表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飛翔する燕  作者: 髙津 央
第四章 次の任務へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/91

72.森での野営

 「食糧は三日分ある。水も補給できる。ここを拠点に、魔獣の掃討作戦を行う」

 隊長が説明を始めた。


 村長がまとめた目撃情報によると、魔物は三種類。各一体ずつ。

 発見から時間が経っている。既に実体を(そな)えた魔獣と化している筈だ。

 幸い、種類は異なる。繁殖はしていないだろう。


 村の人口が減り、仕事の対価となる魔力の水晶や食糧などの生産量が減った為、民間の魔物狩りに依頼することができなかった。

 騎士団は常に人手不足で、王都へ陳情に行ったが、順番待ちが長く、とうとう今になってしまった。


 「なかなか、早期発見、早期駆除とは行かぬものだ」

 隊長が苦笑する。


 「実体のある奴は、普通の剣で肉体を倒すだけで、幽界に送還できるから、魔獣の方が倒しやすいけどな」

 トルストローグが、不安と絶望を顔に貼りつかせたナイヴィスに、笑ってみせる。彼は騎士となる以前、そう言う仕事もしていた。


 「……でも、強いんですよね?」

 「お兄ちゃん、そんな心配しなくても、私たちがついてるし、お兄ちゃんにはリーザ様がいらっしゃるじゃない」

 ナイヴィスは、左腰に吊るした魔剣の柄に目を遣った。


 〈三界の魔物より楽よ。村人の安全の確保なら、肉体の破壊だけでも充分だから。本質にきっちりトドメを刺すには、魔法か、魔力を帯びた武器が必要だけどね〉


 さっきは散々脅かした癖に、今度はお気楽な物言いだ。判断の基準がわからない。単に怖がる姿を面白がられているのかも知れない。

 ナイヴィスの眼は、女騎士への不信に染まっていた。


 「ナイヴィスさん、森は初めてなんですよね? 野営のことなんですけど……」

 「は、はい。訓練ではまだ、丘陵地しか……」

 ムグラーに聞かれ、戸惑いがちに答える。


 「森での野営は、草原よりも気をつけることが多いんですよ」

 「化け物の類だけでなく、普通の獣にも警戒が必要だ」

 続きは、隊長が説明する。


 「交代で見張りをして、火を絶やさぬこと、何かの接近に気付いたら、すぐに休んでいる者を起こすこと」

 「は、はいッ」

 「簡易結界は張ったが、過信せぬこと」

 「はい……」


 訓練では、結界を兼ねた小型の天幕があった。

 今回は、地面に描いた魔法陣の簡易結界のみ。

 鎧で護られているとは言え、不安なことこの上ない。


 ナイヴィスは直接、地面に横になることにも抵抗があった。

 持ってきた荷物は、食糧と水と毒消しなどの応急処置用の薬、呪符、呪符を作る用具類、草刈り鎌。それだけだ。


 【無尽袋】があれば、嵩張る物も一度にたくさん運べるが、使い捨てだ。中身を出すと術が切れて、普通の袋に戻ってしまう。

 この隊には【無尽袋】を修めた者が居ない。持てる荷物には限りがあった。


 「今日から三日間の任務は、魔獣の討伐。仕留められずとも、三日目の夕方には一旦、引き揚げる。魔獣は夜間の方が活発だ。今の内に休み、夜に備えろ」

 〈ぶっつけ本番で夜襲なのねぇ。皆とはぐれちゃダメよ?〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
【関連が強い話】
野茨の血族」 その後の護衛任務の話。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ