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飛翔する燕  作者: 髙津 央
第四章 次の任務へ

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80.攻撃か防禦

 二人を守った【不可視(みえず)の盾】は、魔法にも物理攻撃にも、大きな防禦力を発揮するが、使い捨てだ。

 身に着ける物に(あらかじ)め、任意の合言葉を織り込んで掛け、攻撃に備える。合言葉で展開し、一度だけ身を守って消える。


 〈あれは簡易結界じゃ防げないわ。このコみたいに【盾】で防ぐか、避けなさい〉

 「えっ?」


 ナイヴィスの手袋に掛けた【不可視(みえず)の盾】は未使用だが、あれを防ぐ自信はない。

 ()してや、飛んで来る光球を避けるなど、余程(よほど)の達人でもなければ不可能だ。


 〈当たったら、鎧でも怪我する威力よ〉

 「えぇッ?」

 〈準備動作が長くて、来るのわかるんだし、落ち着いて何とかするのよ〉


 女騎士は、こともなげに言う。

 緑の雄牛は、荒い息を吐き、(ひづめ)で地面を掻く。【網】が絡んで思うように動けず、かなり苛立っている。


 「先具(さきそなえ) 不可視(みえず)(もり)を 此処に置く 置盾(おきたて)其の名 “クラースヌィ”」

 ムグラーが【不可視(みえず)の盾】を掛け直した。


 ナイヴィスはどうしていいかわからず、じりじりと簡易結界へ後退(あとずさ)りながら、魔剣の柄を握り締めた。


 〈攻撃したい? 防禦したい?〉

 「えっ……と、(おっしゃ)られましても……」


 一番の望みは、ここから逃げ出すことだが、流石にそれは言えない。

 攻撃も防禦も、どう動けばいいかわからない。


 ムグラーの【光の槍】が、緑の雄牛の右目を貫いた。

 苦痛の咆哮を上げ、怒りに任せて【白銀の網】を引き千切る。青黒い血を噴き出しながら、自由になった脚で大地を蹴った。


 〈サフィール・ジュバル・カランテ・ディスコロール、右手へ走れ!〉


 ナイヴィスが命令を認識するより先に、足が勝手に駆けだす。

 簡易結界から飛び出した直後、雄牛はムグラーの頭上を飛び越え、ナイヴィスが立っていた地点に着地した。巨大な(ひづめ)で黒土が(えぐ)れる。


 〈簡易結界を、強行突破できる強さってことね〉


 魔剣が停止命令を出さなかった為、ナイヴィスは木の幹にぶつかって止まった。

 色々な意味で涙を(にじ)ませ、左手で頬をさすりながら、振り向く。


 ムグラーは、鋼の剣で緑の雄牛に立ち向かっていた。

 ワレンティナが泉越しに、雄牛の腰へ飛礫(つぶて)を降らせている。


 隊長とトルストローグは、長い魔獣と戦っていた。

 牙を(かわ)しざま、トルストローグが、長い頭部に重い斬撃を浴びせる。深紅の血飛沫が上がり、魔獣が身を(よじ)った。


 隊長が【光の槍】で追い打ちをかける。

 頭部はそれを(かわ)したが、その奥、森でくねる胴が穿(うが)たれた。濃紺の胴が、血を噴きながらのたうつ。

 木々が揺れ、木の葉が落ちる。落ち葉が赤く濡れ、【灯】の青白い光を反射した。


 ムグラーが、草の刈り跡に(つまず)き、体勢を崩した。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
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野茨の血族」 その後の護衛任務の話。
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