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飛翔する燕  作者: 髙津 央
第四章 次の任務へ

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68.プロポーズ

 〈あら、頼もしい。武者震(むしゃぶる)いしてるの〉

 ……わかってる癖に、からかわないで下さい。怖いんですよ。


 〈武者震いってことにしときなさいよ。怖い怖いと思ってると、怖くないものも怖くなっちゃうのよ〉

 ……そんなコト言われましても、怖いものは怖いんですよ。


 〈怖がったって仕方ないでしょ? 騎士なんだから、民の為に危険を排除しないと〉

 ……私は別に、自ら望んで騎士になったんじゃありません。


 〈私にはあなたしか居ないのに〉


 女騎士ポリリーザ・リンデニーが、妙に艶めかしい思念を送る。

 ナイヴィスはムッとして言い返した。


 ……だったら、真名(まな)を教えて下さっても、いいんじゃありませんか?

 〈あら、それ、プロポーズ?〉

 ……ちッ違いますッ!

 魔剣となった女騎士相手に、思わず赤面する。


 魔法文明圏の国々では、家族以外に真名を教える習慣はない。

 親戚にも教えない。

 両親と兄弟姉妹、夫婦だけの秘密だ。家庭によっては、兄弟姉妹にすら教えない。

 それ故、「真名を教えて下さい」は、一般的な求婚の台詞として定着している。


 ナイヴィスの真名、サフィール・ジュバル・カランテ・ディスコロールは、あっさり読まれてしまったが、魔剣となった女騎士の真名は、書類に記されていた「ポリリーザ・リンデニー」しかわからない。


 女騎士がナイヴィスとの間に壁を築き、心を読ませないのだ。

 書類の記録は、女騎士の殉職当時、まだ健在だった両親からの聞き取りで残された。


 退魔の魂は、真名の一部すら残されていないものが、圧倒的に多い。

 真名を知る親族が一人も残っていないか、居ても教えない場合が(ほとん)どだ。


 女騎士ポリリーザ・リンデニーの両親は、役所の照会に応じた。

 娘が人としての生命を終え、退魔の魂の魔剣として、騎士団の備品になったとは言え、真名の全てを明かすことには抵抗感があったのか、記録には一部しか残っていない。


 〈ふっふふふっ、内緒。あなたにもっと、騎士の自覚と、戦う意志があれば、教えてあげられるんだけど〉

 今は無理ね、とナイヴィスの頭の中にひらひら手を振る映像を送りつける。


 ……リーザ様がそう思われるのなら、私は一生、無理で結構ですから、文官に戻して下さいよ。

 ナイヴィスの泣き言に、溜め息を()く女騎士の映像が送られた。


 〈昨日のあの決心は何だったの? こんな小さな森に入るくらいで、そんなに怖気付(おじけづ)いて、弱音吐いてどうするの?〉


 ……弱音を吐くことすら許されないなんて……

 真名を教える=プロポーズ

 「野茨の環シリーズ 設定資料」

 用語解説05.魔法「◆真名の支配」の項目に詳細説明。

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
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野茨の血族」 その後の護衛任務の話。
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