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飛翔する燕  作者: 髙津 央
第三章 討伐の任務

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61.滅亡の危機

 この村は、広場を囲んで家が建てられている。

 村長宅など、広場に面した数軒は二階建て、周辺の家は平屋建て。王都とは違い、家々には前庭がある。庭は果樹が植えられ、小さな畑になっていた。


 低い土塀が、村の外周を囲んでいる。

 この村でも土塀には棚を(もう)け、【補強】【魔除け】【防火】などの術を掛けた石盤を組込んで、強化してあった。

 魔力の供給は、石盤に【魔道士の涙】を()め込むことで(まかな)っている。


 村人は亡くなると火葬され、後に残った魔力の結晶で、死後も村を守るのだ。


 この村の住人は、長命人種(ちょうめいじんしゅ)ではないので、残される【魔道士の涙】は小粒だ。魔力を放出し終えれば、【涙】は砕けてなくなる。

 村人が減れば、将来的に土塀の防禦力が下がり、魔物に滅ぼされてしまうかも知れない。


 たった一人の為に、村から若い娘が次々と去り、滅亡の危機に晒されていたのだ。


 ……三界の魔物になる前から、村のみんなに迷惑を掛けて、危うく村を滅ぼすところだったんですね。


 〈そうねー。おかみさんの話じゃ、別に暴力を振るったとか、呪いを掛けたとか、ハッキリ犯罪と言えることをしてた訳じゃなさそうだし、余計にタチが悪いわ〉


 相手の迷惑を(かえり)みず、気の赴くままに暴言を吐き続け、周囲の者から再三に(わた)って(たしな)められても、聞く耳を持たない。


 呪いを掛けたならともかく、単に暴言を吐いただけでは、騎士団も動けない。


 暴力で少女を思い通りにしようとしたのではなく、菓子と甘言で手懐けようとしたに過ぎない。

 (ことごと)く失敗に終わったのは、幼い子供の目にもわかりやすく、下心が剥き出しだったからだ。


 その先には明確な不幸が待っているとわかっていても、生きた人間が相手では、力ずくで排除することも出来ない。


 そんな有様でも一応、「人間」の範囲内に収まっていれば、排除した「被害者」が加害者となり、「犯罪者」として処罰されてしまう。

 ナイヴィスには、散々見下した存在を手に入れたがる気持ちも、(けな)して傷付けた相手を菓子と甘言で懐柔できると思う思考も、全く理解できなかった。


 ……共同体の破壊者なのに、どうすることもできないなんて。


 ナイヴィスは歯痒く思った。

 その男は、黒山羊の王子(チョールヌィ・カジョール)殿下の忠告にすら、従わなかった。


 ()るべくして、三界の魔物と化したのだ。


 ……もっと早くに、何とかできなかったんでしょうか?

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用語は、大体ここで説明しています。

野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
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野茨の血族」 その後の護衛任務の話。
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