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飛翔する燕  作者: 髙津 央
第四章 次の任務へ

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71.生きる力を

 今日の昼は、村人が持たせてくれた堅パンとチーズと瑞々しい野菜だ。チーズの塩気と野菜の甘みに疲れが癒される。


 昼食後、刈り取った草を一カ所に集め、隊長が術で燃やした。

 範囲を指定された炎と煙は、全く外へ広がらない。青草の山が見る間に灰になる。

 ナイヴィスは、火の術を修めていない。炎を安全に扱う隊長に、尊敬の眼差しを向ける。


 〈あなただって、練習すれば出来るようになるじゃない〉

 ……でも、あの、ちゃんとできなかったら……火事が怖いし……


 〈皆とはぐれて、一人になったら、どうするつもり?〉

 ……【跳躍】で村へ戻りますよ。


 女騎士は、ナイヴィスの脳裡(のうり)で小さく溜め息をついた。


 〈そう言うことじゃなくって、もっとこう、生きる力を身に着けた方がいいから、ねっ?〉

 ……ねって言われましても、逃げるのも生存戦略のひとつですよ。


 〈いつも逃げられる状況ならいいんだけどね……〉


 ソール隊長が灰を水で流し、木立の間に捨てる。

 草地だった場所に、ぽっかりと黒土の地面が顔を出した。直径はナイヴィスの身長くらいある。

 隊長が枯れ枝を拾い、土に魔法陣を描く。ナイヴィスの知らないものだ。興味津々で作業を見守る。


 〈簡易式の魔除けね。今夜はここに泊まるのね〉


 魔剣に断言され、ナイヴィスはいきなり不安に襲われた。先日までは、暗くなる前に【跳躍】で村へ戻っていた。

 てっきり、今日もそうすると思っていたのだ。


 「()()天なり 六連星(むつらぼし) 満星(みつぼし)巡り 輪の内 地なり 星の(かき) 地に(めぐ)

  垣の内 呼ばぬ者皆 立ち去りて 千万(ちよろず)昆虫(はうむし)()けて 雑々(かずかず)の (あやし)退(しりぞ)

  内守れ (たい)らかなりて (しず)かなれ」


 呪文も、ナイヴィスが初めて耳にするものだ。


 〈初歩的な簡易結界よ。【霊性の鳩】の。あなたも覚えといた方がいいわ〉

 ……後ででいいですか?


 〈皆とはぐれない自信があるんならね〉

 ……あの、さっきから何故、私がはぐれる前提なんですか?


 〈あなたこそ、その、はぐれない自信は何なの? 根拠は?〉

 ……えっ?


 女騎士に問い詰められ、ナイヴィスは絶句した。考えたこともなかった。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
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