何かに襲われて、この研究施設で目覚めた。その時から体中に違和感があった。人差し指の先に余計な関節があるような、額にもう一つ目があって何かみえているような。何かあるという感覚があって、やることもないので割り当てられた寝床の上でずっとそこに意識を集中していた。
そうして体が溶けた。
運悪くそれを魔獣の助手とエブリックに見つかり、成功例として研究施設で飼い殺しになっている。
「形質変化の上達が見られるねえ。使えば使うほどなのかな? 時間経過によるものなのかな?」
体を魔獣に変化させられるようになっているが、特に感想はなかった。襲われて目覚めてから、感情の起伏がほとんどなくなったように感じる。
どろどろに体を溶かし、全身をとろりとした液体に変えることもできるようになった。目玉まで液体にすると視界が真っ暗になってしまうことも分かった。
頭も液体にしているのにものを考えられる理由は分からない。魔術師、研究者、鬼人のエブリックが明らかにしてくれるだろう。
現状生きていて、それ以上でもそれ以下でもない。特に感想はなかった。
「さあ、次はこの水槽の中に入ってくれたまえ」
体を液体に変化させたまま動かして容器の中に入った。人の足のように固くないにもかかわらず歩くことができる。理由は分からないが。
水槽の中に入る。俺の目玉だけが浮いている。目の前にはもう一つ目玉の浮いた水槽がある。
「そのまま元の姿に戻ることはできるかな?」
俺は元の姿に戻る。服は全身を液体にしたときに脱げてしまったので、全裸となって台の上に立った。目の前には二つの水槽。一つは空で、もう一つは目玉の浮いた液体が入っている。
「目の前で見ても人に戻ることはないと」
水槽の中で回転する目玉は人の眼に見える。元は人種だったのだろう。特に感想はなかった。
「これはもう駄目だな」
そう魔術師が言うと目玉の入った水槽は宙を浮いて研究室から出ていった。ふと路地裏を思い出す。連れの少年がちらついた。
どうでもいいはずなのに質問が口をついた。
「あれはどうなる?」
指をさした。水槽の中と目が合った。何の感情も伝わってこないが、まだ生きているのは何となくわかった。
「うーん? 知らんな。助手に任せるから」
窓から入ってくる魔獣が小脇に毛玉と血まみれの塊を抱えて戻ってきた。ウッバです、と毛玉(よく見ると羽毛の塊)をさすり、俺をどかして血まみれの塊を台に置いた。
「これ、もう使わないから」
「処分いたします」
魔獣が水槽を受け取り、運んでいく。研究室にはウッバという名前らしき羽毛と俺と魔術師が残る。鬼人の魔術師エブリックが実験体を盗み出した魔術師を実験室の台に固定した。
「なんだ?」
俺の問いにエブリックは答えなかった。羽毛のウッバがもぞもぞする。
「さあて、盗人君。私の助手に痛めつけられたようだねえ」
血まみれの魔術師は台に横たえられたまま動かない。にやにやしながらエブリックにつつかれている。血走った眼玉がエブリックを捕らえたかと思うと、火炎が鬼人の魔術師を覆い隠した。血まみれの魔術師の顔が歪み、笑ったように見えた。
窓から使い魔が飛び込んでくる。血まみれの魔術師を二本の足でつかみ、背から生えた翼で飛び立とうとした。脱出用に手段を用意していたようだ。
「まったく。僕の話を聞く気はないと」
魔術師の体から放出された火炎は鬼人を覆ったが、エブリックは何事もなかったかのように立っている。
血まみれの魔術師がまたエブリックをにらみつけた。火炎が吹き荒れるが、同時にエブリックからも冷気が噴き出した。相殺され、小規模な爆発が起きる。
「ぐえ!」
爆風で羽毛の塊が腹部に直撃し、その衝撃で体全体が液体化した。
「それも貴重な実験の成功例だ。ちゃんと保護しておきたまえ!」
「なんで俺が」
エブリックは当然俺の問いかけには答えなかった。液体の体のまま研究室の外へ這っていく。目玉を体の内側にしまい込んで熱風と冷気から保護したが、研究室の中で起き続けている爆発で氷塊が飛んでくる。液体の体では鋭い氷塊を受けとめきることはできず、抱えているウッバ(羽毛)をかばいきれなくなってきた。
(なんで俺が)
見ず知らず、人らしき生き物をどうして俺が守らなければならないのか。
「盗みも殺しもしようとしなかった。そんなお前だから俺はつるむんだぜ」
いつだったか、そんなことを言われたような気もする。半透明の液体になった全身でウッバという羽毛の塊を持ち上げる。ひときわ大きな爆発が起きて、羽毛と液体は宙を舞った。壁にたたきつけられる。とっさに体を滑り込ませられたので、衝撃を吸収することができた。
「やれやれ、研究室が滅茶苦茶だよ。これは、きちんと責任を取ってもらわねばならないね」
氷のように煌く額の角を磨き上げ、エブリックは使い魔の残骸と血まみれの魔術師を台に置いていた。
これから起きることは想像がつく。使い魔と魔術師が融合させられるのだろう。
「本来魔導会議内での私闘は厳禁、だがまあ、五賢弟の研究成果を盗み出そうとしたんだ。現行犯で即処断されても文句は言えないだろう?」
血まみれの魔術師は聞こえていないようだ。エブリックの魔獣に痛めつけられた上に体の半分以上が凍り付いている。このままだと長くないなと思う。
(これからあいつは実験と称した制裁を加える。その間に、逃げられるだろうか)
行く当てはないが、このままここにいても実験材料として飼い殺し、そのうち失敗作と判断されれば処分される。五賢弟、鬼人のエブリック。経過観察としていくつか質問に答える以外やり取りをしたことはないが、もともと人だったからと、実験体を社会に戻してくれるような親切な奴ではなく、実験のことしか頭にないイカレ野郎なのはよく分かる。
人型に戻り、床の上に転がしたウッバを見て考えた。
(囮にできるだろうか。そして、あの魔獣から逃げられるだろうか)
「ここから逃げ出そうなどど考えてはいけませんよ」
両肩に手を置かれた。怖気を振るう手だ。軽く触れられているだけなのに、重く感じる。大きくもなく、太くもないが、信じられない肉の密度をもっているようだった。
「魔獣との融合術は未だ不安定なもの。エブリック様の調整が無ければ、十日と持たないでしょう」
脅された。だが、その言葉は間違いないと納得ができる。魔術には詳しくないが、体のどこかでもう一つの存在を感じるのだ。もしかしたらそこが魂なのかもしれないし、俺の知らない未知の臓器なのかもしれない。
そして脅しの内容が事実であると思ったからこそ、いよいよ俺の人生もここまでかと思う。
「もうまともには生きられないんだな」
「瀕死の状態から復活し、生きてここにいる。何よりではないですか」
「うるさい。くそったれの魔獣が。押しつけがましいんだよ」
エブリックの魔獣は肩をすくめた。その妙に人間臭い所作が苛立だしい。
「なんにせよ。あなたの連れ、名前を聞いていませんが、その少年の願いで助かった命です。ここから逃れようなどと余計なことをして無駄にしないでいただきたいものです」
「お前らの作った失敗作のせいで俺もあいつも死んだんだ。なにが命を大切にしろ、だ。一番命を粗末にしているのはお前たちじゃないか」
「命は大切なものだ」
魔術師と使い魔に魔術を仕掛けたエブリックが口を挟んできた。
「では、なぜ大切なのか」
鼻歌交じりでエブリックは魔術を発動させる。人と魔獣の融合術。いつだったかこの世で自分しか使えない魔術だと鼻高々に自慢された。
「それはね、使い道は数限りなくあれど、一人につき一度しか使えないからだよ」
「聞いてない。黙ってろ」
エブリックは俺の声など聞きもしない。
「僕はこの命を議長の夢に使う。君と、君の連れは使えなくなりそうな命を何とかしようと確率の低い賭けをした。僕が命を使うと言うが、むしろ僕は使われた側さ。君たちが命を使い切っていないというから、研究の助けになると理由をつけて魔術で魔獣と融合させた。ま、分の悪い賭けさ、一人成功しただけでも十分だろうにね」
台の上の魔術師と使い魔が魔術でその肉体を解体され、混ぜ合わされる。
「おや、これはいけない」
混じっていく肉片がたちまち腐っていき、台の上にはピクリとも動かない黒い塊が残った。
「失敗だね。どうもやはりもともと魔力の高い者同士はうまくいかないのか。魔術師と使い魔なら魔力の質が似ているからいけると思ったんだけどもなあ」
「イカレ野郎が」
黒い肉塊を指でつつき、エブリックは何でもないように感想を述べた。
「これはすぐに処分だね。任せたよ。あ、それとそこの水妖の実験体は検査が終わった。戻しておいてくれ」
「承知しました」
魔獣に連れられて寝床に戻った。魔獣は魔術師と使い魔だった塊を抱えて去っていった。
研究所ではエブリックの研究材料になることと食事と睡眠しかすることはない。別に出歩くことを禁止されているわけではないが、体の中の違和感と未知の感覚のせいで積極的に出歩く気力は湧いてこない。
寝床に横たわり天井を見上げて考える。
考えるのは連れの元気な少年のことだった。魔術師エブリックとその魔獣から話を聞くところによると、彼らの作った失敗作が逃げ出して王都に潜伏したので、研究成果の流出防止のために一人と一匹が処分するべく探索していた。
失敗作は徐々に追い詰められていき、路地裏で見境なしに人を襲い始めた。周囲のすべてが敵に見えていたのではないだろうか。
失敗作は俺と連れを含めて十人以上の被害者を出し、俺以外はみな死んだと聞く。
連れのあいつは襲われた後も意識があったらしい。目の前で失敗作を処分した魔導会議の魔術師に対し、責任を取るよう言い放った。
エブリックは治療魔術では回復できないほど魔力が弱まっていること、一刻を争う事態であることを確認、そのうえで自分にできるのは魔獣との融合による一か八かの賭けであることを提示した。
俺の連れはそれを良しとして、意識を失っていた俺と二人で魔術の実験台になることを認めた。
そうして俺だけが命を拾った。
研究室の台の上を思い出す。意識のなかった俺が魔術によって魔獣と融合させられた。先に意識を取り戻した俺を台からどかせると、エブリックは連れに魔術をかけた。俺の前であいつは肉塊になった。
指一本動かず、俺は涙を流すことしかできなかった。
肉塊は、エブリックの魔獣によって処理された。研究所の外に出ると、魔獣は口を不気味に開く。それから宙に放り上げた肉に向けて熱線を放った。灰も残らなかった。
「必要な栄養素の摂取を確認。明日もエブリック様の研究に参加予定です。睡眠をとり体調を整えてください」
八足の机のようになった魔獣が夕食の配給を終えて去っていく。何を考えているか分からないし知りたくもない。ここから逃げ出す時にはあいつが邪魔になるのだろう。口から熱線を吐き、自在に体を変形させて空を飛ぶこともできる。
俺が体に感じている違和感をあの魔獣からも感じている。元は人なのかとほかの実験体が噂しているのを聞いた。そうなのかもしれないと思わせる点は多い。何より、流暢に言葉を話す魔獣は存在しないとされていた。だがヤツの正体は謎だった。
日に日に実験体の数は増えていく。
魔導会議の勢力が拡大してロムルス王国の南方を掌握したと興奮気味に話す魔導会議の魔術師がいる。五賢弟スブタイの魔道人形が各地に派遣されていく。競うように五賢弟エブリックが強化した使い魔も魔術師と共に各地の資源を抑えに行った。
実験体は未だ完成していないと突っぱねたエブリックによって派遣されていないが、時間の問題だと聞く。何のためにエブリックが実験を重ねていたのかよくわからなかったのだが、議長の使いと名乗る魔術師が実験体の派遣は可能かと尋ねてきたことで想像がついた。
混乱を与えるための捨て駒だ。
人として紛れ込み、魔獣として襲い、人に戻って潜伏する。軍や兵に対してではなく、町や民に被害を与えて兵站を切る。魔獣となって暴れればいいだけなので、戦う訓練も必要ない。教育にかける資源が必要なくどんな人でも数さえそろえれば戦力になる。魔導会議にとって都合のいい駒を作っているのだ。
エブリックを問い詰めたらあっさりとばらした。
「元々非戦闘員ばかりの君たちが民を襲うなんて考えられないけどね。だろう?」
「薬でも魔術でも、正気を奪って暴走させることくらい容易いだろう」
「へえ…。少年、中々悪いことに頭が回るね」
「否定しないってことは間違いないんだな」
「半分はね。君たち実験体をそのまま戦場に送ることはないけど、君たちの実験結果によって人と魔獣の融合技術が発展する。それを魔導会議の軍の希望者に行って王国を攻撃するんだよ」
特に感想はなかった。ただ情報を得ただけである。何らかの縛りがあるのか知らないが、エブリックの融合魔術の実験体は瀕死の重傷を負った奴か不治の病を患っている者、生まれつき手足が無い人などだ。
うまくいけば命を拾う。治療術師に高額な金銭を払うことができない連中は最後の希望とばかりに魔導会議を頼る。実験体になれば、少なくとも命が助かる可能性が生まれる。
魔導会議も人体実験ができるし、いざとなれば軍事転用もできる。
そのまま兵士として運用することはない。その一言が本当なら実験体になる人も少なくないような気がする。
「なら、増え続ける実験体はどうする。特に働くこともない半人半獣をずっと手元に置いておくのか? 魔導会議が魔王に負けた時どうする?」
「少年。魔導会議が負けると言ったかい?」
格好つけているのか気だるげに俺の問いに答えていたエブリックだが、その一言で雰囲気が変わった。
「戦争してるんだ。負けることもある」
「無いね」
狂気を感じた。それほど狂いのない真っ直ぐな目だった。何がそれほど信じられるのか、俺には見当もつかなかったが、とにかくその場はエブリックの言葉に曖昧に頷いておいた。
魔導会議が俺たち実験体を作る目的は分かった。
しかし、これから先俺たちがどうなるかは分からない。
俺と連れに限って言えば、命を救われたというのは結果の話、もともとエブリックの失敗作が逃走したのが原因で魔獣との融合魔術を受ける羽目になった。魔導会議がこのままロムルス王国を制圧してしまえば、エブリックの調整を受けられる可能性が高まるが、俺をこんな体にした魔導会議と連れ添うのはごめんだった。
「俺らの魔力が少ないとか言って魔術を教えてくれなかったしな! 抜け出しちまおう、こんなとこ!」
あいつはそんな無茶を言いそうだ。できるかどうかじゃなく、やりたいかどうかを優先する。そんなあいつにできることを一つ一つだ、とか言ってたしなめてきた。
やりたいこと。できること。
いい暮らしをしたい。三食旨いものを食べたい。暖かいところで眠りたい。そのために今何ができるのだろう。
魔術師に命を握られて研究室暮らし。栄養はあるが味のしない何か。冷える寝床。路地裏と比べれば幾分ましというだけの環境だ。
連れと語り合った路地裏からは遠くに来たように思っていたが、実際はまだどこにもたどり着けていないのではないだろうか。
実験体たちはひとところに集められて雑魚寝をしている。隣に寝ている、魔道人形の手足をした鬼人の実験体が寝ぼけながら舌を長く伸ばして飛んでいた小型の魔獣を捕らえて食べた。




