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サタン様が見てない  作者: げんはく
2/5

第2話

サタン「ふはははは。これで部下の名も決し、

  晴れて神の軍団との戦に臨むことができるというもの。

  まずは手始めに魔界への侵攻を企てておると噂される

  大天使ウリエルの軍団を血祭りにあげいッッ!!

  行けいッ!漆黒のレヴィアタンッッ、

  そして残念な小太り中年クソ野郎よッッ!!!」


俺「…できればその名前、新しいのに変えて頂けませんかね?

  (微妙に長くて語呂が悪いですし)」


それをきいたサタン様は深くため息を出すと、

面倒くさそうに口を開く。

サタン「え、まだ名前のことで揉めなきゃならんの?

  いい加減にわしも疲れたのだが…

  てか、これ以上の名前って魔界上に存在するの?

  贅沢すぎじゃね??」


俺「むしろソレ以下の名前があったら教えてくださいよ…」


レビ「仮にもせっかく主から頂いた名を、

  そんなふうに邪険に扱うのは感心しませんね」


俺「あんたさっきまで全力で拒否してましたよね…

  なんですか、その盛大な手のひら返しは?」


(ガラガラッ…)

そのとき城の門が開き、金色の髪をした小柄な少女が入ってきた。


???「金色(こんじき)のベルフェゴール、敵陣の偵察任務を終えて帰城しました」


サタン「おおっ、戻ったか金色のベルフェゴールよ。

  で、どうであった神の軍団の様子は?あやつらの兵力はどれほどであった?」


ベル「パッと見た感じ、2万といったところでしょうか。

  やはり総大将は大天使ウリエルのようでした」


サタン「ククク、大天使ウリエルに率いられし精鋭2万か…

  久々に血がたぎるわ。ところで、お前と共に出発した

  『ダークファントム・オリアス』と『カオスソルジャー・アイム』

  はどうしたのだ?」


俺(なにそのかっこいい名前ッ!俺のもそういうのにしてくれよッ!!)


ベル「それが、偵察を終えての帰路、敵の追撃を受けてしまって」


サタン「そうか、やつらほどの剛の者がな…

  惜しいやつらを亡くした…それであの2人を倒すほどの猛者とは?」


ベル「はい。大天使ウリエル配下の四天王の一人メタトロンの配下のザキエル配下

  の三羽烏の一人ガデルエルの配下のアナニエルの配下の百人衆の一人

  友蔵ともぞうの配下の兵卒です」


サタン&俺「なんかよくわからんけど…下っ端っじゃねえかーッッ!!」


サタン「そんな下っ端の兵卒ごときに、

  わしの右腕たるダークファントム・オリアスとカオスソルジャー・アイムが

  敗れ去ったというのか…

  あ、そうか!敵が大軍すぎて、

  3人ではどうすることもできなかったのだな!?」


ベル「いえ、一人です」


サタン&俺「たった一人の兵卒にーッッ!?」


ベル「ええ。見回りの兵卒一人に見つかったのですが、

  『お、おら、おめえらをぶったおして二等兵になるだぁ!』

  とか言いながら突っ込んできました」


サタン「そ、そんなのにやられたのか…

  しかしどんな輩であれ忠実なる我が配下を殺した報い…

  それは受けてもらわねばな」


ベル「それは大丈夫です。

  2人がやられた後、私がデコピン一発で屠り去っておきましたから」


サタン「デコピンでーッッ!?…

  そんなに強いんだったらお前が最初から戦えばよかったんじゃ…」


ベル「そのつもりだったんですが、お二人が

  『この程度の相手に金色のベルフェゴール様の手を煩わせるまでもございません。

  ここは私めにお任せを』とか、

  『俺…もしこの兵卒を倒せたら、国に帰って結婚するんだッッ!!』

  とか言っていたので」


サタン&俺「それどう見ても死亡フラグじゃねえかッッ!!」


ベル「でも、これで勇敢な彼も二階級特進で一等兵になれたでしょうし、

  天国で満足してくれていればいいのですが」

金色のベルフェゴールは視線を天へと向け、たそがれながら言った。


サタン&俺(デコピンで瞬殺した敵への心配より、

  その前に散っていった仲間を気遣えッッ!!)


そのとき、俺の存在にやっと気づいた金色のベルフェゴールが

漆黒のレヴィアタンに小声で耳打ちする。

ベル「ところでレビさん。

  この、残念過ぎる小太り中年クソ豚野郎は誰なんですか?」


レビ「この人はサタン様が目をつけてた新人さんですよ。

  あ、そうだベルフェちゃん。あなたの作った書類間違ってたでしょ。

  年齢欄が『推定12~18歳』になってましたよ。

  でも実際に見に行ったらこの有様でびっくりしちゃいました」


ベル「そうですか…すみません。

  どうやら彼がいつも電車に乗るとき『青春18切符』を使っていたので

  錯覚してしまったようです。

  彼がサタン様に認められるほどの極悪人だということを失念してました。

  今から帰ってもらうのは…もう遅いですかね…」


俺(全部…聞こえてるんだけどなぁ…)

俺は目に浮かぶ涙をこらえるように視線を上へと向けた。

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